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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP06 お猿魔術師と貧乳死霊使い その26

「ユウジ、朝ご飯だぞ!」


「お、おう……。」


「今日は朝から焼肉だ! ガッツリ食って元気に学校へ行くんだ!」


「おいおい、朝から焼肉かよ……。」


 むう、二度と逢うことができないだろう親父の厳つい顔が目の前に……。


 そ、そうか、俺は夢を見ているのか……。


 だから俺の身体は人間のモノに戻っているワケだし、それに……。


「よお、起きたか、ユウジ?」


「う、うおお、キョウ姐さん! ななな、なんで素っ裸なんだァァァ~~~ッ!」


 お、親父に続いてキョウ姐さんの姿が!


 しかも俺の横に素っ裸で寝転がっているじゃないか!


 ア、アハハハ、大体、こーゆー夢を見ると、必ず……。


「うっ……こ、ここは⁉」


 ふ、ふえ、何者かが俺の尻尾を掴んでいる……む、むう、やっぱり、俺は夢を見ていたようだ。


 アハハハ、そんなこんなで眠りから覚めた途端、俺は落胆する。


 俺はワオキツネザルの姿のままだし――。


「ふう、やっと目を覚ましたみたいだな。」


「涎を垂らしおって。一体、どんな夢を見たいたのじゃ?」


「トモヒロ、それにウミコ……お、タマゴローもいるみたいだな。でも、キョウ姐さんやフィンネア、それにレイラと幽霊のラルヴァはどこ?」


「さあなぁ。まだ、ここへ来ていないだけなのかも……。」


「というか、ここは兵舎のようじゃぞ!」


「へ、兵舎……って、なんで、そんな場所に⁉」


 ここは兵舎……兵士達の詰め寄り所じゃないか⁉


 何故、こんな場所に――ん、誰かやって来たぞ!


「やあ、お目覚めのようだニャ。」


「ん、モコモコした白い猫?」


「うお、俺の仲間だニャ!」


「おいおい、本の姿のままで、それを言うのか、お前!」


「え、その本は私と同じ猫ニャんですか⁉ む、むう、とにかく、私と同じ東や南からやって来た仲間っぽいから忠告しにやって来たニャ!」


「え、忠告⁉」


「う、うにゃ、人間の領域では……あ、ルニウスが来た! み、皆さん、しばらく〝タダの獣〟のフリをするニャ!」


「え、タダの獣のフリを⁉」


 ここへ兵舎のようだ。


 で、俺達が今いる部屋は、そんな兵舎内にある一室でベッドと机、それに本棚があるだけの簡素な部屋である。


 で、そんな部屋へとモコモコした真っ白な猫はやって来る。


 ん、ペルシャ猫かな?


 さて、そんなペルシャ猫は喋る――ま、まあ、この世界じゃ獣が喋っても当然である。


 それはともかく、ペルシャ猫はしばらくの間、〝タダの獣〟のフリをしろ――と、忠告する。


 それから間もなく軽装の鎧を身に着けた背の高い優男が、俺達がいる部屋にやって来るのだった、


「お、どこにもいないと思ったら、僕の部屋に来ていたのか、ガウィン。」


「ニャ~ン、ゴロゴロ♪」


「フフフ、君は僕にしか懐かないんだよな。猫好きなメリウス先輩に嫉妬されちゃうよ。」


「ハニャ~ン☆」


「む、むう……。」


 あのペルシャ猫はガウィンの名前のようだ。


 つーか、タダの猫のフリをするのが上手いなぁ……って、元から猫だったな。


「しかし、珍しいなぁ、狐面のお猿をまさか二頭も見るだなんて……。」


 そりゃ珍しいさ。


 この世界ではどうかは知らんけど、今の俺は本来いるべき世界ではマダガスカル島という島にしかいない固有種であるお猿の一種であるワオキツネザルだしね。


 ん、そういえば、クロキツネザルの姿をしているトモヒロも俺と同じだったかな、確か――。


「あ、わかったぞ! 君達は希少動物をペットとして飼育している好事家な貴族の邸宅から逃げ出したんだな?」


「キ、キキキッ⁉」


「しっかし、マーナタウンがマーテル王国の新たな首都となって以来、増えてきているよなぁ、ゾロゾロと贅沢三昧な生活を送っている貴族や豪商といった連中が――。」


 おいおい、俺は物好きな貴族のペットじゃねぇぞ!


 と、それはどうでもいいけど、俺が今いるマーナタウンが現在の広大な兎天原全域を支配している国ことマーテル王国の首都のようだ。


『ふむ、実権は未だに先王が握っておるようだが、トップが変われば遷都もあり得るじゃろう。』


「うっ!」


『声をあげるでない。お前に脳みそに直接、声を届かせているのじゃ。』


 超能力の一種である喋ることなく物事を伝えたるテレパシーってヤツ!?


 と、とにかく、ウミコの声が頭の中に響きわたるのだった。


『これってテレパシーってヤツか⁉』


『ああ、間違いないぜ……う、うお、トモヒロの声も頭の中に⁉』


『おお、お前も早速、言葉を介さず意思を伝える方法を覚えたようじゃのう。』


『きっと兎さんが行ったことで目覚めたんだんだと思うニャ!』


 お、おお、なんだかんだと、トモヒロやガウィンの声も頭の中に……な、なるほど、言葉を介さず意思を伝える方法である超能力の一種テレパシーを使えるようになったようだぞ!


 というか、ウミコのおかげで俺やトモヒロ、それにガウィンの第六感的なモノが刺激されて覚醒したってことかな……かな?


『んー、しばらくはタダの獣のフリをしながら、テレパシーを介して語ろう。』


『うむ、それが無難かのう。人間の領域とわらわ達が住まう獣の領域では勝手が違うからのう。下手をすれば、異端審問兵が動くかもしれんし……。』


『ふ、ふえ、なんだか物騒な連中を想像したぜ!』


 む、むう、タダの獣のフリをしている方が確かに無難かもなぁ……。


 マーナタウンには、如何にも厄介そうな連中がいるっぽいし……。

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