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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP10 烏の沙羅と魔族の王国 その4

 兎天原の南方は、その大半が砂漠化しているって話を聞いたけど、どこからどこまでが砂漠地帯なのやら――。


 とにかく、私達一行は、そんな砂漠地帯を一旦、抜け出し、小規模ではあるけど、兎天原の南方の数少ない水源地――オアシスのひとつに辿り着いたワケだけど、この辺は水を求めてやって来る動物達に宝庫のようだ。


 むう、だけど、集まっている動物の中には、魔族のユウタが本来いるべき世界では、何千万年も昔に絶滅した大型爬虫類こと恐竜の姿も見受けられる。


 まあ、恐竜とはいえ、トリケラトプスとかステゴサウルスといった草食恐竜ばかりではあるが――。


 え、その前に何故、恐竜のことを知っているのかって?


 フフン、なんだかんだと、私は兎天原に生息している動物については詳しいのよ。


 以前、迷宮図書館という図書館へ出張り、そこに保管されている兎天原完全動物図鑑という本を読破したことだしね。


 それはともかく、魔族の国らしい兎天原南方の新興国家デモニアの連中にとって〝人間〟は奴隷のようだ。


 で、その詳細を訊いてみるとするか、偶然にも話しかけてきたトリケラトプスの一頭に――。


「人間が奴隷? どういうこと? 魔族に人間がコキ使っているとか?」


「詳しいことはわからないけど、デモニアの支配層が魔族だからじゃないかな?」


「魔族だから? うーん、何がなんだかさっぱりわからないわ……。」


「ダーリン、私はまったく気にしてないけど、同胞の七割が人間を恨んでいる筈だよ。」


「うんうん、確かに人間を恨んでる連中が多いわね……。」


「私のお爺ちゃんが典型的な人間を忌み嫌う魔族かなぁ……。」


「ちょ、どういうことだよ! 俺も魔族だけど、何を言っているのかさっぱりだ……。」


「兄貴は魔族とはいえ、異界から来た魔族だし、そこら辺の事情を知らなくて当然じゃね?」


「そ、それもそうだな。だけど、人間を忌み嫌うの人間を奴隷にするのとは根底から違うぞ!」


「よし、この私が理由を説明しよう。」


「おお、ルガルラ教授、是非とも!」


「むう、私は教授ではなくて博士なんだが……ま、まあいいだろう。では、魔族が人間を忌み嫌う理由、そして人間を奴隷にしてコキ使っている理由を説明しようじゃないか――。」


 なんだかんだと、魔族の国である新興国家デモニアの連中にとって、何故、人間が奴隷であるのか⁉


 その理由をカンガルー考古学者のルガルラが知っているようなので、是非とも説明してもらわないとね。


「魔族が人間を忌み嫌っている背景には、そんな人間達が〝神〟、そして〝聖人〟と呼んで信仰の対象にしているモノが深く関与している。」


「む、それって女神ラーティアナと聖ヴァルレーゼのことか? つまりラーティアナ教団絡みだったのかぁ……あ、ああ、ちなみに俺は無信教者だぜ。」


「キョウさん、今、女神ラーティアナと言ったけど、あの女が兎天原の南方以外では、神格化されていて、オマケにラーティアナ教団の主神として崇め奉られているみたいだから不思議で仕方がないわ。魔族の私的には――。」


「ん、アム、それはどういうことだ?」


「どういうことも何もラーティアナはタダの人間ですよ。まあ、神格化されてもおかしくない活躍したーと、言っても間違ってはいないとは思いますがね。私達、魔族以外のモノの視点から見れば――。」


「うむ、ありていに言おう。大半の魔族を兎天原の北方や西方――人間の領域から、砂漠化していて不毛の地も多い南方に追い払った英雄というのが、件のラーティアナとヴァルレーゼという人間達が女神とか聖人と呼んでいるモノを中心とした人間達だ。」


「な、なるほど、魔族が人間を忌み嫌う理由は、それかぁ!」


 ふむ、そんな理由があったのかぁ――。


 だけど、大半の人間が知るワケがない。


 確か、千年は昔の話だし、オマケに女神ラーティアナ、それに聖ヴァルレーゼに関する記述が記された史書は、ほとんど残っていないと聞く。


「なんだかんだと、未だに根に持ってるのよねぇ、魔族の古老達は――。」


「ニャハハ、無駄に長生きをしているからねぇ、私のお爺ちゃか――。」


「ちょ、無駄に長生きって、お前のお爺ちゃんは一体、何歳なんだよ!」


 む、むう、魔族は無駄に長生きなのよねぇ。


 古老クラスになれば、千年は確実に生きているらしいし――。


「あ、そうだ、知ってる? デモニアという魔族の国が最近、建国されたことを?」


「う、うん、それは既に――。」


「で、そんな魔族国ことデモニアを守護する黄金の魔神がいることは?」


「お、黄金の魔神⁉ う、もしかして――。」


 ん、さっきのトリケラトプスが再び話しかけてくる――え、魔族の国デモニアを守護する魔神が存在する……ですって⁉


 そ、それって、もしかして四体存在しているらしい黄金巨神の一体かもしれないわね。


「ん、足音が聞こえる。誰かが近づいて……わ、ヘンテコリンな仮面をかぶった集団!?」


「うおりゃあああ、人間狩りだァァァ~~~!」


「人間狩り⁉ キョウ姐さんやピルケが標的……コ、コイツらは魔族⁉」


「ちょ、一緒にすんなァァァ~~~!」


 燃え盛る三つ目が描かれた不気味な仮面をかぶった集団が乱入してきたわ。


 むう、私達が今いる小規模のオアシスに潜んでいた魔族――デモニアの連中かも!

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