外伝EP02 歌姫×歌女神 その27
「うわー! 捕まってしまった、キヒヒヒ……。」
「さあ、不死宝珠を返すのです!」
「さっきも言ったよね? 断るってさ……あらよっと!」
「え、えええ、霊縛網から逃げ出した!? ア、アイツは幽霊じゃないの?」
中フレイヤが投げ放った青白く光る網から、孔雀の姿から真っ白な煙へと変身し、網の隙間から抜け出すかたちでメフィストは脱出する。
「ア、アイツ、どこへ!」
「村の方へ向かったぞ! 追いかけるぞー!」
「まったく、何故、返すのを拒むんだ、アイツ!」
「今度こそ捕まえて、その理由を訊き出してうやる!」
メフィストは再び孔雀の姿に変身する。
で、エフェポスの村の方へと飛び去ろうと上空へと舞いあがる。
「隊長、私達は先行して追いかけてみます!」
「おう、頼むぜ!」
シャッ——と、獣人飛行隊の隊員である鳥人達がメフィストを追いかけるため大空へと舞いあがる。
が、その直後である。
「お前達、邪魔をしないでよね! 行けっ——竜牙兵!」
「わ、メフィストの奴が何かを地面にばら撒いたぞ……わ、武器を持った骸骨が地面から飛び出してきた!」
う、孔雀に変身し、俺達の目の前から飛び去ろうとするメフィストが置き土産とばかりに、何からばら撒き始める……う、そのその刹那、地面から武器をたずさえた骸骨が飛び出してくる!
竜牙兵とか言ったな……や、厄介なモノを!
「ムムムッ……アレはドラゴンの骨とか牙からつくる不死怪物ね。」
「ドラゴンの骨には、膨大な魔力が残っていると聞く。故に、例え死んで骨だけになっているとはいえ、油断できん存在じゃ!」
「ドラゴンかぁ、あの飛竜みたいなモノのことだろう? アイツらって厄介なんだなぁ、例え死後であっても……。」
「ああ、死霊使いの力を借りず自力でゾンビ化して復活するモノもいるらしい。」
「ふえええ、メチャクチャに厄介だなぁ!」
ドラゴンって厄介な奴らなんだなぁと改めて——。
死んで骨だけになっても、そんな骨には膨大な魔力が残っているようだ。
故に、身体の一部——骨片や牙、爪などが、メフィストのように悪用するモノの手に渡ると大変なことになりそうだ。
「く、さっきの骨兎共と違って太陽の光が弱点ってワケじゃなさそうだな。」
「とにかく、アイツらを退けてメフィストを追う鳥人達の後に続くぞ!」
竜牙兵は今のところ弱点らしきモノが見当たらないな。
骨兎共のような太陽の光を浴びても灰にならないし……。
「お、襲いかかってきた! 迎撃するぞ!」
竜牙兵共が蠢き始める。
むう、たずさえた剣や斧を振りあげ、禍々しい死の行進とばかりに、一斉に突撃してくるのだった!
「しゃれこうべを破壊すれば動きが止まる筈だ! うおおーっ!」
さぁて、愛用の拳銃で竜牙兵を再起不能にできるかやってみる。
しゃれこうべ……頭蓋骨を破壊すれば動きを封じられる筈だ!
そんなワケで俺は、襲いかかってきた竜牙兵の一体の額に狙いを定め愛用の拳銃の銃爪を引く!
「よ、よし、上手く命中したぞ!」
「隊長は狙撃手であります! 突撃してきた竜牙兵のしゃれこうべの顎から上を吹っ飛ばしたし!」
「む、むう、待て待て! あの野郎、まだ動くぞ!」
「うわああ、手足を破壊しなきゃダメでありますね!」
く、愛用の拳銃こと南部十四年式拳銃の銃口から放たれた銃弾が、ドパァァァン——と、襲いかかってきた竜牙兵一体の頭蓋骨の顎から上が砕け散るのだが、流石は不死怪物だ。
そんな状態になっても、まるで何事もなかったかのように動き回っている……く、手足を優先的に破壊すべきか!?




