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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
265/836

外伝EP02 歌姫×歌女神 その30

「「うわああ、斬られる!」」


 俺とウクヨミは同時に叫ぶ——万事休すか!?


 だが、奇跡は起きるモノである。


「ギ、ギエエエエッ! ソノ歌ヲハ……ヤ、ヤメロ!」


 ん、間一髪のところで真竜牙兵が振り下ろす右手に握られた刃毀れだらけの長剣が止まる。


 な、何が起きたんだ!? 真竜牙兵が苦しみ始めたぞ!


「とにかく、今のうちのコイツの側から離れよう! うおおおーっ!」


 俺は全身全霊の力を振り絞り、ウクヨミの尻の下から這い出すのだった。


「鎮魂歌か、やるじゃない!」


 鎮魂歌? 大フレイヤの美しい歌が響きわたる。流石は歌姫だぜ。


 美人だけどガサツで下品な大フレイヤの意外な特技ってところだな。


 さて、真竜牙兵が苦しみ始めたのは、そんな大フレイヤが歌う鎮魂歌のせいなのか!?


「じゃ、私も歌うとしましょう。」


 続けとばかりに中フレイヤも歌い始める。


 おおお、大フレイヤに勝るとも劣らぬ美しい歌声だ。


「オオオ、オ前ラ、ヤメ、ヤメロ、ヤメメメメッ!」


「アイツ、なんかすっげぇ苦しんでいるでありますね、隊長。」


「原理がわかるよな、隊長?」


「し、知らないぞ、流石に……。」


「わらわが説明してやろう。鎮魂歌は荒ぶる魂を鎮めるための文言が込められた歌なのだ。」


「荒ぶる魂? 悪霊とか?」


「うむ、まあ、そんなところかのう。んで、そんな荒ぶる魂を鎮める文言は、他の不死怪物にも効果があることが判明したのじゃ!」


「た、他の不死怪物? ゾンビとか? な、なるほど、だから、キョウ姐さんの使い魔達は、あの時、苦しんだのね。」


「ま、そんなワケで不死者狩りを生業とする魔物ハンターの相方が、鎮魂歌を歌える歌姫が多かったりするワケじゃ。」


 ふむ、そんな原理だったのか……。


 で、なんだかんだと、死体が何かしらの理由で復活した種類の怪物である不死怪物(アンデットモンスター)全般に効果があるなんて一石二鳥な歌ってところだな。


「でも、絶大な効果を発揮するのは、不死怪物の中でも、あくまで霊系のみなのじゃ。」


「ア、アイツは霊じゃないのか?」


「アイツは不死怪物でもドラゴンの骨とか牙からつくられたモノじゃからのう。効いて頭痛に苦しむ程度じゃ。」


「むう、頭がパーンって弾ければいいのにねぇ……。」


「あ、どうでもいいけど、赤い竜牙兵が逃げ出したぞ!」


 鎮魂歌の効果が存分なく発揮するのは、あくまで霊系に種別される不死怪物だけなのね。


 故に、ドラゴンの骨や牙などから生まれた真竜牙兵には、頭痛を起こさせる程度にしか……っと、そんな真竜牙兵は、シャッと踵を返して逃げ出す。


「タ、タマラン! 貴様ラ覚エテイロヨ! めふぃすと様ァァァ~~~!」


「お、おい、待て! 最後まで俺の歌を……チッ!」


「フフフ、逃げてしまいましたね。」


「お、おい、そんなことより、俺達もメフィストを追いかけるぞ!」


 真竜牙兵は悲鳴をあげながら、主であるメフィストが向かった先——エフェポスの村の方へと向かう。


 さ、俺達も後を追わなくちゃな!

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