外伝EP03 アヒル女神と眼鏡少女 その32
「はわわっ! 早くキョウ様とフィンネアさんを助けなれば、ボリスって虎さんに、あの不気味な緑色の炎が燃え盛っている大釜の中に放り込まれてしまうゥゥゥ~~~!」
「ニャハハ、大丈夫よ。大丈夫だから、この私に任せなさい、メリッサ!」
「ふえええ、一体、どんな技を使うんですか、アフロディーテさん!」
「愛梨も焦らないで……っと、それじゃ!」
うむー、私達が今いる位置は、某野球ドーム並みに広い空間――祭壇の間の入り口付近である。
で、そこからボリスがいる緑色の炎が燃え盛る大釜のところまでは、かなりの距離があるわ。
なんだかんだと、祭壇の間の一番、奥だし……と、そんなことを言っている場合でじゃない!
「わあああ、身体が赤く発光し始めた! ア、アフロデューテさんの仕業ですかァァァ~~~!」
「そうよ、愛梨。ああ、今はまだ動いちゃダメだよ。」
「え、動くなって!? あうあう、そんなことを言っている場合じゃ……わ、今度は黄色く!」
ちょ、なんだ、なんだぁ!
私の身体が赤く発光する……わお、今度は黄色く発光し始める!
な、何が起きるワケェ!?
「ひえっ……あ、青くなった!」
「わあ、愛梨の身体が青い光を放ってる!」
「フッフ~ン♪ これでなんとか……行くわよ、愛梨!」
「ゆ、行くって……こ、この位置からボリスをボコってキョウさんとフィンネアさんを救いにってこと?」
「そのまさかよ! じゃ、発動……神霊形態!」
「え、えええっ……お、おおお、おわああああっ!」
ひゃああ、今度は身体が黄色から青く発光する!
赤い光、黄色い光、そして青い光……ふえ、まるで信号機みたいじゃん!
と、合体し、アイロディーテというひとつの存在になったとはいえ、アフロディーテさんが、身体の自由はアフロディーテさんが握っているのよねぇ……。
それはともかく、まるで何もかもを吹っ飛ばしてしまうような暴風のような勢いでアフロディーテさんは――アイロディーテは駆け出すっ!
「おお、凄いっ……も、もうボリスって虎さんがいる緑色の炎が燃え盛る大釜があるところまでやって来た!」
「ウフフ、凄いでしょう? さぁて……オラオラオラァァァ~~~!」
「「「ギャアアアアッ!」」」
「ア、アフロディーテさん! な、何もボリス以外の部下やヒュドラス教徒の連中までボッコボコにしなくても……。」
「イイのよ、細かいことは……うりゃあー!」
ば、爆風だ!
私が――アイロディーテが駆け抜けていくと同時に、ネコ団の連中やヒュドラス教徒達が、自動車の衝突し、弾き飛ばされるかのようにぶっ飛んでいく!
「う、うお、なんだ、テメェは……ゴ、ゴギャッ!」
「美神拳奥義……爆風翼っ!」
ボリスがキョウさんとフィンネアさんを緑色の炎が燃え盛る大釜の中に投げ込もうとした瞬間、私が、そしてアフロディーテさんが――いや、魔法少女アイロディーテの左足の飛び膝蹴りが、私達の存在に気づき振り返ったボリスの顔面を抉るように炸裂する。
「ひゃっ……た、助かったのか?」
「う、うん、そして私達の代わりに緑色の炎が燃え盛る大釜の中に頭から突っ込んだわ、お姉様!」
ふ、ふう、間一髪ってところでキョウさんとフィンネアをボリスの剛腕が振り落とす。
で、そんなボリスは奴がキョウさんとフィンネアさんの代わりとして緑色の炎が燃え盛る大釜の中に、仰向けの状態で頭から突っ込むのだった。




