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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP10 烏の沙羅と魔族の王国 その32

 罰当たりだな!


 誰だって、そう思うはずだ……間違いない。


 さて、そんなこんなで魔都ベルゼバは古代の墓地の上に建造された都市である――が、禁忌王ハビルフの陵墓以外は、そのすべてが盗掘被害に遭っており、何も残されていないようだ。


 とはいえ、罰当たりな行為には他ならないよね。


 住人である魔族達は墓を家の一部として利用しているようだし――。


 ちなみに、魔都ベルゼバの地下には、禁忌王ハビルフ以外に古代の王侯貴族の墓も数多くあるらしいわ。


「あ、本当に広い! 百人はくつろげる広さね」


「ムムムム、腑に落ちん!」


「あうあうあうあーっ!」


「ピルケ、それにティルケ、落ち着いて!」


 うわぁ、ルー様の自宅内は凄く広いわ!


 百人はくつろげる広さだし、ルー様が家の一部として利用している墓の本来の持ち主――被葬者の生前の業績等が色鮮やかな壁画が、四方の壁に刻まれており、オマケに私には読みことができない古代文字も刻まれている。


 さて、どんな人物の墓なのか気になるところね。


「禁忌王ハビルフの墓の中は、トンでもなく豪華なんだろうなぁ……。」


「墓の周囲にも金銀財宝があるんだっけ?」


「ゴクリ……行ってみたいぜェェェ~~~!」


「アンタ達、行かない方は身のためよ……間違いなく……。」


「うむ、わらわもそう思う。あの御方の墓にだけは近づくな!」


 むう、禁忌王ハビルフの陵墓へ往こう目論んでいる冒険者達も一緒なんだよなぁ、そういえば――。


 やれやれ、どんな場所かは知らないけど、後で後悔しても知らないわよって展開になりそうだわ。


「ん、ところで冒険者達の中に、あっちこっちが緑色に変色したボロボロに朽ちた包帯に覆われた不気味なモノが混じっているんだけど……。」


「チッ……まだ残っていたのね。はいはい、どいてどいて……うりゃあ!」


 む、いつの間にか不気味なモノが、私達や冒険者達の中に紛れ込んでいる。


 あっちこっちが緑色に変色した状態のボロボロに朽ちた包帯に全身を覆われたモノ――まるで古代の墓場から這い出してきたって感じのゾンビの一種である動くミイラことマミーじゃん!


 ちょ、なんでそんなマミーがいるワケ⁉


 あ、ああ、ルー様の自宅は古代の墓を利用してたんだった――と、そんなルー様の従者であるティタニアが、私達、それに冒険者に紛れ込んでいるマミーを近くに置いてある箒を殴り飛ばすのだった!


「ピルケとティルケの仲間が混じっているぞ!」


「ば、馬鹿ッ! わらわをあんな乾燥死体型の不死者と一緒にするな!」


「あうう、あうううあー!」


「わ、わかったから暴れるな!」


 はっきり言おう――とはいえ、胸中での話だけどさ。


 ピルケ、それにティルケ、アンタ達はミイラよ――まあ、死者ではないけどさ。


「さて、アレは殉葬された召使だろう。ちなみにだが、〝わらわの時代〟では、そんな人身御供と言っても間違いない行為は、すでに廃されていたぞ。」


「正解だ、ミイラちゃん。」


「ミイラではない、ピルケだぁ!」


「ま、とにかく、このルー様のご自宅のどこかに未知の空間があるんだろう。そこからアレが湧いて出たって感じかな?」


「わ、湧いて出たって、まるで虫みたいな……。」


 ふーん、ルー様の自宅には、未だに未知の空間があるのかぁ。


 ひょっとして、お宝も眠っているかも――。


「未知の空間が仮にあったとしても期待しない方がいいぜ。」


「あ、ルー様!」


 赤と白のチェック柄の寝間着姿の髪の長い小柄な十六、七歳くらいの女のコの姿をした魔族が、クワ~とアクビをしながら現れる――ん、ルー様?


「最初に言っておくけど、私は男だからな。ついでにルシファーという名前だ。」」


「え、男なんだ。フ、フーン……。」


 え、ルー様ことルシファーは男性なの⁉


 一瞬、本当の女のコかと思ってしまったわ!


 むう、ややこしなぁ、まったく――。


「さて、未知の空間があったとしても、そこはゾンビ化した殉葬者共が積め込まれている筈だぜ。見つけて悲鳴をあげるがオチだ。故に、探さない方がいいと思う。」


「い、言われてみれば、そうかも……。」


「ああ、そうそう、本当に未知の空間があった場合、〝あの墓〟に繋がっているかも――。」


「あの墓?」


「君達も話は聞いているだろう? 未盗掘状態で発見された墓のことを――。」


「う、まさか禁忌王ハビルフの陵墓⁉」


「あの墓の被葬者は禁忌王ハビルフ? 伝説の呪われた王じゃないか! とにかく、この街の地下に眠る数多の墓は、あの墓――禁忌王ハビルフの墓に繋がっている気がするんだ。」


 魔都ベルゼバの地下には、盗掘され尽して何も残ってはいない古代の墓が数多、確認されている。


 で、そのすべてが禁忌王ハビルフの陵墓に繋がっている――と、ルー様が言う。


「ど、どういうことです、ルー様⁉」


「答えは簡単さ。あの呪われた王の墓が発見された日を発端、今まで何もなかった魔都ゼベルバの街中で奇妙なことが起き始めていてねぇ……。」


「奇妙なことが起き始めている⁉」


「それは私が説明しよう。ほら、例えば、さっき私がぶちのめしたマミーが頻繁に出現するようになったとか――。」


 禁忌王ハビルフの陵墓の発見されて以降、頻繁にマミーが出現するようになった……ですって⁉


 むう、禁忌王ハビルフの陵墓が発見されたことが起因となって起きる奇妙な現象は、ティタニアの物言いから察すると他にも何が起きてそうね。

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