EP3 俺、魔法の薬を作成します。その6
「人狼? なんだぁ、そりゃ? ここは兎や猫のような小型動物型の獣人しかいねぇだろう?」
「と、ところがどっこい! それは違うのですよ、メイガースさん! ああ、メイガースさんは、兎天原へ来て間もないみたいですね。じゃあ、わからない筈ですね、ハイ。」
「むうう、新参者で悪かったな! それがともかく説明しろや!」
「じゃあ、説明しますね。兎天原には、狼獣人や虎獣人、その他に大蜥蜴獣人といったお肉が大好物である狂暴な大型肉食獣系の獣人もけっこう住んでいるのです。ああ、鷹や隼といった猛禽類型の鳥人も住んでいますよ。だから、私達、人間にとっては意外と危険な場所だったりします!」
「し、知らなかった、そんなの……。」
「あ、ああ、俺も……。」
「ん、今、何か言ったか、メリッサ?」
「いえ、私は何も……。」
「むうう、俺の空耳だったのか?」
へえ、兎天原には大型の肉食獣系獣人や猛禽類型の鳥人も住んでいるワケね。
むう、てっきり兎や猫といった小型動物型の獣人ばかりかと思っていたので、正直、驚いたかも……。
おっと、そんなことより、驚きのあまり思わず声を出してしまったぜ、気をつけなくちゃ!
「フフフ、面白いことを思いついちゃったかも! 上手くいけば、アイツらをここから追い出せるかも!」
「面白いこと!?」
インビジブルパウダーのおかげで姿は見えないので、アジト内のどこにいるかはわからないけど、そうフレイが何かしらの策を思いついたっぽい言葉をつぶやく。
「あ、ああ、なるほど! フレイの思いついた策が、俺にはわかったぜ!」
「むうう、なんだよ、その策って……。」
「物真似よ。狼のね。んじゃ、早速……ワオオオオオンッ!」
も、物真似ェェェ~~~!
フレイが狼の遠吠えのような大声を張りあげる。
わあああ、本物の狼のようだ……い、一瞬だけど、全身の毛が逆立つような恐怖心を抱いてしまったぞ、俺!
「うおおお、うひゃあああっ!」
「メ、メイガースさん! ままま、待ってくださいィィ!」
お、おお、効果絶大って感じだな!
フレイが張りあげた本物の狼の遠吠えのような叫び声に畏怖するメイザースとメリッサは、ギャーと悲鳴を張りあげながら、アジトの外へと飛び出していくのだった。
「よっしゃ、撃退成功!」
「わ、インビジブルパウダーの効果が、丁度いい具合に切れたな。」
「おい、どうでもいいけど、いつまで俺に抱きついてんだよ! イイ歳こいて未だにママンのおっぱいが恋しいのかぁ?」
「あ、スマン! つーか、そんなわきゃねぇだろ!」
むう、フレイヤに妙な疑いをかけられたぜ。
つーか、不可抗力だっつうの!
「ギャアアアアーッ!」
「わ、今、アジトの外から悲鳴が聞こえたぞ。今度はなんだ、一体!?」
「今の悲鳴は瓶底眼鏡の女の悲鳴じゃね?」
な、なんだぁ!? メリッサって女の悲鳴がアジトの外から聞こえてくる。
おいおい、今度は何があったんだぁ、アイツらに?




