外伝EP03 アヒル女神と眼鏡少女 その38
「ヒャッホー! まるでゲーム機のコントローラーだわ! コイツで操作するのね。まるでテレビゲームみたいだわ!」
「え、テレビゲーム!?」
「私が元々いた世界にあったお遊びの一種よ、愛梨。」
「へ、へえ、そうなんだ。」
「むう、私は食べ物のことかと思ったわ。」
さてと、沙羅さんはテレビゲームを知っているとようだし、私と同じ別世界からやって来た別次元からの異邦人――いや、異邦烏なのかもしれない。
オマケに近い時代の――で、本来は真っ黒な烏ではなくて人間だったのかもしれない。
「ふ、ふう、やっと目が……お、おお、操作用のスティックが二本、それに赤、青、黄色、緑のボタンのついた石板が……ひょっとして神霊の石板が変化したモノだったりするの?」
神霊の石板が変化したコントローラーには、二本のスティックと赤、青、黄色、緑の四つのボタンが見受けられる。
ハハハ、本当にゲーム機のコントローラーだわ!
「さて、早速、弄ってみるわっ……わ、凄い地鳴りと揺れだ! 起動したってことかしら?」
「はわわ、落っこちるっ!」
「お、おい、烏! ちゃんと操作するのじゃ!」
「うええ、柱にしがみつかなくちゃ!」
私達は身長百メートルはあるヒュドラスの巨神像の頭に天辺にいるってことを忘れちゃいけない。
で、そこそこ広く緑色の炎が燃え盛る大釜の他にも柱が数本……ふ、ふう、なんとか柱の一本にしがみつくことで、沙羅さんが弄る神霊の石板ことコントローラーにある起動スイッチがONになったせいで動き出したヒュドラスの巨神像の頭の天辺から振り落とされずに済んだわ!
「うおおお、俺が動かす筈だったのにィィィ~~~!」
「お前、もう目を覚ましたか! しぶとい奴め、おらぁー!」
「ギャ、ギャゴォ!」
「ボリスったら、しぶといわね。でも、虎獣人の姿じゃない限り、私達には勝てなうわよ!」
「く、くううう、こうなったら再び変身だ……グガッ!」
「させるかよ!」
「ム、ムギュウウウ……三回も殴ったな! 親父にも、お袋にも殴られたことがないのにっ!」
「あちゃー! なんて甘やかしっ!」
「そんなことより、なんか変だぞ!」
「烏、上手く動かすのじゃ!」
「私が変わりましょうか、沙羅さん?」
「そ、それよりさぁ、激しく揺れるのはいいけど、まったく動かないんだけど……。」
如何にも凶悪な虎獣人に変身できるワケだけど、なんだか甘やかされてそだったのね、ボリスって……。
それはともかく、ヒュドラスの巨神像は本当に動くんだろうか!?
沙羅さんがゲーム機のコントローラーのような形状に変化した神霊の石板を真っ黒な両足と嘴を起用に使い分けながら、二本のスティックと赤、青、黄色、緑のボタンを弄ってはいるけど、まったく動く気配がない。
タダ……この揺れが不気味だ!
な、何か悪いことが起きる前触れって感じがするわ……。




