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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
488/836

外伝EP08 魔族に転生したんだけど、とりあえず仕事を探してみます。13

 どうやらすべての魔力を解放してしまったがために、俺の身体はが動かなくなるほど疲労してしまっているようだ。


 そのせいだろうか、刃渡り八メートルを超える超大剣は、元の刃渡り三十センチほどの短剣の姿に戻る。


 さて、疲労困憊し、動けないこの状況で、異界化した魔獣ピコポンの胃袋の中から、どうやって脱出すればいいんだ……。


「ダーリン、動けましぇーん!」


「お、お前もかよ! それじゃ分離もできないのか?」


「うん!」


「即答かよ! くそぉ、なんてこった……。」


「ひゃああ、ゴルゴンワームが迫って来ているわ、ダーリン!」


「う、うわああ、マジかよ!」


 うく、疲労困憊し動けないっつうのに、なんてことだ!


 そんなこんなで異界化した魔獣ピコポンの胃袋の中に寄生する赤黒い芋虫の姿をした怪物ことゴルゴンワームが間近まで迫ってくる。


 コイツらは吸血生物だ。


 下手をすりゃ俺の周囲に無造作に転がっているミイラ化した獣たちのように血を一滴残らず吸い取られてしまうぞ!


「仕方がないのう。お主達、わしの身体にしがみつくのじゃ! うむ、わしの特技で脱出できるかもしれないからのう。」


「わお、お願いしたいです! 右足の血液も吸収されて、この通りの有様なので……。」


「うわ、本当に大丈夫なのかよ……。」


「はい、何度も言いますが、私もゾンビなので、この程度なら☆」


「お、おい、ニタニタ笑っている場合なのかよ……。」


「とにかく、わしの身体にしがみつくのじゃ! さあ、早く!」


「お、おう! だが、身体が言うことを……あ、あれ? 動ける!」


「俺が少しだけ体力を回復させたんだニャ。」


「しゃ、喋る本、お前、いつの間に⁉」


 むう、ユウジ、トモヒロ、ルリと一緒にいたキャリーケースの中に放り込まれていた喋る本が、俺の上着の中にいつの間にか潜り込んでいるじゃないか!


 ま、まあ、コイツのおかげある程度、肉体の疲労度が解消されたかな……お、歩けるぞ!


 それはともかく、ウサエルには、ここから脱出する術があるようだ。


 さ、なんだかんだと、脱出する術があるというウサエルに頼らなくちゃな!


 俺とポノス、それにコンザエモンは無事だが、考古学者でありゾンビでもあるメリッサはそうも言っていられない状況だしね。


「よし、全員しがみついたな……フンヌーッ!」


「お、おお、凄いジャンプ力だ! これなら胃壁の穴と表皮に開いた穴を潜り抜けられそうだ!」


 ウサエルが言う脱出方法とは、元の大きさに戻ってしまった超大剣――いや、短剣を媒介にして撃ち放った魔道砲によって生じた異界化したピコポンの胃袋の穴をトンでもないジャンプ力で飛び抜けることのようだ。


「おお、内側から表皮も撃ち抜いてあるし、上手く外に出られたぞ!」


「うむ、固有結界にも穴が生じたしのう。」


「固有結界? 俺にはよくわからんが脱出できただけでも嬉しい限りだぜ。」


「おお、無事に脱出できたみたいだな。しかし、驚いたぞ。突然、ピコポンの身体から紫色の光が吹き出して穴が生じたワケだし――。」


 ドーンッ――と、ウサエルの身体にしがみついた状態のままピコポンの身体の外に出ると、そこにはビリーやタヌキチの姿が見受けられる。


 どうやらピコポンの眷族であるピノポン共は、未だに睡魔の衝撃の効果によって眠っているようだ。


 故に、襲われることなく無事だったという感じだ――あ、でも、ユウジ、トモヒロ、ルリは未だに眠っているっぽいぞ。


「うおおお、死んだ筈の我が宿敵(とも)コンザエモンではないかーッ!」


「おう、俺が僧簡単に死ぬモノかよ、馬鹿野郎!」


「うお、狸と狐の殴り合いだー!」


「ダーリン、そんなことより、あの巨大雄鶏はまだ死んでないわよ!」


「ア、アイツ……ピコポンは、まだ生きている……だと⁉」


 な、何ィィ! ピコポンは未だに死んでいない……だと⁉


 魔道砲のよって胃袋、それに表皮にもぽっかりと大きな穴が生じたというのに、ズズーンッ――と、ピコポンは倒れることなく、その巨象のような雄々しい巨体を維持し続けているじゃないか!


 コ、コイツ……不死身か!


「ん~……これは!」


「どうしたんだ、ビリー?」


「立ったまま死んでいるぞ、コイツ。」


「え、立ったまま死んでいる……だって!?」


「立ち往生ってヤツかしら、ダーリン?」


 なん……だと、ピコポンは立ったまま死んでいるって!?


 弁慶の立ち往生ならぬ巨大雄鶏の立ち往生だというのか……。


「むう、流石にあんなデカい穴が身体に開いたら死ぬわ……。」


「ア、アレで死ななきゃ本物の怪物ですねぇ……。」


 確かになぁ、身体にぽっかりと大きな穴が開いている状態で動けるモノが存在した場所、それこそ本物の怪物だ。


「お、仕留めたようだな。ご苦労さん!」


「あ、ウルカヌス。」


 ん、アライグマのウルカヌスが、巨大な斧を背負いオマケに重厚や鎧兜を身につけた状態でやって来る。


 俺達がなんだかんだと仕留めたことになるピコポンを回収しにやって来たようだ。

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