表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
401/836

外伝EP05 迷宮図書館管理人と四十人の盗賊 その36

「ぜ、絶対に許さんからな! ゴメモったぞ、…三日後、百倍だかな! 大人の男を怒らせるなよ、お前ら……ゲブハッ!」


「な、何故、吐血!」


 絶対に許さない――と、それはともかく、何故、吐血!


 とまあ、そんなこんなでクロは、仰向けにぶっ倒れる……え、倒しちゃった⁉


「うーん、軽くぶん殴っただけなんだけどなぁ……。」


「は、鼻血を垂らしてたし、けっこうな力が出てたんじゃないかな? それに血を吐いちゃっているし……。」


「手加減したつもりなんだけどなぁ、てへ☆ それよりも、このオッサン、何をしにここへ来たのかしら?」


「さあ、猫獣人やアーナを連れ戻しにわざわざやって来たんじゃないの?」


 んー、そこらへんがさっぱりなのよねぇ……。


 無理矢理、起こして訊いてみるしかないかな?


「おい、また誰か来たぞ!」


「赤いブレザーに赤いチェックのスカート……まるで学生服みたいな格好をしている眼鏡の女のコだわ。」


「うわああ、ヨルコだ!」


「え、ヨルコ⁉ そこで気絶しちゃっているクロってオッサンを陰から操っているみたいな二人組みたいな?」


 ムムム、また新手の刺客だ。


 でも、タダの刺客じゃないみたい……。


 アデプト団のリーダーであるクロを〝自分達〟の言いなりとして利用しているふたりの女の片割れ……黒幕のひとりだ!


「あーあ、クロのおぢさん、一発KOかぁ、情けないな~。」


「う、うにょおおお、ヨルコちゃん……ムギュルッ!」


「わあ、酷い! 顔面を踏んづけるなんて……。」


「はあはあ、もっとやってくれェェェ~~~!」


「うわああ、キモい!」


 う、気持ちが悪い光景を見てしまったかも……。


 しかし、ヨルコって女は酷いなぁ、クロってオッサンがいくらMな人だからって顔面をいつまでもグリグリと右足で踏み続けているし……。


「さてと、用事は済んだし、帰るわよ、ヤミコ。」


「はーい、ヨルちゃん~☆」


「な、用事が済んだ⁉ わ、同じ顔の女のコが孤児院の中から出てきたわよ、ヘスティア!」


「あちゃー……気づかなかったわ! あ、その手に持っているモノは、魔導書の切れ端では⁉」


 う、孤児院からヨルコと同じ顔をした女のコが出てきたってヘラさんが言う。


 黒幕の片割れであるヤミコだ……む、双子ちゃんなワケ⁉


 と、そんなヤミコの左手には、薄汚れた紙切れが……あ、ああ、それは何かしらの魔導書の切れ端だ!


「そ、そうか! 用事が済んだっていうのは、ソレを盗むことに成功したからってワケね!」


「そうそう、ご明察の通りよ。んじゃ、バイバーイ、お笑い芸人のお姉さん☆」


「ニャハハハ、帰るのはいいけどさ。とりあえず、クロのおぢさまも連れて帰らなくちゃね、ヨルちゃん。」


「なんだかよくわからんが、ソイツらは逃がしちゃいけない気がするんだが、どうする、カルラ?」


「勿論、逃がす気はない……捕まえるよ、サカラ!」


「ソイツらを捕まえるなら手伝おう!」


「よーし、私も手伝おう!」


 ちょ、ヤミコはいつの間にか孤児院の中に忍び込んだワケ!?


 と、そんなヤミコ、それにヨルコとクロを逃がすワケにはいかない!


 厳つい大男の姿に再び変身した大蛇のサカラとカルラのコンビ、それにスカアハさんとヘラさんは、まずはヤミコから捕縛すべく行動を開始したんだけれど……。

 

「う、コイツッ!」


「く、黒い霧になった!? ゴホゴホッ……苦しい!」


「ふえええ、自動車の排気ガスみたいだわ!」


「ごすずん、私の鼻が、鼻がっ!」


「うう、私も鼻も……ぐ、ぐううっ!」


 むう、ヤミコの身体が真っ黒な霧状のモノに変化し、ドバァ――と、周囲に四散する。


 その刹那、突然、息苦しくなる……う、強烈な自動車の排気ガスのようなモノが、いつの間にか漂っている!


 もしかしてヤミコは、黒い霧状のモノに変化し、私達を返り討ちにいたのか――。


「自動車の排気ガスかぁ……キヒヒヒ、アレを知っているんだ。もしかして聖地アンザスを経由してやって来た次元の異邦人かな、眼鏡ちゃん?」


「わっ……合体が……アイロディーテの状態だったのに、それが強制解除されちゃった!」


「ムムム、どういうワケよ!」


 わあ、気づけば、私の足許にはアフロディーテさんが……。


 ちょ、アイロディーテに合体した状態だったのに、それがいつ解除されたワケ⁉


 ま、まさか、ヤミコが変化した真っ黒な霧状のモノのせいだったりする?


「なんだぁ、本当の姿は私と同じ眼鏡っコじゃん。親近感が湧くわねぇ~☆」


「ひっ……なんかゾッとした!」


「さて、ホントにバイバーイ!」


「わ、消えたっ! う、黒い霧も……。」


 わお、一瞬の出来事だわ。


 フッ――と、忽然とヨルコの姿が消失する。


 ついでに、真っ黒い霧状のモノへと変化していたヤミコも消え失せる……う、逃げられた! 


 く、何かしらの魔導書の切れ端をまんまと盗まれてしまったわ!


「く、逃げられたかぁ……あ、そうでもないな。」


「うん、クロってオッサンを置き去りにしていったみたいだしね。」


 お、なんだかんだと、この場からいなくなったには、ヨルコとヤミコだけっぽいわね。


 クロのオッサンが置き去りだし――。


 とりあえず、拘束しておこう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ