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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その59

「うおおお、俺達の正体がバレちまったぞ、アードン!」


「だが、ここでコイツらはお陀仏だ。秘密は永遠に隠匿されるのだァァァ~~~!」


 く、正体はバレたというのに、何故かハイテンションだぞ、木霊は……。


「く、俺のターン……先手必勝だ! カード魔術でジャンプ力を強化し、再び俺の頭突きを受けてみろ!」


 今度は、こっちから攻撃を仕掛けてやる!


 なんだかんだと、俺の頭突きは効果抜群だったしな!


「このっ! さっきは油断したが、今度は……ゴ、ゴギャア!」


 俺の頭突きがクリーンヒットし、顎から顔面の中心にかけて亀裂が入った方の木霊……ドリーは勢いよく後退する。


 さっきの二の舞はゴメンだねって感じか?


 だけど、遅い! 一時的にだけど、爆発的な脚力を得られるその名の通り、<脚力増強>のカードの効果によって常人の倍の脚力を得た俺の頭突きから逃れることは無理ってヤツだ!


 カシャーン! と、そんな甲高い男を奏でながら、俺の頭突きが直撃したドリーの頭が砕け散る!


「うああああ、ドリー! が、がああっ……か、身体が溶ける!」


「美神拳奥義……天翔火炎三昧(ヴィーナスフレイム)よ! アンタ達の正体は蜂蜜の塊だったわね。故に、溶かせばいいってワケよ!」


「ちょ、あっちゃん、今、火を吐いたろ……ま、まるで火を吐くドラゴンって感じだな!」


 アードンの右半身がドロッと溶け落ちる……むう、アフロディーテの黄色くて平らな嘴がクワッと開き口内から、赤々と燃え盛る火炎が、某巨大怪獣の必殺技の如く放射線状に吐き出す様を俺は、この眼でしっかりと見たぞ!


[さ、流石は怪鳥アヒルゴン!」


「ちょ、何よ、その名前は!」


「ま、まあ、とにかく、木霊はみんなやっつけたんだし……わ、なんか増えてませんかぁ?」


「ひゃあ、確かに増えています! マッスルな大男が……木霊が!」


 ドリーとアードンという木霊をなんとかできたぞ!


 そう思った矢先である〝あのふたり〟と同じ姿をした黒と黄色の縞模様の全身タイツを着た複数人のボディービルダーが、俺達の周りに……か、囲まれた!


「わしら木霊の数が何もふたりとは限らんのだよ!」


「うむ、わしの数は無限よ!」


「そう……蜂蜜がある限り、わしらは無限に増殖するのだァァァ~~~!」


「む、むうっ……。」


 無限に増殖するだって⁉


 うえー、面倒くさい奴らだな……く、どうする、俺!


「私にイイ考えがあります!」


「ん、メリッサ! 何かイイ考えがあるのかよ!」


「はい、こういう場合は……逃げるんですよ!」


「え、えええ、逃げるだって⁉」


「はい、逃げましょう、お姉様! わ、手を引っ張るなよー!」


 ちょ、イイ考えがあるってメリッサが言い出すけど、それって逃げることなのかよォォォ~~~!


「キョウ様、心配ご無用ですよ。すでに〝入手〟してありますし――。」


「いやー、大変でしたよ、まったく! しかし、キョウ様が囮になったおかげで助かりました!」


「お、おい、ミネル、アシュトン、一体、何を……。」


「馬鹿じゃのう。まだ気づかないのか? ほれ、わらわも入手したから渡しておく。」


「ああーっ! その蜂蜜が滴る枝は、もしかして……蜂蜜の木の枝では⁉」


 俺やアフロディーテが木霊と戦っている間に、メリッサ達、ゾンビが蜂蜜の木の枝を圧し折っていたようだ。


 むう、なんだかんだと蜂蜜の木の枝を入手できたけど、俺は囮になっていたワケね……。


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