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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
448/836

外伝EP06 お猿魔術師と貧乳死霊使い その33

「ウがアアああアッ! 殺ス、ころころス!」


「ヒャハッ! ヒャッはッホ! 皆殺シだ!」


「テテテ、テメェらを八ツ裂キにスりゅぅぅ!」


 活力が失せた死人のような土気色の肌、ギュルンと白目を剥いた両目、そして口からがダラダラと涎を垂らし――と、とにかく、ギンヌンとガガプという亡霊の配下の亡霊共に憑依された人間達が、一斉に襲いかかってくる!


 く、コイツらは身体のリミッターが解除されて常に火事場の馬鹿力こと潜在能力を発揮できる状態だし、この状況は厄介もいいところだ。


「うわああ、こっちに来たぞ!」


「おい、骸骨のストックはまだあるのか、フィンネア!」


「お姉様、身体がバラバラになって再起不能状態のアイツらとホネモス一号だけです……。」


「く、マジでミネルだけでも連れて来るんだったな!」


「うーん、今の質の悪い亡霊に憑依された状態だと薬妖拳は通じるかどうか……。」


「よっしゃ、なんだかんだと、魔術でぶっとばすの一番の解決方法だニャ!」


「うーん、それは一番かもなぁ……。」


 むう、タマゴローの言う通りだな。


 魔術でぶっとばすのが一番の解決方法かも……。


 上手くいけば、亡霊を憑依している人間の身体から追い出すのこともできそうだしな!


『やれやれ、世話が焼けるぜ。つーか、あの人間達を無傷で救えるのは俺だけなんだが……。』


「う、今の声は……う、うおー!」


 う、突然、妙の声が⁉


 それと同時に、何かが俺の尻尾を掴む……う、お前は――ッ!


「あ、青い翅が生えた妖精さん?」


「ハハハ、嬉しいことを言ってくれるじゃないの! ああ、俺だよ、俺!」


「だ、誰だよ!」


「何ィィ、まだわからんのか、このお猿は! ほら、教皇マリヌスから手渡されたモノがあるだろう?」


「え、あの遮光器土偶?」


「シャコウキドグウ? 俺の名前はウグドだ。そんな名前ではないぞ! まあ、とにかく、必殺滅霊兵器として、あの人間達を浄化してやろう!」


 ちょ、マリヌスがレイラに手渡した遮光器土偶が背中にほのかに発光する宝石のように輝く青い美しい蝶の翅が生えた長い黄金色の髪の毛を赤いリボンでツインテール状に束ねている可愛いらしい十五、六歳くらいの少女の姿をした妖精の姿に変化したんだが……し、信じれねぇトンでもない変貌だ!


 も、もしかして、あの遮光器土偶は蛹だったのか⁉


 んで、可愛らしい妖精さんの姿に羽化したとか……。


 ああ、ちなみに、ウグドの大きさは三十センチくらいかな?


 ま、まあ、なんだかんだと、必殺滅霊兵器としての能力を見せてもらおうじゃないか!


「さあ、哀れで痛ましいこの世に未練を残しまくりの亡霊共に憑依されてしまった人間達を浄化するぞ、お前ら!」


「お、お前ら⁉ わ、ウグドとかいう妖精さんが分裂した!」


「一、二、三……む、ウグドが九人に⁉」


「ニャハハン、人呼んでウグドナインだァァァ~~~!」


 髪型が違うという細かい相違点はあるけど、本体のウグドって妖精を含めた九人に分裂する!


 通称、ウグドナインねぇ……っと、そんなウグドナインの身体が青白く光り始める。


「よっしゃ、浄化の力を思い知れや!」


「ウフフ、浄化の力ですわ!」


「さあ、聖なる力で浄化するわよ!」


 ウグドナインは髪型だけじゃなくて人格も別々っぽいな。


 分身というか、コイツらは一卵性の九つ子と言った方が正しい気がしてきたぜ。


 さて、ウグドナインの身体が、さらに発光する……う、眩しすぎて何も見えない!


 ひ、光の奔流が拡がっていく!


「ウ、ウプッ……こ、これは鱗粉では⁉」


「ビンゴかもな、ゲフゲフッ!」


「じゃあ、この瞼を開けていられないほどの光の正体は……。


「鱗粉が、鱗粉が陽光を反射しているんだ、ゲフゲフッ!」


 う、鼻がムズムズするっ……うく、この瞼をあけていられないほどの強烈な光の正体は、ウグドナインの青い蝶のような翅を覆う微小な欠片……鱗粉が陽光を反射したモノなのかも⁉


 し、しかし、陽光を反射するにしても光量が強すぎる!


「ゴ、ゴアアア! ギュエエエエ! ギャブバボバババッ!」


「や、ヤめ……ロ! こノ身体ガ……グギエエエエッ!」


 瞼を開けていられないので、何が起きているのかわからん……し、しかし、しかし、もがき苦しむようなギンヌンとガガプという亡霊の配下の亡霊共に憑依された人間達のモノと思われる禍々しい奇声が響きわたる。


「ユウジ、もう大丈夫だぞ。」


「お、おお、光が……な、何もなかったかのように消えている!」


 ウグドナインの青い蝶のような翅から放出された鱗粉は、吹き抜けていく風によって拡散してしまったんだろうか⁉


 そのおかげでやっと瞼を開けることができる。


「あの人間達は、〝あんなモノ〟に憑依されていたようじゃぞ。霊とは末恐ろしいのう……。」


「あああ、あの巨大な透けて見える黒い影みたいな奴が、あの人間達に憑依していたのかよ!」


 む、ギンヌンとガガプという亡霊の配下の亡霊に憑依されていた人間達が全員、地面に倒れている――が、その身体から何から得体のしれないモノが飛び出している!


 ソレは半透明の黒い物体……ううう、禍々しい赤々としたふたるの眼を輝かせた大悪霊と言っても過言じゃない巨大な亡霊だ!


 お、おいおい、こんなモノが憑依していたのかよ……トンでもない話だぜ!


 

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