EP6 俺、異世界からやって来た仲間を得ます。
さてさて、兄貴から聞いた昔話をしようじゃないか!
昔々、ケモニア大陸の全域を恐怖のどん底に陥れた怪物聖母という怪獣がいたという。
んで、名前を聞いただけで誰も恐れおののく怪物のほとんどが、件の怪物聖母が産み落としたモノだとか――。
と、そんな怪物聖母だけど、散々、ケモニア大陸を荒らした後、兎天原においてオリン山の天空姫という女神を筆頭とした十二柱の正義の神々に敗北れ去ったとか――。
しかし、怪物聖母の子供達は健在だったので、今もその子孫達がケモニア大陸のあっちこっちに生息しているという。
ああ、兎天原には三つ首魔犬、八つ首大蛇という魔物が住み着いているようだ。
コイツらが所謂、怪物聖母の子孫と言われているモノだとか――。
昔話は、こんな感じで終了っと。
「よし、蜂の巣GETだぜ! お、けっこう重いな! こりゃ蜂蜜がたくさ……うあ、痛ぇ!」
「煙で蜂の巣を炙って蜂がいなくなった隙を突くかたちで蜂の巣を採取するなんて流石です!」
「でも、七割方成功だな。蜂はすべていなくなったワケじゃないしな、痛ェェ!」
「仕方ありません。私が採取しましょう。ああ、後で蜂の針を抜いてくださいね。」
――と、アレから十日ほど経過する。
んで、俺はなんだかんだと、兄貴やヤス、それに使い魔であると同時に友達であるメリッサとミネルと一緒に自給自足な生活を送っている。
その一環が蜂蜜の採取だ。
何故、蜂蜜の採取を――だって?
そりゃディアナスの森は蜂蜜の宝庫だって兄貴から聞いたワケで――。
ああ、蜂蜜はけっこうな高値で売れるようだからね。
エフェポスの村に住んでいる蜜穴熊の獣人であるイリアスって奴を筆頭に、蜂蜜が大好きな獣人が多いことだし――。
「ふむ、蜂蜜が大量に集まったな。蜂蜜は魔術も使うからな。必要な分は残しておくんだな。」
「ああ、わかっている。」
ブックス曰く、蜂蜜も魔術に使うようだ。
売る分と魔術に使う分を分けておかなくちゃな。
「おーい、例の獣人を連れて来たぞ。」
「サンキュー、フレイヤ……さて、お前か? この世界とは別の世界からやって来たと言ってる新参者は?」
さて、昨日だったかなぁ?
エフェポスの村に妙な風来坊がやって来る。
んで、ソイツは〝自分は異世界の住人〟だって名乗る。
とまあ、そんなワケで気になったのでフレイヤに連れて来てもらったのさ。
真っ白な子熊こと北極熊の姿をした自称、異世界人を――。
「コイツは自分は何者かわからんようだ。とりあえず、熊の獣人だとは思うが……。」
「所謂、記憶喪失ってヤツじゃないか?」
「が、がう、がうう……わだじはサキと言いまず……。」
「ふむ、言葉も上手く喋れんようだな。」
記憶喪失なのか、コイツ?
それに上手く喋れないようだ。
「よし、キョウ。脳をすっきりさせる魔法の薬をつくってみよう。」
「え、脳をすっきりさせて記憶を思い出させるとか?」
「ああ、そうなるな。それを可能とする材料――蜂蜜が握っている。」
「え、蜂蜜を使った魔法の薬ってか? よし、つくってみるか!」
さ、なんだかんだと、その脳をすっきりさせて失った記憶を呼び起こせる――みたいな作用がある薬をつくってみるかな!
ソイツはさっき俺が採取した蜂蜜を原料としたモノのようだしねぇ。




