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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
497/836

外伝EP08 魔族に転生したんだけど、とりあえず仕事を探してみます。22

 ダハーカ教授――ダハーカ・ゲーハという人物は、著名な考古学者である一方、稀少動物の保護のためなら手段を択ばない過激な希少動物保護を謳う活動家だと教え子であるメリッサから、後日、聞くのだった。


 そんなダハーカ教授に殺された希少動物ハンター、盗掘目的で某古代遺跡に忍び込んだ盗賊がいるってウワサもあるそうだ。


 それさておき、俺達は抜け足、差し足、忍び足でマシュルカの森の中にある廃ホテル――いや、追い剥ぎ共のアジトの中を進むのだった。


「古い建物は嫌だなぁ、一歩進むごとのミシミシと床からの音が聞こえるし……。」


「床鳴りは古い建物だと起きてしまう仕方のない現象よ、ダーリン。」


「それはわかるんだが、この音のせいで追い剥ぎ共に俺達の存在がバレそうだぜ。」


「重さも関係しているんじゃね、兄貴?」


「うむぅ……。」


 なんだかんだと、限りなく人間に近い姿をしている魔族の俺とポノス、それに人間であるダハーカ教授とメリッサ、ついでにもっとも体重が重いガラパゴスゾウガメのビリーが追い剥ぎ共のアジトの中を進む度、ミシミシと床からの音が響きわたる。


 古い建物である故に仕方がないとは思うが、これがきっかけで俺達が侵入したことが追い剥ぎ共にバレなきゃいいんだが――。


 ん、小フレイヤと大フレイヤを忘れてるっつうか、アイツらも人間だろうって?


 むう、あのふたりのことなんだが……。

 

「猫に変身して無音で歩けばいいじゃん。」


「猫は足音を立てない動物だしねぇ~☆」


「お、お前って猫だったのか⁉」


「違うわ。変身したのよ、変身?」


「つーか、この姿を見てどう思う?」


「す、凄く可愛いです!」


 小フレイヤはスラリとした細身のオリエンタルなシャム猫、一方で大フレイヤはモコモコとした長い毛を優雅になびかせた真っ白なペルシャ猫に変身し、一切、足音を立てずにアジト内を進んでいる。


 オマケに、ユウジ、トモヒロ、ルリ、それにヤスとハニエルも音を立てずにアジト内を進んでいる。


 古い建物ということで起きてしまう床鳴りという現象を発生させない軽量な小動物限定の特技って言ってもいいような気がするんだよなぁ……ちと羨ましいかも。


「ん、この気配は⁉ みんな物陰に身を潜めて……誰か来たわ!」


「だ、誰かって追い剥ぎ? とにかく、どこかに隠れるか――。」


「ここは巨大な物置小屋みたいだから隠れる場所がたくさんあるわね、ダーリン。」


「ああ、確かに……よし、俺はあの大きな古時計の後ろに隠れるぞ。」


 誰か来た……だって⁉


 俺の首にマフラーのように巻きついている真っ白なキングコブラことサマエルが、いち早く何者かの気配を感じ取る。


 で、追い剥ぎ共のアジトである廃ホテルは、ポノスの言う通り、巨大な物置小屋でもあるのか動かなくなった大きな古時計や箪笥(たんす)なんかが、そこら辺に無造作にぶん投げてあるワケだ。


 ふう、隠れる場所に苦労しなくて済むぜ……っと、足音が聞こえてきたので、俺は近くにある大きな古時計の後ろに身を潜めるのだった。


「うおおー! 頭が痛ぇ飲みすぎたぜ!」


「ハハハ、まだ昼間だっつうのに飲みすぎたぞ、おい。」


「うっせぇ! 飲みたい時に飲む、女は抱きたい時に抱く……それが俺の生き様よ!」


「おいおい、酒はともかく、間違ってもボスを口説くんじゃないぞ。」


「ヒヒッ……わかってらぁ。美人だが口説こうなんざ冗談じゃねぇ!」


 ん、ふたりの柄の悪い人間の男がやって来る。


 追い剥ぎ共、或いは協力関係にあるハンターかもしれないな。


 で、そんなふたりの柄の悪い人間の男の片方は、昼間から酒瓶を持ち歩くような酔っ払いのようだ……う、強烈な酒の臭いが身を潜める大きな古時計の裏側にまで漂ってきている。


「ダーリン、追い剥ぎ共のボスは女かもしれないわね。」


「ああ、あの酔っぱらいの話が本当ならな……って、お前もここに隠れるのかよ!」


「ダメ?」


「この古時計は大きなモノだが、流石にふたりも身を潜めるのは厳しいし……。」


「じゃあ、また妖精サイズに戻ればいいかな?」


「うむ、それなら……。」


 追い剥ぎ共、或いはハンターのボスは女のようだ。


 美人だって酔っぱらいは言っているけど、質の悪い人物なんだろうなぁ……。


「んん、誰かいるのか、そこに?」


「「――ッ!」」


 く、俺とポノスのヒソヒソ話を聞かれてしまったか⁉


 う、俺とポノスが身を潜める大きな古時計の側に、柄の悪い男のひとりが近づいてきたぞ。


「ダーリン、魔術でぶっ飛ばしましょう!」


「魔術? この短剣をまた巨大化させて、あの男をズバッと真っ二つにするとか?」


「まあ、それもいいわね! やっちゃえ、ダーリン!」


 む、むう、近づいてきた柄の悪い男を魔術ピコポンの異界化し、広大な空間と化した胃袋の胃壁にも容易に突き刺さったウルカヌスの鍛冶工房兼ホテルの武器庫から持ち出した短剣で黙らせるか――。


「う、うお、なんだ、お前は……ヒ、ヒイイィ!」


「な、なんで……なんで、こんな……こんな化け物がいるんだ、ギエエッ!」


 な、なんだ……い、今、悲鳴が聞こえたぞ。


 ふたりの柄の悪い男の身に何が起きたんだ⁉


「うひゃああ、どこにいたんですか、アレは――ッ!」


「ア、アレってなんだぁ!」


「兄貴、出たんだよ!」


「な、何が出たんだよ、ユウジ!」


「おおお、狼男だ――ッ!」


「な、なんだってー!」


 狼男が出現した⁉


 で、そんな狼男が柄の悪いふたりを男を倒したとでも……。


 つーか、どこにそんなモノが潜んでいたんだ⁉

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