EP7 俺、家出姫と出逢います。その7
「フフフ、それにしてもそっくりだねぇ。ひょっとして双子の姉妹とか?」
「「まっさかぁ~!」」
「声がダブったわね。でも、血縁関係はありそうだわ。」
「ま、まあ、そりゃ……おっと、なんでもない。」
むう、そりゃ、魂だけという虚ろな状態で、この世界へやって来た異界からの異邦人である俺が、仮初の身体として利用しているのは、リリス姫の実妹のエリス姫の亡骸だったワケだし、血縁者であって当然だ。
「お、おい、お前ら! 妙な野郎が村の中で暴れているいるぜ、イテテテェ……。」
「あ、フレイヤ……妙な連中!? つーか、服がボロボロだなぁ。」
「ああ、これがフレイに破かれたんだ。」
ん、フレイヤは戻って来る
だけど、服がボロボロに破けていたりする。
むう、一緒に戻って来たメリッサとミネル、それにフレイと格闘でもしたのか?
さて、それはともかく、妙な野郎が村の中で暴れている……だと!?
「ふ、ふええ、まさか……。」
「リリス姫、どうしたんだ? 俺の背後に身を潜めちゃったけど……。」
ん、甲高い声を張りあげながらリリス姫は、サッと俺の背後に身を潜める。
フレイヤが言っていた村の中で暴れているという妙な野郎に心当たりでもあるのか……いや、絶対そんな感じだ。
「フィ、フィンソスがやって来たのかも! 私とディルムが離れ離れになっていることを嗅ぎつけて、ここに……。」
「フィ、フィンソス? ソイツが元婚約者なのか?」
「え、ええ……なんと説明したらいいのか……と、とにかく、嫌な男ですわ!」
なんとなくわかるなぁ。
諦めの悪い男は、どいつもこいつも性質が悪いと相場が決まっているようなモノだしな。
「フフフ、面白いことを思いついたぜ!」
「ん、面白いこと?」
「アンタとそっくりな俺がフィンソスって野郎に逢おう!」
「え、えええーっ!」
「ちょ、キョウ様、危険ですってばー!」
「フィンソスって男は危険な奴だって聞きます。」
「うーん、そうなのか? リリス姫そっくりな俺が近づいて隙を見せたところをぶん殴ってやろうと思ったんだがなぁ……。」
むう、早くも俺も計画は崩れ去った気がする。
リリス姫の元婚約者だというフィンソスは危険な輩っぽいしなぁ……。
「ま、とにかく、フィンソスって野郎がいるところへ行ってみるぜ。自分用のカードデッキもあるし、大丈夫だ。さ、行くぞ、メリッサ、ミネル、それにアシュトン君。」
「私も行くガウ!」
「おお、サキ一緒に来てくれるのか! よし、一緒のフィンソスをぶん殴ってやろうぜ!」
さてと、フィンソスって野郎がいるところへ出張ってみっか……。
メリッサ、ミネル、アシュトン、それにサキも一緒だし、大丈夫だろう、うんうん。
「そうだ、キョウ。昨日、教えた〝あの技〟を使ってみるといい。上手く発動すれば、無事に追い返す程度はできるだろう。」




