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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
274/836

外伝EP02 歌姫×歌女神 その39

 詳しいことは誰も知るワケがない。


 何せ、ウミコの話じゃ大体、五百年も前の話だし、仮に知っているモノがいた場合、ソイツは寿命だけがくそみそに長い長寿種のエルフやレイナのようなドラゴンくらいだろうけど、その手の数百年単位の年月を生きている古老は、残念ながらエフェポスの村にはひとりも住んでいないという。


 え、なんの話かって?


 魔術っつうモノがあり触れすぎて混沌としていた五百年前の兎天原を含めたケモニア大陸全土の話だ。


 が、今じゃ、そんな魔術も五百年前に比べるの三分の一以下にまで減っているらしい。


 いや、根絶させられた系統が、殊の外、多いって言った方が正しいと思われる。


 何せ、俗にエフェポス大魔術会議なんて呼ばれている当時の有力な魔術師や魔女が集まり、今後の魔術界の取り決めが行われた際、大部分の系統が闇の中に葬られたって話だし——。


 とまあ、そんな時代だからこそ可能だったのかもしれない。


 死後の世界——冥界へと行くことができる禁忌の魔術がね。


 で、かつて冥界へと赴き亡くなった恋人を連れ戻そうと目論んだ男が開いたとされる〝扉〟が、エフェポスの村にある冥界の女神ペルセポネー像の台座の下に存在したワケだ。


「うわああ、ゾンビよ、ゾンビ!」


「小フレイヤ、騒ぐな! そんなことわかっている! しかし、キョウ姐さんの使い魔達もゾンビだけど、アイツらはまったくの別物って感じだな。」


「う、うん、メリッサとかは身体がまったく腐っていないのに、地面から這い出してきたモノは、身体のあっちこっちが腐敗しているし、オマケに身体の一部が白骨化しているわ!」


「アイツらは冥界と現世の狭間を彷徨っている素直にあの世へと逝くことができない哀れな亡霊共です。で、メフィストさんが不死宝珠を使ったせいでアイツらは一時的に実体化したんだと思います。」


「そ、そうなの? この不死宝珠って凄いなぁ!」


「お、おい、メフィスト、関している暇はないぞ! 実体化した亡霊共を冥界へ送り返す手伝いくらいしろ!」


「ん、いいよ。暇だし!」


 ペルセポネー像を中心に拡大する真っ黒なモノ——冥界の扉から這い出してきたゾンビのようなモノの正体は、冥界と現実世界の狭間を彷徨い亡霊共がメフィストが不死宝珠を真の姿を取り戻すために使ったために実体化した存在のようだ。


 まったく、使う場所が不味かったな……と、そんなことより、冥界の扉が開いている間に、実体化した亡霊共を追い返さなくちゃ大変なことになりそうだぞ!

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