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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
483/836

外伝EP08 魔族に転生したんだけど、とりあえず仕事を探してみます。8

「なあ、ピコポンの生息地って、もしかしてアスモダイの森の中にあるのでは……。」


「まあ、近場ではあるが、あの森ではないぞ。そんなワケで吸血鬼系生物は住んでいないので危険度は、あの森に比べると下がるぞ。」


「お、おい、吸血鬼が住んでいる森があるのかよーッ!」


「あるぞ。普通に――。」


「な、なんだってー!」


「兄貴、俺は遭遇したことがあるぜ。死を覚悟したくらいだァァァ~~~!」


「ちなみに、ここら辺の森はアリオンの森――通称、静かな森と言われている。」


 むう、俺はトンでもない場所に来てしまった気がする。


 吸血鬼かぁ、可愛い女のコの姿をしているなら許せるけど、流石にそんな都合イイ話はないよなぁ……。


 きっと、その姿を見たら正気を保つことができないくらい禍々しく冒涜的な姿をしていることだろう。


「おーい、着いたぞ。この先にピコポンがいるぞ。」


「ん、ピコポンの生息地っていうのは、あのアライグマが運営しているホテルがあった広場と同じような広場のようだな。」


「森の中の広場といえば、アリオンの森の中には、そんな開けた場所こと広場がいくつもあるぞ。で、ここは特に面積が広い場所だったと思う。」


 さてと、俺達は陸亀だけど、トンでもない脚力を誇る喋る陸亀ことビリーの後を追いかけるカタチで向かった先には、某野球ドームがすっぽりと入るくらいの広場が見受けられる。


 で、ビリー曰く、アリオンの森の中には、他にも広場が多数あるようだ。


 ウルカヌスの鍛冶工房兼ホテルがある広場は、そのひとつってワケだが、ここは若干、あそこよりも面積が広いかも――こ、ここに鶏の姿をした巨大な魔獣ピコポンが生息しているようだ。


「ア、アイツでやんす! あの個体がコンザエモンを食べてしまったでやんす!」


「う、うわあ、超デカい雄鶏がいる……ね、眠っている!?」


「その周りには大型犬並みの巨大な鶏もたくさんいるぞ!」


「アレはピコポンの眷族であるピノポンだ。」


「じゃあ、超デカいのが魔獣ピコポン⁉」


 俺は思わず絶滅した鳥類の一種であるジャイアントモアを連想してしまったぜ。


 と、それはともかく、広場には巨象並みにデカい雄々しい真っ赤な鶏冠が見受けられる巨大な雄鶏の姿が見受けられる。


 アイツが魔獣ピコポンのようだが、どうやら睡眠中のようだ。


 で、右の鼻の穴からは鼻提灯がプクーッと飛び出しいるし、オマケにゴゴゴゴと不快な(いびき)をかいている。


 とまあ、そんな魔獣ピコポンは、大型犬並みの巨大な鶏こと眷族のピノポンとやらを何羽も引き連れている。


「ピコポンはもっとたくさんいると思ったんだけどなぁ。」


「まあ、ここはそんなピコポンの生息地とはいえ、そのひとつにしか過ぎないと言っておこう。」


「え、あの超巨大な雄鶏が他の場所にも⁉」


「ここは割と生息数が少ない場所でやんすよ。」


「そ、そうなのか……。」


 ピコポンの生息地は、アリオンの森の中には、複数あるっぽいなぁ、こりゃ。


「しばらく、茂みの中から様子を見よう。」


「だが、そうも言っていられないぞ。コンザエモンがピコポンに食べられてしまったんだろう、タヌキチ?」


「そうでやんす。早く助けないとピコポンの胃袋の中で溶かされてしまうでやんす……ヒョエーッ! そんなことより、ピノポンの一羽が俺達の存在に気づいたっぽいでやんす!」


 鎖帷子を身に着けた狸ことタヌキチが悲鳴を張りあげる。


 むう、確かにピコポンの眷族で複数羽いるピノポンの一羽が、茂みから様子を窺っている俺達の存在に気づいたっぽいぞ。


「コケッ! コケッケケケエッ!」


「ヒ、ヒィーッ!」


 むう、俺達の存在に気づいたピノポンの一羽が、そんな俺達が身を潜める茂みに向かって突撃してくるじゃないか!


「うは、他の個体にも気づかれたんじゃないか?」


「だが、こっちに向かって来ている個体以外は、今のところは半信半疑って感じだな。」


「チッ……じゃあ、こっちへ向かって来ている個体を斃し、ここから移動するぞ。」


 く、タヌキチが悲鳴を張りあげたせいで他の個体にも、俺達が近くの茂みに潜んでいることに気づいてしまいそうだ。


「コケコケケケッ!」


「むう、恨みはないが死んでもらう!」


「お、おお、ビリーがピノポンの背後に回り込んだぞ!」


 俺達の存在に気づいたピノポンは、茂みに潜む俺達に対し、必殺の一撃とばかりに猛烈な勢いで嘴を突き立てる。


 だが、鈍間なイメージがある亀とは思えない脚力を活かしたビリーが瞬時に背後に回り込むと、その刹那、ピノポンの頭がボンッ――弾け飛ぶ!


「おお、サイレンサーがついた火縄銃! それにビリーが二足歩行で……。」


 お、おお、そんなビリーが二足歩行状態――まるで人間のように立ちあがり、そして移動している!


 で、左右の前足が人間ような形状に……ん、サイレンサーのような筒状のモノが銃口についた小型の火縄銃が握られているぞ!


「獣人形態さ。人化の法は使えなくても、お前達、魔族と同じく〝人間〟に近い姿に変身できるぞ。」


「獣人形態ねぇ……っと、今のうちに、ここから移動しよう。」


 ビリーは獣人形態とやらに変身できるようだ。


 脚力も凄いと思ったら、そんな能力も……すげぇ亀かもしれないな。


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