外伝EP06 お猿魔術師と貧乳死霊使い その2
「ワハハハ~♪ なるほどォォォ~~~! 気づいたら、お猿になっちまっていたってか、お前ら……フヒヒヒ、ワヒャハハッ♪」
「わ、笑うなよ……笑うなって……。」
「何気にショックを受けているんだ……キレちまいそうだぜ。」
く、笑うなよ……マジで。
何故かは知らんが、俺は動物園で飼育されているお猿の一種であるワオキツネザルになっちまったんだ……。
この状況を理解するのに、なんだかんだと時間がかかるんだ……。
その間は下手に刺激をしないでくれよ、姐さん……。
「なあ、まさかとは思うけど、お前らって日本人?」
「おう、その通りだ。」
「俺達は日本人で高校生だ。」
「わお、適当に言ってみたけど、まさかビンゴとはねぇ……あ、ああ、名乗っていなかったね。俺は和泉京太郎。〝こっちの世界〟ではキョウという名前で活動している。んで、お前らの同じ穴のムジナだ。」
「和泉京太郎……お、男みたいな名前だな。」
「そ、その前に、〝こっちの世界〟……ま、まるで、ここが別世界だって言っているみたいじゃないか!」
長身痩躯の美女の名前は、和泉京太郎というらしい。
おいおい、まるで男のような名前だな。
それに、まるでここが別世界であるような物言いだ。
「ここは別世界だな。信じられないかもしれないけど、俺は嘘を言っちゃいないぜ。」
「ほ、本当のことなのかよ……。」
「信じられねぇ……。」
「フフフ、まあ、無理もないよな。俺も最初は同じだった。しかし、運が悪いな、お前ら。〝こっちの世界〟へ来る際に、お猿の姿になっちまったワケだし――。」
「「む、むう……。」」
要するに、別世界である〝この世界〟へ来るための通過儀礼として、俺はワオキツネザルになっちまったってワケか⁉
「ちなみに、ここはケモニア大陸のど真ん中にある兎天原という区域だ。ああ、広さは俺達が本来るべき世界のユーラシア大陸より広いって聞くぜ。」
「「うわ、超広い!」」
「なあ、ここで出逢ったのも、何かの縁だし、ちと手伝ってほしいことがあるんだ。」
「て、手伝い?」
「ま、まあいいけどさ……。」
「お、決断が早いね! んじゃ、早速だが、〝とある猫〟を探す手伝ってくれ!」
ちょ、トンでもなく広い地域にいるのか、俺とトモヒロは――。
さてと、ここで逢ったのが、何か縁というワケで、俺とトモヒロはキョウ姐さんの手伝いをすることに……え、猫探し⁉
迷子の猫ちゃんでも探せって感じか?
まあいい、現状を把握するにはイイ機会だと思うしな。




