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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
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外伝EP04 ゾンビ考古学者と眼鏡少女 その19

「キシャアアアッ! 私は猫じゃないのに……。」


 アタランテさんは腑に落ちなそうに、咆哮を張りあげる。


 生後三ヶ月くらいの小さな子ライオンの姿をしてはいるけど、百獣の王ライオンとしてのプライドだけはあるのね。


 ん、そんなアタランテさん以外の仲間の姿が見受けられないわね、そういえば……。


「なんだかんだと、無事の様子だな。で、シロウサヒコやハニエルはどこにいるんだ、アタランテ?」


「ウサノオ、アンタは上手く逃げられたみたいだな……ん、シロウサヒコやハニエルは、あのボール野郎に捕まったヤスを助けようとして一緒に捕まってしまったよ。勿論、その時、私も……。」


「そうなのか……で、どこにいるのかわかるのか?」


「さ、さあ、そこまでは……。」


「そうそう、あのボールから手足が飛び出した感じの奇妙なモノはボールボーイという名称の人形兵だったかしら? ちなみに、駄姉がボーボーという略して呼んでいたわ。」


「むう、やっぱり人形兵だったのね、アレは……。」


 ヤスって兄貴さんの舎弟の兎獣人だったわね。


 なるほど、アタランテさん達は、サッカーボールに手足が生えた感じの奇妙なモノことボーイボーイとかいう人形兵に捕まったアイツを助けようとした際、一緒に捕まってしまったワケね。


「あ、扉に鍵がかかってる!」


「あちゃー、ボーボー達は鍵をかけたようね。」


「で、どうする? 扉を壊すか?」


「それもいいけど、扉を壊した音を聞きつけてやって来るかもよ。ボーボー達やハウンドって人形兵とかが……。」


 むう、私が今いる人形兵の動力源である核が保管されている部屋の扉に鍵をかけられてしまったようだ。


 これじゃ、出るに出られない状況だなぁ、どうする、どうする……。


「うーむ、困りましたね。扉を壊すって手もありますが、かといってそれを実行すると人形兵の大群が押し寄せてくる場合も……お、これはこれは!」


「ん、メリッサさん、どうしたんです? そこの壁になにかあるんですか?」


「皆さん、上手くいけば、ここから出られるかもしれませんよ!」


 え、今いる部屋から出られるかもしれない⁉


 メリッサさんが何かを発見したようだ。


 そんなこんなで鍵のかかった扉のすぐ横の壁を叩いたり、撫でたりを繰り返している。


「その壁に何かあるんですか?」


「はいっ……あ、そうだ、蹴飛ばしてみてください!」


「蹴飛ばしてみろって? うん、じゃあ、蹴飛ばしてみっか……えいっ!」


 メリッサさんは自分が叩いたり、撫でたりを繰り返している壁を蹴飛ばせって言ってくる。


 うむー、モノは試しだ――蹴飛ばしてみるか!


「えっ……バキって音がしたわ!」


 う、壁にヒビが入った!?


 蹴飛ばした部分から、バキッ――という音が聞こえてくる。


「本当ね。ひょっとして、この壁は壊せる? じゃあ、私が壊すわ……烈翼拳、でやーっ!」


 ヒビの入った壁を壊すって……う・私の右腕が勝手に動く!


 合体しているアフロディーテさんの仕業だ。


 で、そんなアフロディーテさんは、右拳をノーモーションでヒビの入った壁に叩き込む!


「い、痛っ……だけど、壁の一部が崩れたわ。」


「このまま殴りまくって穴を開けるんだ、あっちゃん!」


「ヒイイッ! 私の右手が壊れちゃう!」


 イタタタァ! ヒビが入ったとはいえ、堅牢な壁を殴るモノじゃないわね。


 あ、殴ったのはアフロディーテさんだけど、身体を共用しているので痛みだけは、ダイレクトに伝わってくるわね、まったく……。


「そこの壁には、隣の部屋へと繋がる通路があったようです。それを何者かが壁をつくってふさいじゃったようですね。ま、それを私が発見したのです!」


「あ、ああ、そういうワケね……。」


「よし、俺も壁を壊すのを手伝うぞ!」


「ウサノオさん、助かります!」


 ふむ、隣の部屋に繋がる通路ねぇ……。


 で、どんな意図があったのかは知らないけど、何者かが、そんな通路を壁をつくってふさいでしまったようだ。


 とまあ、それをメリッサさんが発見した――と、それはともかく、ウサノオさんが通路をふさぐ壁を壊すのを手伝ってくれるので、今は壁を壊すことに専念しよう。

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