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俺、異世界で魔女になります!  作者: はすた
外伝シリーズ
192/836

EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その64

「うううう、眼が痛い……眼が、眼が焼ける!」


 く、何も……何も見えないぞ!


 あの赤い光の奔流に飲み込まれたせいで一時的に失明状態に陥ってしまったようだ。


「あ、お姉様だわ! 今までどこに!」


「まったく、散々、探し回ったんだぜ。」


「でも、まあ、無事っぽいわ。」


「ゾンビ達、サキとアフロディーテも無事のようね。」


「ん、ピルケがチビライオンを抱いている。」


 なんだ、聞き慣れた声が複数……グラーニア、大フレイヤ、小フレイヤ、それにウェスタとデュオニスの声だ!


「な、何も見えないけど、そこにいるのか、グラーニア?」


「はい、お姉様! え、何も見えない?」


「ううう、お姉様も同じみたいですね。」


「ふむ、何が起きたのかは知らないけど、アナタ達は一時的に失明した状態なのかもしれないわね。」


「むう、そうなのか……。」


「まあ、しばらくすれば治るとは思うわ。」


 一時的な失明状態は、しばらくすれば治るってアフロディーテが言っている。


 むう、ならいいけど、あの赤い光のせいで何も見えなくなるのは厳しい状態だなぁ……。


「あ、そうだ。プロメテウスの草っぽいモノをGETできましたよ。これでディルムを元の姿に戻すことができそうですね、お姉様!」


「お、おお、そうか……それは良かった!」


 ん、グラーニアの喜びの声が聞こえてくる。


 そ、そうかぁ、プロメテウスの草を入手できたか……ん、そういえば、俺はステュクスの滝の周辺にいるのかな?


 ドドドドッ――と、そんな流れ落ちる水の音が絶え間なく響きわたっているしね。


「く、材料はそろったけど、俺の目の調子が……。」


「お姉様、それなら私が!」


「ん、グラーニア……つくれるのか?」


「どんなことにもチャレンジをしたいです! それにディルムは私の手で元の姿に戻したいと思っていました!」


「そ、そうか、じゃあ、任せるとしよう。」


 俺は一時的とはいえ、失明状態だし、代わりにディルムを猫の姿から元の姿に戻す魔法の薬をつくるモノがいなくちゃいけないよな!


 で、その代わりに相応しいのは、なんだかんだと、ディルムと妻と言っても間違いないグラーニアことリリスしかいない筈だ。


「うむ、ここなら上手くつくれるかもしれない。ここは大地のエネルギーが充満している場所だしな。」


「ああ、ブックスが一緒だし、グラーニアにもつくれるはずだな。」


「俺も手伝うぜ。以前、薬剤師の仕事もやっていたんだ。薬の調合なら任せてくれ!」


 ん、ブックスの声も聞こえる……ここは大地のエネルギーが充満している場所⁉


 あ、ああ、そういえば、ステュクスの滝は龍脈とかいうパワースポットでもあったな。


 さて、女帝の呪いによって猫の姿になったしまったディルムを元の姿に――人間の姿に戻すには、オリハルコン、アダマス、ミスリルという三大希少金属の鉱石とプロメテウスの草という魔法(?)の草を調合してつくる魔法の薬以外にも、大地のエネルギーが溜まるパワースポットこと龍脈であるステュクスの滝から抽出した膨大な魔力も必要となるっぽいぞ。


「さて、グラーニア。私が言う手順に従って素材を“この液体〟をかけて溶かすんだ。後は、この棒で捏ねて……よし、完成だ!」


「ふ、ふう、これでいいんですか、ブックスさん? 妙に簡単な気がするんですが……。」


「お、おお、完成したか! よし、早速、飲んでみるか――。」


 ん、もう完成したの?


 うーん、一時的とはいえ、失明状態なので、どんな手順でつくったのかを見ることができないのがキツいねぇ……。


「アーッ!」


「お、おい、今の悲鳴はディルムの……な、何が起きたんだ⁉」


「お姉様、成功です!」」


「成功って……ディルムは元に戻れたってこと?」


「はいっ……首から下だけですけど!」


「え、えええっ……じゃあ、猫頭人身ってヤツ?」


 ディルムが変な悲鳴を張りあげたんで心配したけど、なんだかんだと大丈夫そうだ。


 で、グラーニアは成功したって言うけど、首から下が元に戻っただけっぽいので、実際のところは失敗したんでは……。


「とりあえず、下山しようぜ。ここにいつまでもいるワケにもいかないでしょう?」


「ですね、お姉様。ディルムは一応、元に戻ったワケですし~☆」


「うーん、ホントに成功したのかよ……ま、まあいいや、一旦、オリン山大神殿へ戻ろう。」


 さてと、猫頭人身という微妙な姿に戻ってしまったディルムの姿が気になるけど、一旦、下山しよう。


 そして視力が戻るまで休憩しなくちゃいけないなぁ……。


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