EP7 俺、家出姫と出逢います。その2
「フン、この俺が死んでるだと!? は、信じられるかよ! ああ、その飲み物をもらうぜ!」
「ちょ、俺のアップルジュースっすよ、それ!」
お、おい、アシュトン君、お前は骸骨なんだし、当然、何か飲んだら……。
わ、ビチャビチャとヤスから奪い取ったアップルジュースが床に……。
「美味ぇ! 喉が渇いてる時に飲むジュースは最高だぜ!」
「やれやれだぜ……。」
いい加減、気づけよなぁ、まったく……。
まあ、アシュトンご本人が満足ならそれでいいかぁ。
「おーい、みんないますぅ?」
「ん、誰か来たぞ。フレイか?」
「てか、いつまで、ここにいる気なんだ、フレイヤ……。」
「いんだよ、細ぇことは! それにここは妙に居心地がいいんだ。」
「は、はあ……。」
「そんなことよりキョウさんは、ここにいますね……むうう、じゃあ、あのキョウさんそっくりな女性は、似て非なる別人かな?」
え、どういうこと!?
アジトにやって来たフレイが、俺と目が合うなり、そんな妙なことを言い出す。
俺と似て非なる別人――ちょ、俺のそっくりさんがエフェポスの村にやって来たのか!?
うーん、まさかとは思うけど……。
「お嬢さん、それはきっとリリス姫だと思う!」
「ヒ、ヒイィ! 動く骸骨!」
「ああ、俺が動く骸骨だって? どうだい、カッコイイだろう~~~!」
「むう、どこがカッコイイのよ! つーか、不死者の使い魔が増えたわね、キョウさん。」
「ああ、そんなところだ。」
「ちょ、使い魔ってなんだよ!」
「そのままの意味さ。アシュトン君は俺の使い魔として蘇ったんだ。あ、そうそう、ひとつ注意しておくぜ。俺のもとから半径三十メートル以上、離れるなよ。その骨々な身体を維持することができなくなるからさ。」
アシュトンには悪いが、ああする他、助ける方法がなかったワケで……。
「おっと、件のそっくりさんがリリス姫かもしれないだと!? ちょっと逢ってみたいかも!」
「俺も行きたい! ついでに食べ物を買うぞ!」
「ア、アシュトン君、多分、騒ぎになる予感がする! 君は動く骸骨だし……。」
「そんなツッコミを云々、言う前にアシュトン君は、何も食べることができないような……。」
「さて、とりあえず、全身甲冑を渡しておこう。アシュトン君、ソイツを着て行動したまえ。」」
「わあ、ブックスの表紙に見受けられるヒゲのオッサン顔が、今、光った……うええ、今度は全身甲冑を吐き出した! ま、まあ、みんなで行ってみようぜ!」
なんだかんだと、マーテル王国の家出姫ことリリス姫のことが気になるんだよなぁ。
本当に俺と容姿がそっくりなのか、などなど……あ、ああ、忘れていた!
今の俺は、そんなリリス姫の実妹のエリス姫ご本人でもあることをすっかり忘れていたぜ。
「あ、本物のリリス姫がいらっしゃるのなら、当然、一緒に駆け落ちをしたディルム元騎士団長も……。」




