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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
491/836

外伝EP08 魔族に転生したんだけど、とりあえず仕事を探してみます。16

「お、おお、ラジコン飛行機か、アレは⁉」


「まあ、そうなるかな? だが、俺達はアレに乗って兎天原を空から守護しているんだ。」


 さて、ウルカヌスの鍛冶工房兼ホテルの外――アリオンの森の中にある広場には、無数のラジコン飛行機が見受けられる。


 で、そのすべてが旧日本軍の主力戦闘機だったゼロ戦型である。


 お、兎や猫が一匹くらいなら乗せて飛べそうなドローンも見受けられるぞ!


「これらはすべて聖地アンザスってところから持ってくるんだ。」


「聖地アンザス?」


「別次元からの漂着物が流れ着く場所だったと思うわよ、ダーリン。」


「お、おお、そんな場所があるのか……。」


 兎天原には凄い場所があるようだ。


 聖地アンザスか、今度、行ってみるとしよう!


「それにしても獣だらけね、ダーリン。」


「うむ、だが、小動物が中心だな。」


 さてと、ヤマダが率いる獣人飛行隊の隊員は、兎や猫といった小動物が中心のようだが、子熊や子ライオンなんかの姿も見受けられるぞ。


「なんだかんだと、ビリーが一番、身体がデカいな。」


「ああ、そのせいで俺専用の飛行機がないんだ……。」


「そ、そうなのか、それは残念……。」


「それはともかく、当然、気づいているよな?」


「え、何を?」


「ダーリン、首……首を見てよ!」


「首を見ろって? ん、いつの間に俺は真っ白なマフラーなんか……ち、違う! これは真っ白な蛇……真っ白なキングコブラが巻きついているじゃないないか!」


 うーむ、喋る亀とはいえ、大型種のガラパゴスゾウガメであるビリーが乗れるようなサイズのラジコン飛行機は存在しないようだ。


 と、そんなビリーのことはともかく、俺の首に一匹の真っ白いキングコブラがマフラーのように巻きついているんだが、コイツも獣人飛行隊の隊員なのか!?


「私はサマエル。イイ人間の男がいたんで、ついつい首に巻きついてしまったわ。」


「あ、あのぉ、ダーリンは魔族よ! つーか、離れなさい……ライドレしちゃうわよ!」


「わお、それは嫌だわ! でも、その前に毒牙で……。」


「ま、まあ、落ち着け、お前ら!」


 俺の首に巻きついている真っ白なキングコブラは、長い舌を出し入れさせながら、サマエルと名乗る。


 で、そんなサマエルと名乗る喋るキングコブラを俺の首から引き離そうとするポノスと一触即発な状況に――。


「それより、俺達をスカウトしたのはいいけど、もしかして新事業を始めるからか?」


「ああ、そうなるな。ま、詳しい話はピコポンの丸焼きを食べながら話すとしよう。」


「あ、ああ……って、草食獣の兎なのに鶏肉を食べるのかよ!」


「ん、何か問題でも?」


「いや、食べられるならいいんだが……。」


 ポノスとサマエルのことはともかく、ヤマダが俺をスカウトした理由は、そんなヤマダが隊長を務める獣人飛行隊が始めるという新事業絡みのようだ。


 さて、なんだかんだと、獣人飛行隊が始めるという新事業を祝う祝賀会も、つつがなく始まるのだった。


「単刀直入に言うぞ。新事業とは、兎天原の東方に住まう稀少動物の保護活動のことなんだ。」


「え、稀少動物の保護活動だって⁉」


 獣人飛行隊の新事業とやらは、稀少動物の保護活動のようだ。


 さて、そんな稀少動物をどんな連中から守護(まも)れって言うんだ、ヤマダは――。


「で、一体、どんな連中から、稀少動物を守護れって言うんだ?」


「うむ、また単刀直入に言うぞ……人間からだ!」


「人間……だと!?」


「ああ、主に兎天原の政治経済の中心地である都会……北方の人間達からな。」


「なるほど、兎天原の北方の人間達にとっては、同じ兎天原とはいえ、東方に住まう稀少動物は狩りの対象、或いは捕獲して動物園やサーカスで見世物にすれば一攫千金も夢じゃないし、お金に意地汚いない連中なら本当にやりかねないわね。」


「うへぇ、異世界とはいえ、やっぱりいるんだなぁ、欲深い連中が……ま、当然かな?」


 人間の欲深さは、ある意味で底なし沼だな。


 例え、それが異世界であっても……。


 で、兎天原の政治と経済の中心地である北方からやって来る稀少動物を捕獲し、動物園やサーカスで見世物にしようと目論む一攫千金を狙う好事家は、例え異世界であっても絶対にいる展開だなぁ――。


 とまあ、そんな連中から稀少動物を守護る新事業をヤマダ達、獣人飛行隊が始めるようだ。


「で、新事業こと稀少動物の保護活動は、主に地上で行ってもらう。空から保護活動には万事抜かりないが、地上からの保護活動は、隊員不足ということで手薄な状態というワケで君達をスカウトしたんだ。」


「隊員不足かぁ、如何にもそんな感じだな。ビリー以外は、みんな飛行機乗りっぽいし……。」


「む、むう、悔しいが否定はできんな。ふう、私も空を飛べたらなぁ……。」


「な、なあ、ひとつ訊きたいんだが、稀少動物を捕獲しようとしている好事家って、あの三人組のような?」


「あ、ああ、アイツらか! うーん、多分なぁ……。」


「おい、あのBBAと一緒にすんな!」


「そうよ、そうよ! 別に希少動物に興味がないワケじゃないけど、一緒にしないでほしいわね!」


「お、お前は小フレイヤと大フレイヤ!」


 小フレイヤと大フレイヤ?


 ああ、この世界へやって来て最初に遭遇した妙な連中だったな……あ、あれ、もうひとりいたような?


 まあ、それはともかく、背の高さと胸の大きさの違いはあるけど、容姿なんかは双子の姉妹というぐらい瓜二つなふたりの人間の女が、獣人飛行隊の隊員達の中に紛れ込んでいる。

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