EP0 俺、蘇る。その3
「出口が見えてきたぞ!」
「う、うん!」
王家の墓とやらの床に開いた穴の底はトンネルと化している。
兄貴とヤスが掘ったのか?
多分そうだろうなぁ……お、そんな兄貴とヤスの声が聞こえてくる。
まだ近くにいるようだ。
「おい、穴があるぞ!」
「げぇ、警備兵の声も聞こえる!」
「ところでエリス姫であり、エリス姫ではないアナタの名前を聞いていなかったな。」
「きょ、京次郎だ。和泉京次郎だ。」
「ふむ、では、京次郎、トンネルの中をダッシュだ。」
「ああ、わかった! 俺はこう見えても走るのは得意なんだ!」
警備兵の奴らが、俺が今いる穴の底へやって来るのも時間の問題だろう。
何せ、梯子がそのまんまだしな。
「よし、兎ちゃんを捕まえた!」
「わ、捕まってしまった!」
「あ、兄貴ィィィ!」
ふう、トンネル内をダッシュして間もなく俺は兄貴とヤスに追いつく。
意外と鈍間だな、コイツらは――。
「さて、俺はこの世界のことをよくわからん。悪いが色々と教えてもえらうぞ。」
「うむ、仕方がないなぁ。ただし、俺のことを兄貴って呼べ! つーか、舎弟そのニってヤツさ!」
「OK! 兄貴!」
「す、素直じゃねぇか……。」
「そうかい?」
何故、俺は女になってしまったのか!?
そして、ここはどこなんだ――と、その謎を解くためには素直に従っておくべきだな。
「ところで魔女になる気はないか?」
「ん、ブックスだっけ? 魔女にならないか……だと!?」
さてと、トンネルを抜けると、そこは鬱蒼とした背の高い雑草が生い茂る森の中であった。
うーむ、なんだかんだと確信できたぞ。
ここは俺の知ってる世界じゃないなぁってことが……。
目の前には草木に覆われた古代ギリシャ風の遺跡のようなモノが見受けられるし……。
それはともかく、ブックスが急にそんなことを言い出すワケだ。
魔女にならないかと――。