表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
413/836

外伝EP05 迷宮図書館管理人と四十人の盗賊 その48

「う、うわー! なんじゃ、こりゃー!」


「愛梨、あっちゃん、無事みたいね。」


「沙羅、アンタもここへ飛ばされたのね。」


「そ、そんなことより、私達は檻の中にいるみたい……。」


 私とアフロディーテさん、それに沙羅さんは重厚な鋼鉄製の格子戸がついた檻の中にいる。


 どうやら、この中の転送されたようだ。


 古代の転送魔術とやらで――。


「私達は覚醒の間とやらに転送されたんじゃ……。」


「どうでもいいけど、足許が熱くない?」


「う、うん、確かに……わ、わあ、檻の外を見て!」


「檻の外を見ろって……う、でっかい煮えたぎった紫色のお湯が満たされた巨大な釜が、私達がいる檻の下にあるわ!」


「ヒ、ヒエエエッ! なんでそんなモノがぁ!」


 なんか蒸し暑いなぁ……と、思ったら気のせいじゃなかった!


 私達が閉じ込められている檻の下には、煮えたぎった不気味な紫色のお湯が満たされた巨大な釜があるワケだし――。


 なるほど、この蒸し暑さの正体は、アレか……し、しかし、しかし、何故、あんなモノが⁉


「私達をあの大釜の中に放り込む気よ。きっと、この檻ごと……。」


「うわぁ、それは嫌だァァァ~~~!」


 冗談じゃない!


 一体、何が目的で……う、思い出したぞ。


 ナイとかいう男が、私達を死霊秘法とかいう魔導書を目覚めさせるための生贄にするとか言ってたし、それを実行しようとしているのかも――。


『キヒヒヒ、気分はどう?』


「声は下から……ア、アイツは確かヨルコ!」


 む、分厚い図鑑のような本を抱えたヨルコの姿が、巨大な釜の側に見受けられる台座のところに見受けられる。


 さて、双子というワケで、その容姿は瓜二つであるが、あえて違うところをあげるなら、眼鏡をかけているかいないかである。


「あの女が抱えている本が死霊秘法かも――。」


「アレを目覚めさせるために、私達を生贄にしようとしているようだわ。」


「その前に、ここから脱出する方法を考えなくちゃ――。」


 く、なんだかんだと、このままだと、煮えたぎる紫色の液体に満たされた巨大な釜の中に、閉じ込められている檻ごと落とされてしまいそうだ。


 うう、紫色の液体の熱気で檻の中は物凄く蒸し暑い……そのおかげで良案が浮かばないけど、なんとか脱出する方法を考えなくちゃ――。


「ニャハッ……死霊秘法が早く何か食べさせろって言っているわ。クククク、早く目覚めたいのね、コイツ☆」


「ちょ、ヨルちゃん。その文言から考えると、死霊秘法は既に目覚めているんでは――。」


「え、もう起きている……あ、確かに! うわあああ、本が……死霊秘法が勝手に開くぅ!」


 む、ヤミコの姿も巨大な釜のところに……う、死霊秘法が光っていないか⁉


 なんだか禍々しい赤い光を放っている……ちょ、あの生きた本は、既に目覚めているのでは⁉


「ど、どうするのさ、ヤミちゃん?」


「し、知らないわよ……わ、わああああっ!」


「ひゃああっ! ヨルちゃんを引きずり込まれたァァァ~~~!」


「い、一瞬だけど、猫の手が……真っ黒な猫の手が飛び出した気がする! それがヨルコってコを……。」


 ん、禍々しい赤い光を放つ死霊秘法の表紙が、パラパラパラ――と、勝手に開く……檻の中からじゃよく見えなかったけど、そんな死霊秘法の中にヨルコが取り込まれたみたいだ!


 うーん、気のせいかな?


 死霊秘法の中から黒い猫の手のようなモノが飛び出し、それがヨルコを死霊秘法――本の中の引きずり込んだ瞬間を私は目撃してしまったかもしれない。


「わあああ、ヨルちゃん、ヨルちゃん!」


 双子の片割れであるヨルコが、死霊秘法の中に取り込まれたワケで、当然、ヤミコは取り乱しいる――が、素早く物陰に潜むしたたかさも見せる。


「アンタ達……ひょっとして自爆したんじゃ⁉」


「じ、自爆なんかじゃないわ! 予想外のことが起きただけよ!」


 なんだかんだと、ヤミコの物言いは苦し間際の言いワケにしか聞こえないのよね。


 明らかに自爆って感じだしねぇ――。


 さて、予想外といえば、死霊秘法が目覚めたことかな?


 ジルヴァは超強力な睡眠魔術をかけているって話だったけど、それが何かしらの理由で解けてしまっているワケだし――。


「私は見たぞ。あの本から黒い猫の手が飛び出したのを……ああ、アレは死霊秘法(ネクロノミコン)じゃなくて死猫秘法(ネコロノミコン)かもしれないな。」


「その声はスカアハさん! ……って、どこにいるんです?」


「お前らが閉じ込められている檻の上だ。」


 ん、スカアハさんの声が聞こえてくる。


 その前に、あの本は死霊秘法じゃなくて死猫秘法……え、じゃあ、別の魔導書なワケェ⁉


 り、理由を訊いてみなくちゃ――。


「死霊秘法じゃなくて死猫秘法?」


「うむ、あの本から猫の手が出るのを見てピーンと来たんだ。」


「それって死霊秘法とどんな関係なのっつうか、ここから出してください!」


「アレは死霊秘法の写本の一冊だ。確か、猫の魂を宿した……お、やっと来たみたいだ。」


 死猫秘法は死霊秘法の写本の一冊で、猫の魂を宿している⁉


 と、スカアハさんが説明した直後、バカーンッ――と、何かが砕ける破壊音が響きわたるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ