EP6 俺、異世界からやって来た仲間を得ます。その4
オリン山の天空姫、それにポース山の女帝――とまあ、そんな頭にあがらない存在がいるとはいえ、マーテル王国は、兎天原を支配する人間の王政国家だ。
さて、マーテル騎士団に属す数多の騎士団の中でも、特に大きな勢力を誇る三大大手の一角が、年甲斐もなくフリフリした衣装を常に着ているババア無理すんな――と、言いたくなる人物だとメリッサが言っていたアグリッピナ・マウソロスという女が騎士団長を務めるジュノー騎士団である。
そういえば、アグリッピナとかいう女は、可愛いモノの目がないとか――。
んで、そんな趣味の一環として北極熊の子熊であるサキを捕まえようと目論んでいるようだ。
やれやれ、奇妙な奴に目をつけられたもんだなぁ。
サキという名前以外、一切の記憶を覚えちゃいない記憶喪失気味の子熊ちゃんは――。
「私を捕まえようとしている連中がいる!? 絶対に嫌だガウ! どこか隠れる場所を探すガウ!」
サキは悲鳴をあげながら、勢いよくアジトの茶の間から飛び出す。
「お、おい、どこへ行くんだ!」
「まあ、放っておいても大丈夫さ。タダ、アジトは無駄に広い地下へ行かなくきゃの話だが……。」
「むう、どういうことだよ、兄貴?」
「ああ、お前にはまだ教えていなかったな。ここの地下は〝迷宮〟になっているんだ。」
「め、迷宮!?」
「兄貴は一度、入り込んで迷子になりかけたっす!」
「お、おい、それを言うなよ、ヤス! とにかく、地下に迷宮があるなんて知らなかったんだ!」
むう、アジトの地下は迷宮になっている……だと!?
で、その理由はアジトの主である兄貴にもわからないようだ。
「あ、そんな地下迷宮から時々、不気味な声が聞こえるっす!」
「ガウガウ、それを早く言え!」
「あ、サキ、お帰り……って、お前、地下迷宮へ入ろうと思ったのかよ!」
え、時々、不気味な声が聞こえる!?
な、何か得体の知れないモノが潜んでいるのか――と、サキが焦った様子で戻ってくる。
ひょっとしてヤスが言っていた地下迷宮から聞こえるという不気味な声を聞いたのか!?
「地下迷宮か、行ってみたいなぁ! キョウ姐さん、行かないか?」
「だが、断る!」
「まったく、臆病だなぁ……と、そういえば、さっき派手な日傘を差した派手な格好をした女と出逢ったぞ。」
「む、むう、まさか……!?」
「え、どうしたんだ、ミネル? 顔色が悪いぞ……ああ、ゾンビだし仕方ないか?」
「キョウ様、ふざけないでください! とにかく、フレイヤさんが言っていた派手な日傘を差した派手な女ですが……いや、そんな筈がない! あの女自ら出張って来るワケが……。」
「お、おい、誰が来たんだよ、誰が……。」
「アグリッピナです!」
なにィィ! ウワサのアグリッピナがやって来た……だと!?
むう、ここにやって来る可能性があるな、やれやれ。




