外伝EP05 迷宮図書館管理人と四十人の盗賊 その32
「うーむ、デカさ的に不利だな。いやいや、デカブツはマジで困る。」
「ね、ねえ、それをアナタが言ってもいいのかなぁ……。」
「ん、なんか言ったか、お笑い芸人?」
「い、いえ……。」
わ、私はお笑い芸人じゃないです!
ころころ人格が入れ替わるのは、私とアフロディーテさんの人格が統一されていないからですってばぁ!
「よし、俺があのデカブツの足に絡みついて動きを封じている間に、お前らが奴を攻撃するんだァァァ~~~!」
そう言い放つとサカラは、シャアアアアッ――と、唸り声を張りあげながら、巨霊兵の右足にから絡みつくのだった。
「よし、それじゃ一斉攻撃だー!」
「は、はい!」
「てか、みんな射撃の腕前は大丈夫でしょうね?」
「当然だ!」
「わ、レトロな拳銃ですね、シロウサヒコさん。」
「隊長のソレは、亡くなった戦友の形見だそうです。」
「あ、そうなんですか、へぇ~。」
ヤマダシロウサヒコさんが懐からレトロな拳銃を取り出す。
アレは確か南部十四年式の後期型だったかな?
え、何故、それがわかったのかって?
それはミリタリーマニアの兄のせいかな……。
と、それはともかく、大蛇の姿に戻ったサカラが巨霊兵の右足に絡みついて動きを封じてくれている間に、一斉攻撃を仕掛けなくちゃ!
(アイツら、一斉攻撃を仕掛ける気だな。だが、無駄よ……クククク、愚かなことをする。)
と、巨霊兵に対し、一斉攻撃を仕掛けようと目論む私達を〝中の人〟は嘲笑う。
「ウ、ウワアアアッ! あの烏……は、花火を! 驚かせやがって……う、しまった!」
「あ、今、声が聞こえたぞ! このデカブツの中に誰かいるぞ!」
沙羅さんが巨霊兵の顔面目掛けて赤、青、黄色と様々な色の火薬が拡散し、そして炸裂する花火を撃ち込む。
とまあ、そんな花火の炸裂する大音量に驚き思わず悲鳴をあげてしまうのだった。
そんなこんなで〝中の人〟が、私達全員にバレるのだった。
「ほら、やっばり! 私の鼻が嗅ぎ取った薔薇の香水は、あのデカブツの中にいるモノの……。」
「よし、引きずり出してやるか!」
「面白いわね。やろう!」
え、えええ、巨霊兵の中に潜んでいるモノを引きずり出すって⁉
ちょ、できるワケ⁉
あ、でも、大蛇の姿に戻ったサカラが右足に巻きついているおかげで、巨霊兵は動けない状態である今なら可能かもしれないわね。
『バレてしまったかァァァ~~~! だが、チビスケのお前が、どんなに足掻こうが無駄だ、無駄無駄無駄無駄ァァァ~~~! ウィ……ギャフ、ヒャッハッハァァァ!』
さて、巨霊兵の中の人には、絶対的自信があるんだろうか?
そんなとち狂った笑い声が響きわたるのだった。
『ワハハハ、動けなくとも攻撃は可能なのだ! うりゃー!』
「う、ううう、凄い風だ!」
「ふ、吹っ飛ばされる!」
むう、中の人の言う通り、動かなくても攻撃はできるみたいね。
そんなこんなで巨霊兵のバコンッ――と、巨霊兵の顔面に見受けられる三つの目のひとつを巨大な扇風機の羽ような形状に変化させると、足許にいる私達を激しい風の奔流で弾き飛ばそうとしてくるのだった。
「む、あの風は危険ね。子供達にも危険が及びそう……それっ!」
た、確かに危険な風だ。
なんだかんだと、何もかも吹っ飛ばしてしまいそうな竜巻の風だしね。
それに孤児院の外に出てきている子供達にまで危険が及びそうな広範囲にわたる攻撃でもある。
と、そんな猛烈な風による攻撃を仕掛けてくる巨霊兵から、自分が運営する孤児院の子供達を守るためウェスタさんが何かを投げつける。




