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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
504/836

外伝EP08 魔族に転生したんだけど、とりあえず仕事を探してみます。29

 その轟音はマシュルカの森の外にある人間と同等、或いはそれ以上の知性と理性、そして言葉を喋ることができる獣達の集落であるエフェポスの村の中心付近まで響きわたったという。


 ついでに巨大な火柱が見えた――と、そんな目撃談もあったそうだ。


 追い剥ぎのボス明日太郎……いやいや、竜人アスタロの吐き出した光線吐息、恐るべし!


「おいおい、追い剥ぎ共のアジトが跡形もなく吹っ飛んでしまったぞ。」


「力加減を知らないようね。」


「うむ、子分達や結託しているハンターもいるっつうのに……。」


「まあ、とりあえず、洞窟ペンギンを救えたのが良かった……。」


「わ、そんな洞窟ペンギンが三羽⁉ ダハーカ教授、どこで残りの二羽を――。」


 さて、俺達は間一髪ってところで追い剥ぎ共のアジトの外に出ることができたワケだ。


 で、跡形もなく破壊され瓦礫の山と化した追い剥ぎ共のアジトの物陰に身を潜めアスタロの様子を窺っている最中である。


「う、うみゅぅぅぅ~~~!」


「ポノスの身体が縮んでいく……も、元の大きさに戻ったのか⁉」


「ああ、メリッサから奪い取ったエナジーが尽きただけよ、ダーリン。」


「なんだぁ、そうなのか……。」


「ウフフ、心配してくれた? んじゃ、またメリッサにエナドレしちゃおうかなぁ☆」


「ヒイイッー! 私がいくら不死身のゾンビだからってエナジードレインはやめてくださいィィ!」


 ふう、なんだかんだと、ポノスが俺達を追い剥ぎ共のアジトの外に瞬間移動させてくれたので難を逃れたった感じだな。


 が、その身に蓄積していた魔力をすべて消費してしまったようだ。


 そんなワケで元の小さな妖精のような姿に戻ってしまった――と、そんな感じである。


「うう、ボス……酷い……。」


「ボス、助けて……。」


「ボス……けて……」


「ん、呻き声が聞こえる。」


「追い剥ぎ共も瓦礫の下敷きになっているようだが、とりあえず生存確認だな。」


「どうする、ダーリン。アイツらを助けてやる?」


「うむ、罪を憎んで人を憎まず……だな。よし、明日太郎をどうにかしてから瓦礫の下から助けてやるか……う、うわあっ!」


 アジトが瓦礫の山と化し、そんなワケで生き埋めになってしまっている追い剥ぎ共を助けてやるか、罪を憎んで人を憎まず――と、思い立った刹那、瓦礫の山の一部が弾け飛ぶ!


「グギャアアアッ!」


「ガ、ガアアッ……ボス……!」


「なんだ、瓦礫の山が弾け飛んだ……あ、明日太郎が空に!」


「アイツ、空を飛べるの?」


「翼があるしなぁ……って、あのドラ娘! 子分達が瓦礫の山の下で呻き声を張りあげているのに!」


 むう、腕を組んだ状態で空中を飛びまわすアスタロの姿が、瓦礫の山と化したアジトの上空に見受けられる。


 く、アイツ、子分諸共、瓦礫の陰に身を潜めている俺達に対し、攻撃を仕掛けたのか⁉


「オラアァァ! 狼男、どこの隠れている!」


「あ、あの野郎! 瓦礫の山を目がけて衝撃波を!」


「光線吐息以外にも攻撃技を持っているようね、ダーリン。」


「衝撃波か、よし……トモヒロ、俺達も衝撃波で対抗だ! ベトッフデウフクバ!」


「おう、ユウジ! ベトッフデウフクバ!」


 アスタロの奴、衝撃波を発生させられるのか!


 それで上空から瓦礫の山に――と、そんなアスタロに対し、ユウジとトモヒロが衝撃波を発生させる攻撃魔術を撃ち放つ……お猿魔術ってか!


 目には目を歯には歯を――と、衝撃波には衝撃で対抗する作戦だろう。


「う、うぐっ……こんなモノ!」


「あ、あれぇ、直撃したのに、何事もなく空を飛んでいやがる!」


「ユウジ、奴はバリアを張ったんじゃないのか⁉」


「は、私にはどんな攻撃も通じん……そこだッ!」


「わあ、俺達が隠れている場所がバレちまったー!」


 バチィィッ――と、そんな破裂音が響きわたる。


 ユウジとトモヒロが撃ち放ったお猿魔術がアスタロに直撃だ――が、まったく効果なし、ノーダメージだ!


 アスタロはバリアを張って防いだのか⁉ それとも別のやり方で――。


 う、それはともかく、瓦礫の山の俺達が身を潜める場所がアスタロにバレてしまったっぽいぞ!


「く、バレてしまった以上、誰かが囮になって――。」


「誰かが囮に⁉ ちょ、ビリー、それをアンタが――。」


 むう、自分が囮になる――と、ビリーが身を潜める瓦礫の山の陰から飛び出すのだった。


「亀ェェェ~~~! 狼男も一緒だなッ……ぐ、ぐわッ!」


「銃弾は――実体のある武器は効果があるっぽいな!」


 ビリーは瓦礫の山の陰から飛び出すと同時に、愛用する火縄式拳銃の銃爪(ひきがね)を引き発砲したようだ――お、おお、実体を武器である銃弾が、パーンと乾いた音を奏で空を引き裂きながら、上空にいるアスタロの身体に直撃したぞ!


 アスタロのバリア(?)は、ユウジとトモヒロが放った衝撃波を発生させる魔術を防げても、ビリーの愛用する火縄式拳銃の銃口から放たれた銃弾は防ぐことができないようだ。


 ちなみに、アスタロの右足の脹脛(ふくらはぎ)に命中したようだ。


「痛ッ……痛いィィィ~~~! だけど、この程度の傷など――ッ!」


「な、何ィ! 銃痕があっと言う間に癒えてしまったぞ!」


 一瞬、アスタロの身体が光った気がする――う、ビリーの愛用の拳銃の銃口から放たれた銃弾によって撃ち抜かれた右足の脹脛にある銃痕が、まるで何もなかったかのように消え失せる。


 おいおい、再生能力も持っているのか、アイツ! しかも一瞬で再生するほどの驚異的な――。

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