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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP09 烏の沙羅と黄金の巨人 その7

「う、まぶしいっ――わお、なんてゴージャスな巨体なんだ!」


 身を潜めていたカシュヤン遺跡も物陰から、宝石のトルコ石のように青い雲ひとつない空へと飛び立つ私は、その刹那、神々しい黄金色の光に襲われる。


 ふ、ふう、危なく落っこちてしまうところだったわ。


 さて、そんな神々しい黄金の光の正体は、蒼穹で燦々と輝く太陽の光が〝あるモノ〟の身体に反射したモノである。


 〝あるモノ〟とは、黄金巨人であることは言わずもがな――。


「見た目は超巨大な立像ね。しかし、トンでもない量の純金が使われているわね。」


 黄金巨人の見た目をありていに説明すると、美術館に飾ってある人型の立像だ。


 ちなみに、アレは男性型だ。


 筋骨隆々の美丈夫って感じだろうか?


 だけど、その身体はトンでもない量の純金が、これでもか――というぐらいに使われている。


 オマケに、アレの身長は三十メートル……ゴージャスすぎる黄金の塊だ!


「ふ、ふう、危なく踏み潰されるところだったニャ……。」


「あ、猫ドラゴン……ニャルだっけ? アンタは無事っぽいわね。じゃあ、踏み潰されたのはピルケのみってところか――。」


 黄金巨人と遭遇し、命を狙われるのは、本当に人間限定のようだ。


 そんなワケで猫ドラゴンことニャルは、攻撃の対象外である。


 しかし、攻撃対象の人間であるピルケは、黄金巨人の超ドデカい右足の下敷きになってしまったようだ。


「ギ~ガ~アアアアアッ! ピピピピッ……ニンゲンデハナイ……アタック……タイショウガイ……タイショウガイ……。」


「……ふ、ふう、大丈夫みたいね。」



 ギョッ……背後から近づいたつもりだったけど、それでも私の気配を察知したのか、グルンと首を百八十度、首を回転させてくる黄金巨人と目が合ってしまった!


 だ、だけど、人間じゃなくて烏である私は、奴の攻撃対象ではないので攻撃されずに済んだワケだ。


 ふ、ふう、助かったかも――っと、そんなことより、黄金巨人の巨大な右足の下敷きにされてしまったピルケは大丈夫なんだろうか!?


「あうあうあうあうっ……苦しい……早くそのドデカい足を除けんか、馬鹿者ォォォ~~~!」


「だ、大丈夫みたいね。」


「わお、タフだなぁ。」


 黄金巨人のドデカい右足の下敷きになってしまったピルケの声が聞こえる。


 ふう、どうやら無事な様子だ――しかし、黄金巨人はドデカい右足を退ける気配がないわね。


「あううう、もうダメだ……わらわは圧死じゃ……ガクッ!」


「あああ、ピルケーッ!」


「コウゲキタイショウ……ニンゲン……シボウカクニン……オレカエル……ギギギ……。」


「あ、黄金巨人が立ち去っていく……ピ、ピルケ、本当に死んじゃったワケェ!」


 え、黄金巨人の攻撃対象――即ち、ピルケが死亡したって⁉


 とまあ、本当かどうかはともかく、黄金巨人は私と猫ドラゴンのニャルの目の前から踵を返す。


「う、姿が消えた!」


「ふ、不可思議なことが起こったニャ!」


 う、消えたッ――私の目の前から、ドデカい黄金巨人の身体が消失する。


 その様は砂漠を旅する旅人を惑わす蜃気楼が、瞬時に消え失せるかの如く刹那の一瞬で――。


「やっといなくなったようだな。死んだふりをするのも大変じゃのう……よっこらっせっと!」


「えええ、死んだふりィ!」


 ドーンッ――と、黄金巨人が、私の目の前にいた痕跡である巨大な足跡が見受けられる地面からピルケが飛び出してくる。


 むう、死んだふりを決め込んでいたようだけど、どうやら咄嗟に地面に潜ったことで、身体をペチャンコにされるのを未然に防いだ様子。


「ワハハハ、どうだ、わらわの穴掘り術は☆ しかし、酷い目に遭ってしまった。黄金巨人――いや、黄金巨神の奴、わらわの顔まで忘れおって……。」


「黄金巨神というのね、正式名称は――。」


 黄金巨神――それが黄金巨人の正式名称のようだ。


 なんだ、一字違いじゃん。


「おーい、もう隠れなくてもいいよな?」


「ああ、大丈夫だ。もう隠れなくても大丈夫!」


 さてと、黄金巨人改め黄金巨神がいなくなったので、盗掘され尽して何も残っていない空っぽの古代遺跡ことカシュヤン遺跡の物陰に身を潜めていた貧乳ノッポの美人――キョウがユウタと一緒に飛び出してくる。


「あっちゃんと愛梨は?」


「あれれ、どこへ行ったんだ?」


「アイツらなら、この奥へ向かったぞ。」


「この奥? 何もない空っぽの玄室があった筈だわ、確か――。」


 愛梨とあっちゃんがいないなぁ――と、思ったら何も残されていない空っぽの玄室へむかったようだわ。


 ああ、玄室とは遺骸が埋葬されている部屋のことである。


 で、私達が今いるカシュヤン遺跡は、別名、要塞墓地なんて呼ばれる堅牢な古代の墓地であることを忘れちゃいけないわね。


「ここが何も残されていない空っぽの古代遺跡……だと⁉ おかしいのう、ここには――。」


『わあああ、アフロディーテさんが落とし穴にィィ!』


「む、むう、言わんこっちゃない! わらわに続けぇ!」


 愛梨の悲鳴が聞こえてくる……落とし穴が玄室の中にあるっぽいわね。

 

 む、あっちゃんがそんな落とし穴の中に――ったく、一難去ってまた一難だわ。


 とにかく、ピルケの後に続くカタチで私もカシュヤン遺跡の玄室へ行ってみよう。


 

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