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EP6 俺、異世界からやって来た仲間を得ます。その5

「むう、誰か来たぞ。」


「ウ、ウワサのアグリッピナか!?」


 さて、アジトは何気に三階建てのエフェポスの村やディアナスの森周辺にある廃墟も含めた家屋の中でも大型で高層の建物だったりするワケだ。


 そらに地下には迷宮に広がっており、意外にも謎が多い建物だな。


 と、それはともかく、三階にある茶の間の窓から外の様子を覗くと、こちらに向かってくる何者かのシルエットが見受けられる。


「太ったチビ男だ。ふう、ウワサのアグリッピナがやって来たかと思ったぜ。」


「ホントだ。それにお菓子をボリボリ食いながら……って、アイツ! お菓子の袋を投げ捨てやがった!」


「ゴミを捨てるなってヤツっす!」


「ん、太ったチビ男? むう、お菓子の袋を投げ捨てたってことはともかく、なんとなく何者かわかりました。」


「え、ひょっとして?」


「はい、ネメシス騎士団の同僚だったアシュトンという男です!」


 アジト三階の茶の間の窓から、その姿が見える太ったチビ男だけど、どうやらミネルとメリッサが属していたネメシス騎士団の団員のようだ。


 ん、ソイツがここに来たってことは、アグリッピナとかいう女に命令されて――と、そんなところだろうか?


「一緒にいないだけで、きっとメイザースさんも一緒だと思います。」


「ネメシス騎士団は人員不足だからな。騎士団長に就任したとはいえ、奴自らも動かざるを得ないだろう。それに大手の命令には逆らえんしな。」


「さてと、アシュトン君への対応は、この私に任せてください!」


 そう言うと、シャッとメリッサは踵を返し、茶の間の外へと飛び出す――と、それから間もなく、パーンという乾いた音が響きわたる。


「わ、なんだ、今の音は!?」


「む、むう、この音は銃声だ!」


 銃声だ、そうだ、今のパーンという乾いた破裂音は間違いない!


 と、どうでもいいけど、この世界にも銃が存在しているのかよ!


「よ、よし、俺達も行ってみよう!」


 仮にアシュトンとかいう男が銃を持参しているなら危険すぎる相手だが、なんだかんだとメリッサの身が心配だし、ここは勇気を振り絞って俺も外へ出るべきだな!


 さて、並行してアジトの外では――。


「のわああああ、メリッサ! ゾンビに殺されたはずの君が何故ェェェ~~~!」


「むう、そんなことを言う前に、私をその小さな筒のようなモノはなんです? んで、今、私の右足の太腿に何か突き刺さったんですけど!」


「お、おう、これは火縄式の拳銃というモノでね。西のオルゴニア帝国から出回ってきた最新鋭の武器らしいんだ。でも、俺も原理はよくわからない武器でね。とりあえず、この鉄を玉を火薬を使って飛ばす武器のようだ。しか~し、一発しか発射できないんだよ、そんな鉄の玉を――。」


「へえ、そうなんですか? てか、謝る気はないんですね、アシュトン君!」


 火縄銃かぁ、随分とレトロな武器を武器を持っているなぁ。


 博物館で見たことがあるけど、確か連射ができずオマケに弾丸を一発しか発射できないんだったかな?


 と、それはともかく、アシュトンって奴は、いきなり火縄銃から弾丸をぶっ放したワケだ。


 で、アシュトンがぶっ放した火縄銃の弾丸が、乾いた音を響かせながら、メリッサの右足の太腿を撃ち抜いたっぽいぞ。


「あ、あれぇ~? なんで大量出血しているのに平気なんだ!」


「それは私がゾンビだからです。痛覚が麻痺していますから平気ですよー。」


「な、なんだってー! そ、そうか、ゾンビに殺されたモノはゾンビになるって話は本当だったのかァァァ~~~!」


「うーん、殺されはしましたがゾンビではなく別の……。」


「すすす、素晴らしいッ! まさかゾンビとこうして会話できなんて夢のようだ! ほら、ゾンビってヤツらは脳みそが腐っていて意思疎通ができないって思っていたし!」


「うう、確かに脳みそは腐っていたら意志疎通ができませんよね……って、何をそんなに喜んでいるんですか!」


 アシュトンって男は、感動の涙を流しちゃっているよ。


 そ、そんなに夢のようなことなのかぁ、むう……。

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