外伝EP02 歌姫×歌女神 その35
「さて、〝アイツ〟を誘い出すには……シュークリームが沢山あるぞ! でっかいシュークリームが!」
俺はバルロスの塔に向かって大声を張りあげる。
あの天高くそびえ立つ建造物に住んでいるモノを呼び寄せるにゃ大好物の食べ物が大量にある——と、嘘を吐けばいいってワケよ!
『え、シュークリームが沢山!!』
う、雷鳴のような大きな声が響きわたる。
で、その刹那、俺が本来いるべき世界においては、数千万年単位の昔……要する太古に昔の滅び去った巨大爬虫類こと恐竜のような生き物の巨大な頭が、ヌゥとバルロスの塔の岩のチューリップといった感じの先端から顔を出す。
飛竜王姫レイナだ……う、ダラダラと鉤状の牙が生えそろった大きな口から涎を垂らしているぞ。
俺が吐いた嘘を鵜呑みしているな、コイツ……。
「あ、もしかしてヤマダ? たまにここら辺を飛んでいるモノとは別物の戦闘機とやらの玩具だねぇ。」
「まあ、色々と諸事情があってなぁ……。」
「た、隊長、そんなことより、ミサイルがこっちに!」
「お、おお、そうだ、そうだ! レイナ、あの火を噴きながら飛んでいる筒みたいなモノが見えるだろう? アレをもし破壊できたらショークリームを腹一杯、食べさせてやるぞ!」
「え、ホント!? よっしゃ……じゃあ、早速、ぶっ壊してやんよ! ギャゴオオオオッ!」
「わ、危ない、いきなり炎の塊を吐くなァァァ~~~!」
あ、危なかったぁ!
バルロスの塔の岩にチューリップといった感じの先端から、ヌゥと顔だけ出すレイナの鉤状の牙が生えそろった巨大な口が開くと、ゴオオオッ——と、放射状に火炎が噴射する!
ヒュー……まるで火炎放射器って感じだな!
だが、上手い具合に俺とノネズミヒコを執拗と追いかけてきたミサイルをレイナの古代生物恐竜を連想させる巨大な口の中から噴射された放射線状の火炎の奔流が飲み込むのだった!
「ギ、ギエエエエッ!」
レイナが吐き出した放射状の火炎の奔流に飲み込まれたミサイルが、禍々しい叫び声を張り上げる。
そ、そうか、コイツはメフィストの身体の一部でもあったな。
故に、あの禍々しい叫び声は、恐らくはメフィストの……。
「う、ミサイルが光を!」
「気をつけろ! 爆発する!」
「え、爆発!? ひゃあーっ!」
純白の閃光が迸る。
そして、その刹那、純白の閃光は赤々と燃え盛る火炎へと変貌し、四方八方に拡散する。
「ぐわ、爆風がっ……ぐあああっ!」
く、辛くもミサイルの爆発には巻き込まれなかったが、その後に起きる襲撃波のような風圧……爆風には巻き込まれてしまう。
「ふ、ふえええっ!」
お、おいィィ! こんな時に融合合体が解除されてしまう!
そんなワケで当然、俺は真っ逆様に地上へと落下するのだった!




