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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP07 兎転生その13

「あ、そうだ。俺達の世界では絶滅してしまったジャイアントモアとかドードーを見たことがあるぞ。」


「な、なんだってー!」


「じゃあ、アルゲンタビスって巨大な鳥が本当にいても、ここじゃ別に不思議なことじゃないワケだな、キョウ姐さん?」


「ああ、ついでに言っておくが兎天原の南方には恐竜も住んでいるぜ!」


「う、うわー! それは更に驚きだなぁ!」


 ケモニア大陸には恐竜まで生息しているのか、ソイツは驚きだぜ!


 あ、ああ、でも、兎天原のみの話かもしれないな。


 それはともかく、キョウ姐さんがジャイアントモアやドードーといった俺が本来いるべき世界では、何百年も前に絶滅してしまった生物を見たことがあるって言っていたことだし、その仲間であるアルゲンタビスとかいう巨大な鳥が、本当に存在していても別段、不思議じゃない展開なのかも――。


「うわ、今、不気味な叫び声がッ……そ、空耳じゃないよな?」


「莫迦、何を言っている。あの怪鳥音が空耳なワケがないだろう!」


 今、鷲や鷹といった猛禽類の鳴き声のような甲高い音が聞こえたぞ。


 く、空耳じゃないなら、今いるアスモダイの森の中にある開けた場所――グラウンドの中央にある地下に埋もれた遺跡の内部に通じる穴の中から出られないじゃないか!


「ん、この匂い……地下遺跡の中に何者かの気配が! 誰だ、そこにいるのは!」


「アルテミス、まさか地下遺跡の暗闇の中に誰かいるとでも!」


 アルテミスは鼻がキュピーンと地下に埋もれた遺跡の入り口の奥――真っ暗闇のん内部に潜むモノの匂いを嗅ぎ取るのだった。


 前門の虎後門の狼という展開にならなきゃいいんだが……。


「く、出てくる気がないようだな! 引っ掻いてやる!」


「おいおい、刺激するなって、アルテミス! 仮にもタマゴローの同胞の猫の魔獣とかだったらヤバいだろう!」


「ニャハハハ、安心するニャ。俺の同胞は、こんな場所になんぞ潜んじゃいニャいって……あ、ヴァンキーかもニャ。あの吸血猿モドキはこういう場所が大好きだった気がするニャ。」


「それが本当なら危険すぎる!」


「そうじゃ刺激しちゃダメじゃ!」


「むう、もう刺激をするなって言っても無理ですよ、ウミコ様! ほら、地下遺跡の奥から何かが近づいてくる足音が……。」


「うお、ウクヨミの話はマジじゃ! き、聞こえてくるぞ、不気味な足音が……しかもふたつも!」


「な、何ィィ! わ、姿が見えてきた……気の弱そうなチビ眼鏡の女のコじゃないか! あ、愛梨か!」


 地下に埋もれた遺跡の内部に潜んでいるのがタマゴローの同胞である猫の魔獣や未だに姿を見せない魔獣ヴァンキーかも――と、そんな戦慄を覚えていたが安心したぜ。


 出てきたのは地味なチビ眼鏡の人間の女のコだったしなぁ……って、俺の妹の愛梨じゃないか!


 ふう、なんだかんだと、愛梨と合流できたぜ。


 一先ず、安心できたかなぁ……。


「あ、お猿と化した兄者でありませんかー!」


「う、お猿って言うな!」


「お、ヘラさんも一緒みたいね。」


「そんなことより、外に怪鳥に追いかけられて、ここに逃げた込んだの?」


「怪鳥が何羽もいたわね。故に、ここから下手に出られないのよね……。」


「うわあ、やっぱりいるのか! アルゲンタビスかもしれない怪鳥が……。」


「オ、オマケに何羽もいるって⁉」


 ん、愛梨は派手な赤い服を着た美女と一緒のようだ。


 コイツがヘラさんとやらだ。


 と、それはともかく、怪鳥――アルゲンタビスが何羽もいるようだ。


 おいおい、ここから余計に出られなくなったかもしれないぞ!


「そういえば、今、俺達がいる通路の先……地下に埋もれた遺跡の奥には何があるんだ、愛梨?」


 アルゲンタビスとかいう巨大な鳥が何羽いるのかってことも気になるけど、その一方で地下に埋もれた遺跡の内部がどうなっているかも気になるワケだ。


 そんなワケで俺は、ストレートにそのことを愛梨に訊いてみるのだった。


「門よ、門があるわ。」


「ちょ、ヘラさん、私が訊かれた質問なのに……う、うん、とにかく、門があったよ。円を描くよう配置された一メートルかそれくらいの石の柱に囲まれた門がね」


環状石柱(ストーンサークル)ってモノか⁉」


「ま、そんな感じだったわ。」


「で、そんな環状石柱に囲まれた門は多分、別世界に通じるモノだと思うわ。」


「別世界に通じる……だと⁉」


「ああ、でも、門に刻まれた碑文によると〝向こうからの一方通行〟らしい。」


 なんだかトンでもないモノが、この奥にあるようだ。


 しかし、一方通行なのは痛い!


 ふう、上手くいけば、この世界からおさらばできるかなぁと本気で思ったんだけど……。


「そういえば、起動した痕跡があったわね。何かが、あの門を介して召喚されたのかも……。」


「あ、それってルリのことでは……あ、いないぞ⁉」


「まさか、今いる地下に埋もれた遺跡の通路の外に出たんじゃ……。」


『やったぁ~☆ 大事なペンダントを発見できましたよ!』


「むう、外からルリの声が……やっぱり!」


 大事なペンダントを無事に回収できたようだけど、迂闊だ!


 俺達が何故、地下に埋もれた遺跡の内部に通じる通路に逃げ込んだのかってことを忘れているな、ルリの奴……。


『ギヨエエエエエッ!』


「うわ、けたたましい怪鳥音! ルリ、早く戻ってくるんだァァァ~~~!」


 ほら、言わんこっちゃない!


 身の毛の弥立つような怪鳥音が響きわたってきたし――。


 とにかく、今はルリの安全を確保しなくちゃいけないな!

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