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EP4 俺、死霊魔術を使います。その2

「悪いなぁ! ついつい本気でぶん殴っちまったぜぇ!」


「…………。」


「ありゃ、反応なしってヤツ? ひょっとして死んだ?」


「ボリスの旦那ぁ! 殺っちまったんですか?」


「ああ、多分。てか、この人間のメスはネメシス騎士団の団員っぽいな……ちょ、俺は指名手配されちまう?」


「バレたら、きっと……。」


「うおおお、それはマジでヤバい! 逃げるぞ、コタロウ!」


「へ、へい、ボリスの旦那っ!」


 ボリスとかいう虎獣人と一緒にいるのは、コタロウという二足歩行の狐――狐獣人(ワーフォックス)だ。


 恐らくボリスの舎弟だろう。


 と、そんな虎獣人のボリスと狐獣人のコタロウは、自分達の周りをキョロキョロと見回すと、その刹那、疾風のような勢いでアジトの前からいなくなる――逃げたってヤツ!? いや、そうだろう、絶対!


「ボリスの野郎はいなくなったな。よし、外に出てみようぜ。」


「あ、フレイヤ、まだ気が抜けないような……待てよ!」


 ボリスはもういなくなった――外に出ても安心かな?


 が、そんなボリスが戻ってくるかも――という警戒心を抱きつつ俺は、フレイヤと一緒にアジトの外へと出る。


「お、おい、見ろよ……。」


「う、うわああ、首が変な方向に折れ曲がっちゃいないか、コイツ!?」


「う、うん、こりゃ頸椎が折れちまっている!」


「……ってこたぁ、コイツは死んでるのか!?」


 メ、メリッサという瓶底眼鏡の女は死んでいる!?


 仰向けに倒れている彼女のもとへと駆け寄ってみて、ようやく状況がわかる。


 首がっ……彼女の首があらぬ方向に折れ曲がっている!


 こりゃ即死だな、頸椎が折れているよ、バキンッと……。


「うへえ、俺、死体を見たの初めてだよ……。」


「俺もだよ。ちょっとショックかも……。」


 俺もだけど、フレイヤもショックを受けた様子。


 メリッサの身体は触るとまだ温かいし、オマケに首があらぬ方向に曲がっているだけで他に損傷はない。


 だけど、間違いなく〝死んでいる〟んだぜ、コイツ……。


 元々いた世界でも家族や友人の死を目の当たりにしたことがない俺にとって、メリッサの死は、初めて体験する〝死〟を身近に感じる出来事だ。


「さて、この女は死んで間もないようだな。よし、今ならまだ間に合うかもしれない! それに人格等に影響が出ないはずだ!」


「ま、間に合う!?」


「うむ、キョウ、君にはまだ早いが、死霊魔術(ネクロマンシー)を使って、この女を蘇らせよう! ただし、ゾンビとしてだが――。」


「な、なんだってー!」


 え、メリッサを死霊魔術でゾンビとして蘇らせる!?


 ブックスにはそんな禍々しい魔術まで載っているのかよ!

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