表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
452/836

外伝EP06 お猿魔術師と貧乳死霊使い その37

 まるで太陽の光である。


 そう……直視すると危険極まりないほどの光量だ。


 とまあ、そんなトンでもない光を九体の青い蝶の翅は生えた遮光器土偶――ウグドナインは放っている!


「さあ、あの人間達に憑依した亡霊共を吹っ飛ばすぞ!」


「つーか、バラバラにしてやんよ!」


「吹っ飛ばすとかバラバラにするっつうか浄化する……だろう?」


「あ、そうだ、そうだったな。」


「いけねぇ、ついつい暴力沙汰に発展させるところだったぜ!」


「お、おいおい、暴力沙汰以上の行為だろうが!」


「俺は殺る気満々なんだけどな!」


「とにかく、やるぞ、お前ら!」


 髪型以外、その姿は同じであるウグドナインは、性格も皆、違うようだ。


 それはともかく、ウグドナインは青い蝶の翅が生えた遮光器土偶の姿である。


 あ、あれぇ、そういえば、可愛い女のコの姿をした妖精さんって感じの姿に変身しなかったっけ、コイツら?


「よし、一斉に発射するぞ――ッ!」


「「「おうッ‼」」」


 轟ッ――と、ウグドナインの青い蝶のような翅から光が放出される。


 ああ、そういえば、鱗粉は陽光を反射しているんだったな。


 故に、そう見えるんだった筈。


「うう、何が起きているのか見えないのが辛いぜ。」


 しかし、直視できないほどの光――太陽の光に相当する光量を放つなんて反則だぜ!


 これじゃ何も見えないぜ!


「ギ、ギィエエエエエッ! こノ光ハ反則だ!」


「だ、ダが、こノ光ハ癒さレル……ウ、ウお、何ヲ行ッテいるンだ、俺ハ!」


 そういえば、ウーサー峠に巣食う亡霊共の親玉であるギンヌンとガガプという亡霊も、この場に確か――。


 と、そんなギンヌンとガガプという亡霊の動揺する声が聞こえてくる。


 ウグドナインはアイツら一緒に浄化する気なのか⁉


「よし、フ~~~ニャ~~~!」


「お、おおおっ……み、見える! 見えるぞ!」


「タマゴロー、これは何かしらの魔術?」


「魔術というか、俺が光量をある程度、遮断したんだニャ。まあ、俺の周りにいるお前ら限定というカタチでニャ!」


「へ、へえ、そうなんだ。」


「そんなことより、アレを見るのじゃ! ルニウスって男の仲間達の身体から、半透明の黒いモノ共が一斉の飛び出したぞ!」


「きっと、あれは亡霊だね! わ、ラルダに憑依していたのか……蛇!?」


 本来は巨大な化け猫の姿をしていると思うタマゴローだけど、何故、未だに本の姿を維持したままなのやら……。


 と、それはさておき、流石は魔獣だな。


 太陽の光のような凄い光量のため迂闊に瞼を開けない状況を一気に解消する特技(?)を使ったようだ。


 そんなこんなで強烈な光が、ある程度、遮断されたのでやっと見ることができたぜ。


 オカマ兵士のラルダを筆頭としたルニウスの仲間達の身体から、禍々しい半透明の黒いモノ――動物霊共が一斉に吹き飛ぶ様を!


(おオおオオッ――こ、この光は……アッー!)


(なンだ……心ガ……清々シい気分になッテイく……アッー!)


 ん、ギンヌンとガガプという亡霊の声が聞こえる……し、しかし、奴らの姿はどこにも!?


 ひょっとして成仏して消滅したのでは!?


(ク、くクク、俺達ハうーサー峠に巣食ウ亡霊の中デは最弱の部類ヨ!)


 む、再びギンヌン或いはガガプと思われる声が聞こえてくる……さ、最弱の部類だって!?


「ふむ、十分にあり得る話ですね。古戦場でもあるウーサー峠で死んだモノの中には、ギンヌンとガガプ以上に厄介な人物、それに伝説では異界の超越者もいたそうです。」


「ふええ、それが本当なら激ヤバじゃないか!」


「故に、目を覚ましたのが、ギンヌンとガガプ率いる〝祓えるレベル〟の亡霊で助かったのかもしれませんね。」


「あ、ああ、それは言えるな……。」


 おいおい、レイラの話が本当ならウーサー峠には、一体どんなトンでもない幽霊がいるんだよ!


 まあ、その手の類いが目覚めていないのは、ある意味で奇跡かもしれないな。


「よしよし、とりあえず、ここは安全かなぁ……ん、お猿とウミコがいなくなってないか?」


「あの本……タマゴローもいませんね、お姉様。」


「気のせいですかね? あの本が大きな黒い猫ちゃんに変身していた気がしました。」


 まだまだ安全ではない気がするんだが……あ、既に俺とトモヒロ、それにウミコとタマゴローは、キョウ姐さん、フィンネア、レイラの側を離れている。


 タマゴローの奴が真の姿を――巨大な黒猫の姿に変身し、猛スピードでキョウ姐さん達の目の前から立ち去ったワケだ。


 で、そんな真の姿を現したタマゴローの背中に乗るカタチで俺達も――って、ヤツだ。


「むう、アイツら! だけど、どこへ行ったのか、なんとなくわかったけどな!」


 え、マジで!?


 そうつぶやくキョウ姐さんは、クククク――と、喉の奥で笑うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ