外伝EP03 アヒル女神と眼鏡少女 その9
私の目の前にいる気は弱そうだし、オマケに頼りなさそうな眼鏡の女のコ——メリッサさんは、見た目だけなら私とそう変わらない年齢だろう。
しかし、彼女は生ける屍——つまりゾンビである。
そんなワケで実年齢は、もっと上かもしれないわね。
死んだ時の年齢のまま外見は変わることはないと思うし——。
さて、メリッサさんは腐らない特殊なゾンビだって自称している。
うーん、私的には、その原理が知りたいところである。
「あ、私が腐らない特殊なゾンビでいられる理由は、この石……繋がりの石のおかげなんです。マーテル王国でてにいれたんですよ!」
「へえ、そうなんだ。だからキョウと一緒じゃなくても本物になる恐れがないワケね。」
「はい! そのおかげでキョウ様と一緒じゃなくても……は、はわわわっ! 忘れていました! キョウ様やミネルさんが盗賊団に捕まってしまったんです!」
「な、なんだってー!」
「うーん、もしかしてネコ団に捕まったのかしら、アイツら?」
「はい、ネコ団です!」
「ネコ団? 可愛い名前の盗賊団ですね。」
「莫迦っ! 可愛いのは名前だけよ。アイツらは凶悪な連中なのよ!」
ネ、ネコ団!? 可愛らしい名前の盗賊団にメリッサさんの主であるキョウさんとやらは捕まったみたいね……ん、名前は可愛いけど、実は凶悪な連中!?
なんだかんだと、盗賊団という無法者ね。
凶悪な連中であることは、ある意味で当然かもしれないなぁ。
「ネコ団って連中は、私達が住むエフェポスの村の厄介者で、オマケに暴れ者のボリスって虎獣人が頭目を務めている盗賊団で、最近、主に兎天原の外の区域からマーテル王国を目指してやって来る商団を襲っているらしいわ。」
「ちょ、ボリスですって!? 私はソイツに殺されたんです! あ、でも、キョウ様にゾンビとして復活させてもらったんですが……ムムム、因縁の相手が頭目の盗賊団だったとは!」
そのネコ団とかいう盗賊団とは、エフェポスの村に住むアフロディーテさん達との間には、なんだかんだと、因縁があるようだ。
オマケに、メリッサさんが生ける屍ことゾンビとなってしまった背景には、件のネコ団の頭目ボリスが関わっているようだ。
「さて、あっちゃん、当然、助けに行くよな?」
「うん、当たり前でしょう! 一応、キョウは友達だしね!」
「おお、そう言うと思ったぜ!」
「じゃあ、早速、行こうぜ! 善は急げってヤツだ!」
「ああ、当然、アナタも行くのよ、愛梨?」
「え、私も……や、やっぱり、そうなるのかぁ……。」
むう、なんだかんだと、そういう流れになるのね……。
ああ、盗賊団と対峙するなんて信じられない気分……。




