外伝EP02 歌姫×歌女神 その15
「ふう、肝心なことが思い出せないのは辛いモノですね。」
「は、はあ……。」
「でも、またいくつか思い出しましたよ!」
「お、おお、早速、聞かせてくれ!」
俺達はエフェポスの村へと戻る。
で、ウミコの屋敷へと移動するのだった。
「まだそこそこ曖昧な部分がありますが、私はそこにいる大フレイヤさんに用事があった気がします。」
「ド、ドキーン!」
「さて、なんだかんだと、わらわが兎魔術で思い出せてやろうか?」
「お、それが一番ですね、ウミコ様!」
「お、おい、強制的な方法で思い出すのはやめておけって!」
「あ、じゃあ、お願いします。」
「大フレイヤがいなくなった! 余程、気不味いことなのかしら?」
ウミコが行使する兎魔術を使えば、中フレイヤが思い出せないという肝心な記憶を強制的に思い出せることができるのかも——。
おいおい、病院へ連れて行く前に、それが可能だったのなら、最初から……って、また大フレイヤがいなくなったぞ。
まったく、都合が悪くなると逃げ出すとか、一体、どんな因縁があるんだよ!
「じゃ、早速、うりゃー!」
「ウ、ウミコの全身の毛が逆立ったぞ!」
「オマケに金色に輝いているわ!」
「これは何かトンでもないことが置きそうですね、隊長!」
「ふ、ふう、これでよしっと……。」
「え、それで終わりなのかーっ!」
早速、兎魔術で中フレイヤが思い出せないという肝心な記憶を——と、意気込むウミコの全身の真っ黒な毛が逆立ちオマケに神々しい金色の光を放ち始める。
こ、こりゃ、きっと何かが起きるはずだ!
と、そう思ったが、次の瞬間、シュッと逆立ったウミコの全身の真っ黒な毛が元通りに、それと同時に神々しい黄金の光も消失する。
うーん、アレは一体、何って感じだな……。
「ふあああ、頭の中で何かがパアアアッ——と、広がっていくゥゥゥ~~~!」
「わ、わわわ、中フレイヤに両目がグルグルと回っている!」
「ふ、ふあああ、思い出しました! 何もかも!」
「え、そう? そ、それは良かった!」
「ところで大フレイヤさんはどこです?」
「さ、さあ?」
「ふむ、逃げましたね! 一緒に探してもらえます?」
「あ、ああ、それはかまわないけど、やっぱりアイツと何か因縁があるっぽいなぁ。」
ん、中フレイヤの両目が、グルグルと眼窩と激しく回っている。
で、それが終わると同時に、キッと鋭い目つきで俺や小フレイヤを見つけながら、大フレイヤを一緒の探してほしい——と、中フレイヤが言い出す。
まあ、それはいいが、やはり大フレイヤとの間で、何かしらの因縁がありそうだ。




