外伝EP03 アヒル女神と眼鏡少女
当時人物紹介
・美島愛梨
現実世界から猛獣界のケモニア大陸にやって来たいじめられっ子の中二女子。
・アフロディーテ
女神を自称し、オマケに美神拳という拳法を使うアヒル。
愛梨と合体する。
・沙羅
獣人飛行隊の隊員に所属する烏。
鳥人なので人間形態にも変身できる。
私が最後に見た光景、それは猛スピードで迫る大型トラックである。
そしてドパーンッ——と、そんな何かが破裂する音が響きわたると同時に、私の意識はプッツリと途切れるのであった。
所謂、即死ってヤツだろう。
痛みを感じる間もなく、私は死んだんだ。
でも、本当に!?
本当に私は大型トラックに撥ねられて死んだのかな?
じゃあ、私が今いる場所は、天国……それとも地獄なのかな!?
『ちょ、また私の負けなのー!』
『ハハハ、そういうことだ!』
(ん、声……近くに誰かいる!?)
声が聞こえる……女の人の声だ。
その声に反応し、私は周囲を見渡す……。
さて、私が今いる場所は、どうやら公園のようだ。
でも、公衆トイレのような場所とベンチはあるけど、ブランコや滑り台とった遊具は見受けられない。
が、一方で、そこそこ広いグラウンドは見受けられる——とまあ、そんな場所である。
『もう一回、勝負よ!』
(さっきの声が、また……。)
さっきの声が再び聞こえてくる……声の主は、どこにいるんだろう?
「あ、よく見ればきりかぶをそのまま利用したテーブルがある……ん、アヒルと烏、それに小さなライオンと兎!?」
おっと、忘れていた。
私が今いる公園のような場所には、大きな木のきりかぶをそのまま再利用したテーブルが、いくつも見受けられる。
ここは元々は、森林だったのかな?
で、そのうちのひとつに視線を向けると、首に赤いチェック柄のマフラー巻いたアヒル、白縁のゴーグルを首に提げた烏、眼鏡をかけた子ライオン、緑色の上着を着た白い兎といった動物が……え、チェスのような駒を使って遊ぶ種類のボードゲームで遊んでいる!?
「あら、見慣れない人間がやって来たわ。どう、アナタも参加しない?」
「うわ、アヒルが喋った!」
わ、私は夢を見ているんだろうか……いや、目の前で起きていることは現実だ。
だって、私の存在に気がついたアヒルが話しかけてきたワケだし……え、喋るアヒル!?
「アヒルが喋った? 何、当たり前のことを言っているのさ。」
「え、えええっ! 当たり前のことって……。」
「お前ひょっとして兎天原の外から来たのか?」
「ああ、なるほどね。道理で不思議そうにしているワケだ。」
「そういえば、俺達みたいな存在は兎天原以外じゃ珍しいって聞くぞ。」
「ヒ、ヒイイィィ! 烏や子ライオン、ついでに兎も喋った!」
うわあああ、私の目の前で信じられない物事が、次々と展開する!
ちょ、ここは喋る動物が住む世界なの? う、嘘でしょう……。
「ところで、アナタは何者なワケ? それにどこから来たの?」
「それは私も知りたいところよ! あ、名前は美島愛梨、日本の○○県S市からやって来たんだと思う……恐らく。」
「へえ、日本? ○○県S市? やっぱり兎天原の外から見たいね。」
「つーか、あっちゃん、兎天原の外っていうか、日本はケモニア大陸には存在しない国だよ。所謂、別世界にある国ってヤツね。あたしがそう言うんだから間違いないわ。」
「え、そうなの? じゃあ、小フレイヤとか聖地アンザスから移住してきた連中と同じなのかしら?」
「ちょ、アンタ達、一体、何を……。」
お前は何を言っているんだ?
本気でそう言いたくなったけど、頭が混乱してしまい私は何も言えなくなってしまう。
「まあ、リラックスしなよ。ここには同胞がいっぱいいるしね。」
「むむむ、無理だよォォォ~~~!」
リラックスしなよって……無理よ、絶対無理!
ここが異世界だと認めるなんて無理というか心の整理がつかない!
はあ、ホントに混乱する……。
頭が痛くなってきた……私は、この先どうなるんだろうなぁ……。




