EP7 俺、家出姫と出逢います。その6
登場人物紹介
・リリス姫――キョウそっくりな容姿を持つ女性。違うのは身長と胸。
本物のリリス姫と偽物のリリス姫こと俺――和泉京次郎であるエリス姫でもあるキョウの違いは、身長と胸の大きさだな。
俺の身長は、女性としてはかなりの長身になるかもしれないなぁ。
百七十センチはあるかなぁ……てか、そんな高身長の割に胸は貧相である。
多分、Cカップあるかないだな。
その一方で本物のリリス姫の身長は、百六十センチあるかないかだろうか?
オマケに巨乳だ……ん~きっとGカップくらいはあるんじゃないか?
ま、俺はイチイチ胸の大きさを気にしちゃいないけどさ。
「わあ、胸がでかいな! 知っているか、キョウ姐さん。女の偉さは胸の大きさで決まるってことを……ってなワケで俺が一番、偉い!」
「その理屈、間違っている気が……。」
「聞き捨てならぬ言葉であった――ってヤツですよ!」
「その理屈は間違っていますね! 許されざる言葉だ!」
「はうう、フレイヤのその胸、もぎ取りたい……。」
むう、フレイヤはリリス姫より巨乳かもしれん。
とはいえ、なんて理屈だ!
俺は気にしちゃいけないけど、同じ貧乳仲間のメリッサとミネル、ついでにフレイにとっては許されざる言葉だったのかもしれないなぁ。
「な、なんで怒るんだよ! うわああああっー!」
「お、お前達……。」
むう、フレイヤはキレたメリッサとミネル、それにフレイに追いかけられるかたちでシモーヌの宿屋の外へと飛び出して行く……やれやれだぜ。
「まったく困った女性達だ。胸の大きさごときでモメるなんて……。」
「ハハハ、まったくだな!」
「さてと、リリス姫様、お久し振りです。あ、俺……いえいえ、私ですよ。アナタとはご学友の間柄であったアシュトン・エルクシールです。」
「え、アシュトンなの?」
「はい、〝とある事情〟から、この全身甲冑を脱げないのですが間違いなく、アナタとはご学友だったアシュトンです。」
「と、とある事情?」
「はい、こういう事情でして……。」
「きゃあああ、兜のバイザーの下は骸骨!? ちょちょちょ……アシュトン、その姿は一体!」
へえ、アシュトンとは学友だったのね。
さて、そんなアシュトンも悪趣味だなぁ、全身甲冑の兜の部分の顔面を覆うバイザーを開け、動く骸骨という不死者と化した自分の一部をリリス姫に見せたワケだし……。
「ハハハ、中々、カッコイイでしょう? ギャキィ!」
「ど、どこがカッコイイのよォォォ~~~!」
「ま、それはともかく、ディルム元騎士団長はご一緒ではないようですね。確か、あの方と一緒に駆け落ちをしたという話を聞いておりましたもので――。」
「はい、追手に追われる中、離れ離れに……。」
「そ、そうでしたか! 何やら悪いことを聞いてしまったようですね。申しワケありません……。」
「いえ、謝罪の必要なありませんわ。あの方のことです。きっと無事だと信じております。ああ、そうそう、あそこにいるあのコに助けられ、無事にここへ辿り着きました。」
「ん、行商人かな? あの白いワンピースを着た麦藁帽子のお嬢さんは?」
ふーん、駆け落ちした相手であるディルム元騎士団長とやらは一緒じゃないようだ。
そういえば、彼女を追う追跡者がいるって話を聞いたことがある。
どうやら、そんな追跡者のせいで離れ離れになってしまったようだ。
で、運良く出逢った白いワンピースと麦藁帽子という格好をした行商人の女性に助けられたようだ。
「ああ、紹介しておきます。彼女はウェスタちゃん、オリン山の天空姫の神殿へお供え物を運ぶ最中だというのに、この私を助けてくれた恩人です。」
「フフフ、ウェスタだよ、よろしくね。ああ、暇潰しの一環だよ。私はね、こう見えても暇人なんだ。」
「へ、へえ、そうなんだ。でも、イイ人っぽいね。」
ウェスタは暇だから助けたって言う。
でも、弱い者を見過ごすことができない正義の心を持っていそうだ。




