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EP5 俺、ゾンビを使い魔にします。その6

「よし、これでコイツがゾンビだってわかっただろう? てか、メリッサ、虎さんにリベンジだ!」


「あ、そんな虎さんなら、私のお腹をぶっ刺した狐さんと一緒に逃げちゃいました!」


「な、なにィィィ~~~!」


 え、逃げた!?


 ひょっとしてゾンビ――メリッサに対し、恐怖したってヤツ?


「うーん、何はともあれ、<修復>以外の使い魔強化用カードを試す機会がなくなったな。」


「フレイヤ、お前がそれを言うなよ。ま、試すのはまたの機会ってことで……。」


 まったく、逃げるこたぁないじゃん!


「ボリスの野郎、図体はでかいが臆病者ってヤツだな!」


「兄貴、両足が震えてるっすよ。痩せ我慢っすか?」

 

「うっせぇ! そんなワケがないだろう!」


「そういうことにしておくっす、クククク……。」


「わ、笑うな!」


「イ、イテテッ! 八つ当たりはやめるっす!」


「ハハハ、兄貴とヤスは漫才コンビみたいだな! おっと、そんなことより、また誰か来たぞ。」


 ボリスとコタロウは臆病者なのかな?


 ま、俺達の目の前からいなくなったワケだし、十分にありえる話だ。


 さて、また誰かやって来たぞ。


 今度は……ん、アイツはネメシス騎士団のミネルって女騎士!?


「ミ、ミネルさん!」


「見つけたぞ、メリッサ! いや、禍々しい不死者!」


「はう、禍々しいって酷いです!」


「黙れ、ゾンビ女! この私が成敗してくれる!」


「ちょ、成敗って……わ、剣を抜かないでください!」

 

 ゾンビは確かに禍々しい存在だが、メリッサはそんなゾンビではあるが、一般的に知られているモノとかなり違う筈だ。


 何せ、俺の分身的存在だという使い魔となったおかげで、死せる彼女の肉体は半永久的に腐敗がストップし、生前の姿を完全に留めている。


「仕方がない。あの女をどうにかするぞ。」


「ブックス、どうにかするって……倒せってことか!?」


「うむ、回りくどい真似はやめよう。ここは一気に決めるぞ!」


「で、でも、どうやって!? あ、ああ、そうか! 使い魔強化用カードデッキがあったな……メリッサ!」


「ふ、ふえええ、私にミネルさんと戦えって言うんですか!?」


「ああ、そのまさかさ!」


「ここにいる者達は、どちらかと言えば、非戦闘員だ。故に、君だけが頼りの綱というワケだ。」


 俺も含めて非戦闘員が多いワケだ。


 兄貴とヤスは、最弱の獣人とも言われる兎獣人だし、フレイヤは歌以外はまるでダメだとか……。


「何をごちゃごちゃと!」 


「わ、ミネルさんが怒ってるっす!」


「ああ、また俺の真似をしたっすね!」


「今はそんなことでモメている暇はないぞ! それじゃカードを引くぜ! まだまだ俺の……俺達のターンだ!」


 ミネルは腰からぶら下げている愛用の剣の刀身を右手で鞘から抜いだけにすぎない。


 そう、行動順的には俺達のターンだ!


「よし、メリッサ! あの女をぶっ飛ばしちまえ!」


「ふえー! 無理ですぅ! 階級も騎士としてのレベルも、私とミネルさんとでは段違いなんですー!」


「え、そうなの? だけど、心配すんな……コイツがあるしな!」


「ほう、私に決闘を挑む気だな。いいだろう、かかって来い!」


「あうあうあう! ミネルさんはやる気満々です……へごわっ!」


「あ、<狂化>のカードを引いちまったぜ!」


 さてさて、俺は対ミネル戦に備えて使い魔強化用カードデッキの中から、シャッと勢いよくカードを引き抜く……え、<狂化>のカードだと!?


 コイツはさっきフレイヤがカードデッキを弄った時に、たまたま手に取った危険極まりない嫌な匂いがするカードだったような……。

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