表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
235/836

外伝EP01 大空の兎 その43

「俺とコイツは硫黄島で共に戦っていた。で、気づいたら、ここへ……。」


「俺はガダルカナルで――。」


「私は搭乗していたゼロ戦を敵機に撃墜されて、そして気づいたら――。」


 鼠獣人のノネズミヒコを筆頭とした飛行機乗り志願の獣人や鳥人達は、皆、状況は違えど、俺と同じく、戦場において散った筈なのに、なんの因果か猛獣界へやって来た日本兵のようだ。


 が、例外なく真名を思い出せないようだ……まったく、名前を思い出せんのが辛いぜ。


「フフフ、まさかお前の同胞が、こんなにもいたとはね。」


「あ、お前はイシュタル!」


「……で、今の状況を見てどう思う?」


「す、凄く驚いている。」


「フフフ、だろうなぁ。」


 ん、イシュタルが現れる。


 まるで舞踏会にでも出張るかのような赤いドレスに赤いハイヒールという派手な格好をしているが、何故か素顔を覆うガスマスクは、そのままなんだよなぁ、コイツ。


 やれやれ、素顔を見られたくない理由でもあるのか、この怪人には……。


「フフフ、この際だから部隊名を考えてみないか、ヤマダ?」


「ウミコ……ぶ、部隊名?」


「そうねぇ、兎空隊がいいわね。」


「うーむ……。」


 さてと、玩具とはいえ、融合合体することで本物に変化するゼロ戦が大量にあるし、オマケに飛行機乗り志願の獣人や鳥人達もたくさんいるワケだ。


 この際、本当に部隊名を決めておくべきだろうなぁ……って、ウミコが、ウクヨミを連れて現れると、兎空隊と勝手に部隊名を命名するのだった。


「待て待て! まるで兎獣人しかいない部隊みたいじゃないか! 俺みたいな猫獣人もいることを忘れるニャ!」


「狐獣人の俺は天狐隊と命名したいぜ!」


「いや、狸獣人の俺的には仙狸隊がいいのう!」


「暗黒怪鳥隊もいいな!」


 むう、みんな好き勝手に部隊名は、これがイイ、あれがイイと言い出す。


「むう、これじゃ、部隊名が決まらないぞ。みんなが納得するような部隊名を考えなくちゃな……。」


「じゃあ、俺が決めてやるよ、ヤマダ。獣人飛行隊はどうだ?」


「そのまんまだなぁ。だが、この中に人間がいないし、もうこれで決まりでいいよ、面倒くさいしな。」


「うぬん、隊長殿に賛成であります!」


「ですなぁ、アレコレ考えていると混乱してしまいそうですし……。」


「じゃ、決まりだな! お前らは、これから獣人飛行隊だ!」


 獣人飛行隊――そう大フレイヤが、そのまんまの部隊名を考え出す。


 でも、特に反対意見はないので、それを採用ってことでいいかな。


 俺もアレコレ考えるよりも単純な名称でいいかなって思うし――。


「フフフ、これで竜騎士団崩壊から長いこと存在しなかった兎天原の空を守護するモノ達が新たに誕生したワケね。私は……余は嬉しいぞ!」


 ん、イシュタルが激しく拍手を……え、一人呼称が“余〟に変えたぞ⁉


「改めて名乗っておこうかしら。私は科学者イシュタル……そして、又の名を兎天原全域を支配するマーテル王国最高国家元首アルゴニウスだ!」


「「な、なんだってー!」」


 イ、イシュタルが意外な正体を明かす。


 兎天原全域を支配するマーテル王国とやらの最高国家元首……国王のアルゴニウスだと⁉


 うーん、この怪人がそんなやんごとなき御方とは、とても信じられん!


「ああ、今までの通り、イシュタルって呼んでくれていいわ。アルゴニウスって名前は国王となった時点で継ぐ通り名のようなモノよ。」


「は、はあ……。」


「ああ、それと別に敬語を使う必要ないわ。ああ、イシュタルちゃんと呼んでもOKよ。」


「うーん、敬語はともかく、“ちゃん〟はなぁ……。」


「ん、そういえば、アルゴニウス王って象の姿をしているってウワサを聞いたことがあるのう。」


「ああ、それは先王……即ち、余の父上のことだ。ちなみに、父上は男が足を踏み入れてはいけない女神の聖域であるポース山に恐れ多くも足を踏み入れたせいで、あの山に住む女帝と呼ばれている女神の怒りに触れてしまい象の姿になってしまったのよ。馬鹿でしょう、クククク……。」


「…………。」


 アルゴニウス王は象の姿をしている⁉


 が、それはイシュタルではなくて先王である彼女の父親のようだが……。


 知らなかった、そんなこと……というか、俺は兎天原については知らないことだらけなんだよなぁ。


「さてと、任命書を後日、届けさせるわ。それまでは飛行機乗り志願の獣人や鳥人達に玩具のゼロ戦との融合合体の方法と飛行訓練をヤマダには頼んでおきたいわね。」


「は、はあ、それくらいなら……。」


「よし、決まりだ! それじゃ、頼むぞ、ヤマダ! 兎天原は何気に“狙われている〟からね。」


 んんん、今、イシュタルが意味深なことを言ったぞ。


 兎天原が狙われている…だと…⁉


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ