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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
406/836

外伝EP05 迷宮図書館管理人と四十人の盗賊 その41

「う、うわ、来たっ! 下手に動くと飛びかかってくるかも……。」


「落ち着いて、愛梨!」


「フン、何を驚いている。闇魔獣は、その図鑑によるとレベルの低い死界の亡者ではないか――。」


「よ、読んでませんよゥゥゥ~~~!」


 え、えええ、レベルの低い死界の亡者だって⁉


 まあ、死界――冥府の泥と人間や獣の死骸や骨を材料に使ってつくったモノだし、亡者と言っても間違ってはいないだろう。


 だが、なんだかんだと、アフロディーテさんと合体し、アイロディーテに変身していない状態である私は弱い。


 いくらレベルの低い怪物とはいえ、今の私にとっては驚異的だったりするのよね……。


「とにかく、破壊すればいい……せいっ!」


「え、衝撃波!? 闇魔獣の頭が半分くらい吹っ飛んだわ!」


「フン、単純な魔術さ。お前だって使えるだろう?」


「う、それは……わ、わあ、まだ動いているわよ!」


 ジルヴァが衝撃波を闇魔獣に向けて放つ。


 その刹那、ドパーンッ――と、闇魔獣の頭が半分くらい吹っ飛ぶのだった。


 そんなジルヴァ曰く、単純な魔術らしいけど、私には使えないわ……。


 アイロディーテに変身時なら、なんとか使えそうだけどね……う、嘘じゃないわよ、馬鹿にしないでくれる!


 それはともかく、頭が半分くらい吹っ飛んだというのに、まるで何もなかったかのように闇魔獣は動いている……さ、流石は不死者ね。


「これだから不死者(アンデッド)は嫌いなんだっ……わあっ!」


 む、ジルヴァが闇魔獣に押し倒される。


 頭を半分くらい吹っ飛ばした程度じゃ身動きを封じることはできない。


 故に、油断しちゃいけないわね。


 不死者を倒す場合、手足をもぎ取るとか、まずは行動不能にしなくちゃね!


「えいっ!」


「ギャ、ギャゴオオオン!」


 う、ジルヴァを押し倒した闇魔獣の上半身が爆発する……ん、一瞬だけど、ウェスタさんが炎の塊を放つのを見たわ。


「今、炎の塊を放ちませんでしたか?」


「あら、見てたの? 確かに放ったわよ。炎の魔術……基本的なモノかしら?」


「は、はあ、基本的なモノですか……。」


「や、やるじゃないか! 流石は、元火炎の魔女!」


「火炎の魔女!? ウェスタさんの異名?」


 む、ウェスタさんって、元は北東魔術協会の関係者なのか?


 ジルヴァが、そんなウェスタさんのことを〝元火炎の魔女〟と呼んだワケだし――。


「ハハハ、大昔の話ですよぅ☆ てか、私としては孤児院を運営している方が性に合うかなぁ。」


「ちなみに、この私は北風の魔女と呼ばれていたことがあるわよ!」


「は、はあ……って、ヘラさん、ウェスタさんに対抗してませんか?」


「た、対抗なんてしていないわよ!」


「ちょ、影魔獣だっけ? アレが複数体、新たに現れたわよ!」


「ほう、今度は人型も混じっているじゃないか――。」


 なんだかんだと、影魔獣は量産型なのかもしれないわね。


 新手の影魔獣……ん、今度が人型が何体か混じっているけど、ゾロゾロと複数体、出現したわ。


「やっぱり数で攻めてくるのね……。」


「うん、これで何度目よ、まったく!」


 うーん、私って集団で襲いかかってくる敵に遭遇しやすい体質なのかも……。


「わ、さっきの影魔獣の破片が蠢いているわ!」


「えっ……ひええ、影魔獣の破片に顔が浮かびあがっている!」


「こ、こっちにあるモノにも……不気味な顔が」


 うう、影魔獣が増えて厄介だというのに、さっきウェスタさんが炎の魔術で吹っ飛ばした影魔獣の破片に、禍々しい顔が浮きあがっている!


「泥だろうがなんだろうが死界のモノを召喚した場合、どうしても一緒について来ちゃうのよね。〝あそこ〟を彷徨っている連中が――。」


「そ、それって冥府を彷徨う亡霊⁉」


「まあ、そうなるわね。」


「う、うーん、冥府って厄介なばしょなんですね……うわあ、影魔獣共が、こっちへ向かってきたわ!」


 ふえええ、冥府って場所は、本当に面倒くさい場所ねぇ……。


 あそこにあるモノを〝こっちの世界〟に召喚すると、オマケという感じで、そんな冥府を彷徨っている亡霊まで一緒に来てしまいワケだし――。


 さて、新手の影魔獣共が進撃を開始したわ!


 く、一斉に私達のもとへと駆けだしたわ!


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