外伝EP03 アヒル女神と眼鏡少女 その39
「う、うわ、また凄い地鳴りと揺れだ! みんな……柱にしがみついてっ!」
むう、なんだかんだと、凄い地鳴りと揺れが再び襲いかかってくる。
これは間違いなく悪いことが起きる予兆だろうなぁ……。
例えば、ヒュドラスの巨神像は動くことなく崩れ落ちるとか――うは、想像すると寒気がっ!
「うーん、一応、動くように設計された超巨大なカラクリ人形なんでしょうけど、長いこと動かすことがなかったので金属部位が錆びて使いモノにならなくなっていたとか――。」
「む、十分にありえる話ね。ヒュドラスの巨神像は建造から千年は確実に経過していそうだし……。」
「はい、それだけ長いこと放置されていれば、嫌でもガタガタのボロボロになるでしょうね。特に内部なんかは……。」
へえ、カラクリ人形かぁ、この世界にも、その手の機械なら普通にあるっぽいわね。
さて、ヒュドラスの巨神像は千年以上という悠久の年月の間、一切、動かされることなく放置されていたが故、金属部位が錆びてしまい使いモノにならなくなっている――と、メリッサさんが仮説を立てる。
うーん、ある意味で納得。
それだけ長いこと放置されていたなら、金属部位――関節などがガタついて当然だよね。
「わ、わああ、わらわの足許にヒビが……。」
「ヒ、ヒビ割れ!?」
ヒ、ヒビ割れ……ミイラ女ことピルケさんの足許にヒビ割れが見受けられる!
ま、まさか、まさかとは思うけど……。
「嫌な音は聞こえてきたわね。」
「う、うん、この音は、きっと……。」
「ちょ、あっちこっちにヒビ割れがっ……。」
う、今、バキバキって嫌な音が足許から……。
そ、その刹那、私達がいるヒュドラスの巨神像の頭の天辺のあっちこっちにヒビ割れが生じる。
「うっわ、これはぶっ壊れる寸前って感じね。」
「と、飛び降りるぞ、みんなっ!」
「お姉様はお馬鹿ですね。仮に、ここから飛び降りたら死んじゃいますよ! あ、でも、ゾンビである私、それにメリッサやミネル、ついでに骸骨のアシュトンなら、地上に落っこちた衝撃で身体がバラバラになっても大丈夫ですけどね~☆」
「え、フィンネアさんもゾンビなの? へ、へえぇ……って、どうしよう! ヒュドラスの巨神像がバラバラに崩れたら、私達は真っ逆様に!」
フィンネアさんもゾンビなのね。
むう、確かにゾンビであるフィンネアさんのような生ける屍ことゾンビなら仮にヒュドラスの巨神像がバラバラに崩れて百メートルはある地面に真っ逆様に落下し、その身が衝撃で四散しても平気でいられそうだけど、死者ではなく生者である私は、恐らく……いや、間違いなく即死だろうなぁ。
「イイことを思いついたわ!」
「え、イイこと!?」
キュピーン――と、フィンネアさんが、この状況を打開する策を思いついたようだ。
むう、とはいえ、アテになるかどうか心配なんだよなぁ……。




