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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP09 烏の沙羅と黄金の巨人 その3

「ピルケ? おとぎ話の贅沢ピルケの話を思い出す名前だぜ。」


「おとぎ話の贅沢ピルケ?」


「兎天原の南方に住むモノなら、多分、知らないモノはいないってくらい有名な話さ。良ければ語ってやろうか?」


「そんなことより、私達は兎天原の南方へ用事があるのよ、ベクセ。早速で悪いんだけど、船を手配してちょうだい!」


「お、おう、わかった。おい、野郎共、船の用意だァァァ~~~!」


 贅沢ピルケというのは、兎天原南方全域でよく知られるおとぎ話のひとつである。


 で、ピンクの鰐ことベクセンの言う通り、兎天原南方に住むモノなら誰もが知っているポピュラーなおとぎ話である。


 それはともかく、今は兎天原最大の河川であるハイドラ川を渡り、兎天原の南方へ向かうことを優先しなくちゃいけないわね。


「おお、けっこうでかい船だな。馬車も余裕で乗せられるな。」


「さあ、乗った乗った!」


 さて、ムジャトの町は、兎天原の東方と南方の狭間――ハイドラ川を跨ぐカタチで存在する大きな町である。


 で、今、私達がいるのは、そんなムジャトの町の北側である。


 南側には、当然、船に乗って向かわなければいけないワケだ。


「あ、人魚がいる!」


「わお、川の中を人魚が泳いでいるわね、ダーリン!」


「お兄様、それにお姉様、アレは淡水人魚という人魚の一種です。」


 ああ、そうそう、ハイドラ川には淡水人魚というモノが生息している。


 姿は半人半漁――上半身は人間で、下半身は魚、或いはイルカという感じである。


 当然のことだけど、ハイドラ川に住んでいる淡水人魚にも性別が存在する。


 女性型は男性なら誰もが振り向くような美女の姿をしているが、その一方で男性型は筋骨隆々のヒゲのオッサンの姿をしているモノばかりなんだとか……。


「ハゲたヒゲのオッサンが俺をジッと見つめている……うお、投げキッス!」


「淡水人魚の男性型よ。ちなみに、淡水人魚の男性型は生まれた時からヒゲが生えているらしい。」


「うええ、マジかぁ……。」


「ああ、ついでに子供であっても男性型ならマッスルな体格よ。」


「うむ、男女のギャップが強烈じゃのう。さて、そろそろ向こう岸に到着するぞ。」


 なんだかんだと、淡水人魚達は男女に問わずフレンドリーな種族である。


 俺達は乗る船の航路を守るようの水中を泳いでるし――。


 あ、ああ、そういえば、魔鮫(デビルシャーク)とか、時折、ムジャトの町の北と南をハイドラ川を介して行き来する船を襲撃する魔物がいるって話があったわね。


 と、そうこうしている間に、私達が乗る船はムジャトの町の南側の船着き場に、もうすぐ到着するってところまで進んだみたいだ。


「さてと、もうすぐ南側の船着き場に到着しそうだし、さっきピンクの鰐ことベクセが言っていた〝黄金巨人〟について、私が知っている限りのことを語ろうか?」


「是非とも!」


「なんだかんだと、兎天原の歴史には興味があるんだ。」


 お、ユウタ、それに弟だというお猿のユウジが、私の言葉に食らいついてきたぞ☆


 フフフ、これは語らなくちゃいけない状況ね。


「黄金巨人は兎天原南方の砂漠の下に眠る未発掘の王墓を盗人から守護している古代兵器だという文献が残っているわ。」


「へえ、文献が残っているんだ。で、続きは?」


「そこ、急かさない! だけど、私が知っている黄金巨人は、遭遇したモノを手当たり次第にぶっ潰す巨大な化け物なのよねぇ……。」


「うむ、魂のオーブが長い年月を経て劣化したんだろう。それで手あたり次第に遭遇したモノに襲いかかるのかもしれん。」


「お、そうなんだ……って、詳しいな、ミイラちゃん!」


「フフン、当然じゃ。アレはわらわの父上が大量生産したモノじゃからのう。」


「ど、どういうこと、おい!」


「ああ、ピルケは現代に蘇った古代人だからよ。オマケに、兎天原南方に伝わるおとぎ話――贅沢ピルケの主人公ご本人だしね。」


「「「な、なんだってー!」」」


 ピルケは現代に蘇った古代人である――が、私は彼女が古代遺跡から蘇った場面、現場にいなかったのが残念だわ。


だけど、彼女のおかげで色々と兎天原の南方の歴史が解明されたって聞く。


「うーん、キョウとかメリッサがいれば、彼女が本当に古代遺跡から蘇った古代人だってことを証明できると思うんだけどなぁ。」


「む、あのキョウ姐さんが関わっているのか……。」


「キョウ姐さん? ああ、グラーニアにそっくりだっていう女のことかユウジ?」


「あ、ああ、フレイヤーズとのトラブル以降、どこへ行ったのやら……。」


「それはともかく、黄金巨人の本当の出現中ならヤバいかも……。」


「うむ、アレは身長三十メートルは余裕である巨大なモノだからのう。一体でも出現し、暴れまわった場合、ムジャトの町の南側が壊滅してしまう恐れがあるのう!」


「う、うおー! そりゃ大変だ!」


「だけど、アレは出現頻度が低いレアな化け物よ。目撃情報があってもムジャトの町の南側の近くじゃなきゃいいけど……。」


 黄金巨人はとにかく巨大なモノだ。


 ベクセの話が本当だった場合、早めに対処しないとムジャトの町の南側が壊滅してしまう可能性があるわね。


 以前、兎天原南方の町が、件の黄金巨人に襲われて壊滅した事例があるし――。


 タダ、アレの出現頻度は低いと聞く。


「お、なんだかんだと、ムジャトの町の南奈川の船着き場に到着したぞ。」


「それじゃ、こっち側の冒険者の寄り合い所へ行ってみよう。」

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