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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP06 お猿魔術師と貧乳死霊使い その15

 場所まではわからないが、兎天原には迷宮図書館という古代から存在する図書館があるようだ。


 とまあ、そこから流失した曰くつきのモノというのが、禁断の叡知が書き記された生きている本……魔道書だって話を聞く。


 それはさておき。


「おいおい、俺達が乗っている本って、まさか!?」


「う、うむ、無名の魔道書……タマゴローじゃ!」


「ウニャ~……やっと喋ることができるようにニャったよ。」


「う、うおお、足許の空飛ぶ本が喋った!?」


 な、何イイ……俺達が乗っている空飛ぶ本が喋ったぞ!?


 なんだかんだと、そんな空飛ぶ本こと無名の魔道書に封印されている魔獣タマゴローが復活してしまったのかも……。


「ああ、だが、いくら頑張っても、この本の中から出られニャいが辛いニャ……。」


 復活したとはいえ、封印されている本の中から出られないところを見ると完全なカタチではないようだ。


「テ、テメェら! その空飛ぶ本は、まさか……クククク、やっと発見できたぜ! そんなワケで奪わせてもらうぜェェェ~~~!」


「う、うわ、また氷の塊が、あの男の周囲に!」


「さっきは突然、消滅してビビったけど、今度こそぶちあててやんよ、エテ公!」


「クククク、お前らを真っ黒コゲにしてやる!」


「あの人形野郎まで、こっちに来やがった!」


 さっきな突然、消滅した……あ、ああ、氷の塊のことか?


 むう、さっきは何が起きたのか見ていなかったが、また同じことが起きてくれないか願いたくなったぜ。


 己の魔力を介し、空気中の水分を凍結させ無数の氷の塊をつくるチョットフ、それに口から放射線状に炎を吐きながらゲーハビッチが近づいてきたし……。


「お、お前ってタマゴロー……魔獣タマゴローなワケ⁉」


「如何にも俺はタマゴローと呼ばれていたことがあるモノだニャ。だけど、魔獣呼ばわりされるのは腑に落ちないニャ。さて、それはともかく、さっきは俺が熱風を発生させて氷の塊を溶かしたけど、今度は〝お前達〟がやるニャ。」


「え、俺達がやる……ア、アイツらを倒せってこと⁉」


「そうだニャ。ほら、俺がさっき教えた魔術で――。」


 う、うむ、無名の魔導書はやはり魔獣タマゴローご本人だと認めたぞ……え、チョットフとゲーハビッチをさっき教えた魔術で倒せって⁉


 そのさっき教えた魔術っていうのは、まさか――。


「ユウジ、覚えているだろう? あの呪文を――。」


「あ、ああ、当然さ! よ、よし、唱えるぞ、トモヒロ!」


 当然、覚えているに決まっている。


 未熟者であるが故、威力はイマイチかもしれないけど、空気を激しく振動させ破壊の奔流を生み出す〝あの魔術〟を――。


「ギャハハハッ! 死ねよ、エテ公ォォォ~~~!」


「それはこっちの台詞だぜ!」


「まあ、死なないことを願うぜ!」


「な、なんだとぉ!」


「「ベトッフ・デ・ウフクバ‼」」


 ベトッフ・デ・ウフクバ――と、俺とトモヒロは同時に叫ぶ!


 その刹那、目の前がギュルンと螺旋を描きながら歪む――衝撃波がチョットフとゲーハビッチ目がけて放たれた証ってところだ。


「ぬ、ぬあにィィ! エテ公が魔術を使った……だと⁉ そそそ、そんな馬鹿なァァァ~~~!」


 螺旋を描く圧縮された空気の塊――と、そんな感じだろうか?


 ギュルルン――と、空間を湾曲させながら、飛び交う圧縮された空気の塊が、チョットフとゲーハビッチを弾き飛ばす!


「やった!」


「お、おい、待て……く、立ちあがったぞ、アイツ!」


 よし、再起不能(リタイア)だ!


 そう思ったが甘かったようだ。


 ゲーハビッチが何事もなく立ちあがる……う、不敵な笑みまで浮かべている。


 く、戦闘人形……人じゃない故にダメージじゃ軽微だったのか⁉


「ギャ、ゴギギ……ガシャララ!」


「こ、今度は奇声を……って、両膝をついたぞ⁉」


「見ろよ、口と頭の穴から煙が出ている!」


「ふむふむ、大丈夫だ。コイツは再起不能だ……もう動かない筈だ。」


「ちょ、キョウ姐さん、触ったら危険だって――ッ!」


 キョ、キョウ姐さん、無謀だ!


 武器を携えないままゲーハビッチに近づくだなんて――え、もう動かない、再起不能⁉


「ふむ、やはり、あの男が操っていた人形だったみたいだぜ。」


「あの男……あ、ああ、チョットフって奴が気絶してしまったから?」


「ああ、そうなるな。しかし、なんだかんだと、俺の予想はビンゴだったとは……。」


 ゲーハビッチはやはりチョットフの操り人形だったようだ。


 ちなみにチョットフは、自分が置かれた状況を理解できていない――と、そんな感じの驚愕が彩った表情のまま気絶している。


 故に、ゲーハビッチ――いや、操りに人形は動かなくなったんだろう。


「ん、ところで、お前は気づいているよな?」


「え、何が?」


「やれやれ、気づかないとはねぇ。人形はゲーハビッチって名前だろう? そんな名前を逆から読むとチッビハーゲ……っと、ここまで言えばわかるだろう?」


「チッビハーゲ……チビハゲ? お、おお、デブであることを除けば、チョットフって奴の見た目じゃん!」


 むう、ゲーハビッチって名前はチョットフの見てくれを隠語にしか感じじゃないかー!


 な、何故、そんな単純なことに気づかなかったんだ、俺は……。


「あ、キョウだ! それにウミコもいる!」


 んん、今度は誰だ⁉


 キョウ姐さんとウミコの名前を呼ぶ声が聞こえてきたワケだし――。

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