外伝EP02 歌姫×歌女神 その12
「やれやれ、テメェを逃がすなってボスが言われている。」
「逃がしたら、キレたボスに俺達は何をされるか……。」
「さて、ついでだから、このガスマスクをかぶった姉ちゃんを捕まえておくか!」
く、右目を髑髏の眼帯で覆う男を筆頭とした柄の悪い男達——キルキル団の連中は、手際よく大フレイヤとイシュタルの手足を拘束する。
大フレイヤを逃がすと、ボスがキレて何をするかわからない——そんなワケで連中も必死な様子がうかがえる。
「おい、あの眼鏡のチビはどうする?」
「逃がしたのかよ! まあいい、アレは標的じゃないしな。」
ん、小フレイヤの姿が見受けられない……お、なんとか逃げたようだな。
く、だが、大フレイヤとイシュタルが捕まってしまう。
「なんだかんだと、助けなくちゃな! ノネズミヒコ、やるぞ!」
「了解です、隊長! あ、コジロウ達がそろそろ来るから、一気に連中を畳み込んじまおうぜ!」
制空権は俺達——獣人飛行隊が握っている!
地上にいる大フレイヤとイシュタルを拘束し、拉致しようと目論むキルキル団の連中を一網打尽にできるはずだ!
「どうしたモノか……よし、まずはリーダー格のぶっ潰しておくか!」
「隊長、俺が攻撃します!」
「おお、頼むぜ、ノネズミヒコ!」
獣人飛行隊のひとり——ノネズミヒコが駆るゼロ戦が、ギュオオオッと空中を旋回しながら、キルキル団のリーダー格の男に迫る。
「玩具とはいえ、けっこうな威力がある機関銃を受けてみろであります! が、がああーっ!」
「フン、そっちから近づいてくるとは馬鹿な奴め!」
「ノ、ノネズミヒコーッ!」
な、なんだと! キルキル団のリーダー格の男——右目を髑髏の眼帯で覆った男が、シャッと跳躍し、ノネズミヒコが駆るゼロ戦に対し、踵落としをぶちかます!
「アウアウ、アーッ!」
ノネズミヒコは融合合体していたゼロ戦と分離し、勢いよく地面に向かって落下する。
「ふ、ふう、間一髪!」
と、そんなノネズミヒコは地面に落下する直前に、間一髪、俺が救うのだった。
「た、隊長、あの男……跳躍して、私のゼロ戦を……。」
「むう、玩具であるが故の耐久度のなさが出てしまったな。さて、どうしたモノか……ん、歌声が聞こえる!」
髑髏の眼帯で右目を覆う男は、中々、侮れない輩のようだ。
下手に近寄ると跳躍し、あの足技を食らってしまいかねないっ……ん、今度は歌声が聞こえるぞ!?
「中フレイヤさんよ!」
「小フレイヤ、今までどこに?」
「そんなことより、中フレイヤさんの歌には頭痛を起こす効果があるようだわ。ほら、髑髏の眼帯で右目を覆う男を筆頭とした柄の悪い男達が苦しんでいるし!」
荒んだ心だろうと悲しみに暮れる心も、あっと言う間に癒されてしまいそうな女神の歌声という感じの中フレイヤの歌声が聞こえてくると同時に、何故かキルキル団の連中は苦み始まる。
一体、何が起きているんだ!?




