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EP4 俺、死霊魔術を使います。その8

「え、本物のゾンビになる!?」


「ああ、思い出したぜ。ゾンビっつうと、生きてる人間を襲って食べちまう怪物のことだったな。」


「ウワサだと、そんなゾンビに齧られたりした被害者もゾンビになってしまうって聞いたことがあるわ。」


「俺もその話を聞いたことがあるぞ! んで、ゾンビを一体でも放置すると鼠算式に犠牲者が増えていくって……。」


 へ、へえ、そうなんだ……。


 つーか、俺が知っているB級ホラー映画の設定そのままじゃん!


 むう、流石は異世界だなぁ――と、痛感したぜ。


「ゾ、ゾンビって怖い存在なんですね!」


「おい、アンタがそれを言っちゃダメっすよ! ゾンビなんだし……。」


 と、ヤスの言うことは、ごもっともだな。


 さて、このままじゃメリッサは、本物になってしまうかもしれない。


「よし、キョウ。この女を使い魔にしよう。そうすれば、〝腐らないゾンビ〟の完成だ。それに本物にならずに済むかもしれない。」


「使い魔!? 勝手に決めないでくださいよぅ! 私はこう見えても由緒正しきネメシス騎士団の団員なんですから!」


 キュッと瓶底のような眼鏡を右手の中指で押しながら、メリッサは文句は文句を言う。


 うーん、そりゃそうだろうなぁ、ゾンビとはいえ、彼女はネメシス騎士団の団員なワケだし、いきなり俺の使い魔になれと言われても無理な話である。


「ん、誰か来たぞ。教会前の修道女(シスター)のような女だ。」


「あれはミカエル司祭だ。エフェポスの村に住んでいる数少ない人間だ。」


「でも、なんで彼女が、ここに……。」


「村長であるフレイ、お前を探しに来たんじゃね?」


「フレイちゃん、探しました! あ、ああ、大変です! ネメシス騎士団の連中がゾンビが出たって騒いでいるんです! そんなワケで連中のせいでエフェポスの村の中は、まるでお祭りの時のような騒ぎに……。」


「ふむ、ビンゴね。さて、ネメシス騎士団がゾンビが出たって騒いでいる……ですって!? しかも、お祭り騒ぎとか……大袈裟ね。」


 その騒ぎの元凶は、おそらく……いや、間違いなくメリッサのことだな。


 やれやれ、それはともかく、ネメシス騎士団って連中は、お祭り男やお祭り女の集団のような気がしてきたぞ。


 今のメリッサは、ゾンビとはいえ、何もお祭り騒ぎを起こすほど危険な存在じゃないんだがなぁ。

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