外伝EP04 ゾンビ考古学者と眼鏡少女 その38
「ハハハ、残念だったな! 私をあんなド下手な歌で昏倒させようだなんて愚の骨頂と知れ!」
「うう、無念です!」
「しかし、梟って鳥は怖いぜ。音を立てずに飛ぶことができるワケだし……。」
と、梟のアテナの左右の鉤状の爪によって捕らえられ、そして拘束されているシロウサヒコさんとノネズミヒコさんは、無念そうにつぶやく。
「さあ、ヘスティア。あの獣を無事に解放してほしかったら、私の身体に巻きつき青いロープを解くのよ!」
「む、むう、卑怯よ!」
「卑怯ですって? む、むう、確かに……。」
「ちょ、アテナ! 何、乗せられているのよ!」
「む、むうっ……と、とにかく、ヘラ様を今すぐ解放しないなら、この鼠と兎がどうなっても知らんぞ!」
ムムムッ! 人質を取られてしまったわね。
このままヘラさんの言うことを聞かないと、シロウサヒコさんとノネズミヒコさんの命が危ないわ!
なんだかんだと、野生の梟の好物は、兎と鼠だし、下手をしたら小さなノネズミヒコさんは、アテナって名前の梟に丸呑みされちゃうかも……。
「こ、これを使う時が来ましたか……。」
「あ、ああ、やってしまえ、ノネズミヒコ!」
「ん、貴様ら、悪足掻きをしても無駄だぞ。私の鉤爪は……ヒギイイイッ!」
「あ、青白い光の帯……電流がアテナの身体を駆け巡ったわ!」
「わお、あれはスタンガン! ど、どこから、あんなモノを⁉」
「きっと、聖地アンザスから持ってきたモノね。さ、逃げるなら今よ、ふたりとも!」
ちょ、ノネズミヒコさんはスタンガンを所持していたようだ!
むう、沙羅さん曰く、聖地アンザスから持ってきたモノらしいわね。
そんな聖地アンザスには、スタンガン以外にも、私が本来いるべき世界から流れ着いたモノが数多くありそうね。
とにかく、シロウサヒコさんとノネズミヒコさんは、スタンガンによって絶体絶命の状況を起死回生の一撃としてひっくり返すことに成功する。
「お、おのれっ! 油断をした! まさか電撃を放つ武器を隠し持っているとは……!」
「ハハハ、ざまぁみろ!」
「く、この鼠っ! フォームチェンジして捕まえてやる!」
「フォームチェンジ⁉」
「要するに変身するってことよ、愛梨。んじゃ、私達は合体よ!」
「う、うん……って、アガガガッ!」
わお、アテナさん激おこ……って、フォームチェンジ……変身する⁉
む、あっちが変身するなら、こっちは合体で対抗だ――が、アフロディーテさんとの合体は、本当に苦しいのよねぇ、何せアフロディーテさんが口の中に潜り込んでくるワケだし……。
「アテナさんだっけ? 梟の姿から長身痩躯の美女の姿に変身したわ!」
「アイロディーテに合体した愛梨と比べても負けじと劣らぬ巨乳だわ!」
「ハハハ、プロポーションには自信があるぞ!」
「まあ、生意気ね! でも、大きさなら負けないわよ!」
「フン、そんなくだらんことは後回しだ。我が美神拳の捕縛術で、即捕まえてやるぞ、鼠!」
「えええ、美神拳って、アフロディーテさんも……。」
「うん、そのまさかよ! アイツも美神拳の使い手……私とは同門、そして宿敵でもある。」
む、アテナという名前の梟の姿が、真っ白な光を放ちながら、鎧兜で武装した長身痩躯の黒髪美女の姿に変化する。
ま、まさに勇ましい戦乙女って感じである。
オマケに、アフロディーテさんと同じ美神拳の同門のモノで、彼女とはライバル関係にある存在でもあるようだ。




