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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その56

「あ、ソロンさん、発見!」


「ん、発見した? どこにもいないぞ?」


「キョウ様の足許です。」


「え、俺の足許? わ、なんでそんなとこに!」


 お、ソロン発見!


 だけど、コイツがいたのは、俺の足許である……ちょ、おはぎの山の粒餡の地面から、ヌゥと顔面と両手だけ出した状態で埋まっているぞ!


「う、埋まっちまったんだ。この辺は蜂蜜の木から滴り落ちてきた蜂蜜のせいで地面が柔らかいんだろう。下手に動き回ると、お前達も俺のように埋まっちまうぜ。」


「うん、そうみたいだな。ビスケットの階段がある周辺に一旦、戻ろう!」


「それがいいですね、お姉様!」


「お、おい、助けてくれないのかよ!」


「悪いな! 一緒にいたら、俺達まで埋まっちまうし!」


「うおおお、てめぇ! 夫の俺を放置するんじゃねぇ!」


「むう、勝手なことを言うな! 俺は結婚なんかした覚えなんてないぞ!」


 ソロンが埋まっている周辺の粒餡の地面は、おはぎの山の中でも、特に地盤が柔らかい場所のようだ。


 ま、まあ、元から柔らかいおはぎの塊の上にいるワケだし、埋まってしまっても仕方がないかぁ……。


「さ、蜂蜜の木の枝を採取しよう……ん~足許に折れた小枝でもないかな?」


「その前にお姉様、木霊が襲いかかってきたらどうします?


「そういえば。木霊って巨大な樹木の精霊なんだっけ?」


「お兄様と叔父様は、なんだかんだと遭遇したんでしょう、木霊に?」


「ん、まあ、そうなんだけどさ……。」


「さて、私達が遭遇した木霊は……ふたりだよ。」


「え、ふたり⁉ じゃあ、木霊(ドリアード)って人間の姿をしているとか?」


「あ、ああ、そりゃもうたくましい人間の姿をしていたよ……わ、わああ、ウワサをしたらやって来た!」


 ソロンは蜂蜜の木の枝を採取した後に助ければいいか……。


 今は蜂蜜の木の枝を採取しなくちゃ……え、木霊(ドリアード)は、巨大な樹木の精霊じゃなくて〝人間〟の姿をしている⁉


 じゃあ、フィンソス、フィンクスの話から予想すると、目の前にそびえ立つ雄々しい巨木――蜂蜜の木とは別物っぽいぞ!


 と、その刹那、巨大な蜂蜜の木の上から、〝何か〟が舞い降りてくる……木霊か⁉


「わあ、ボディービルダー!」


「ふええ、黄色と黒の縞模様の全身タイツを着ている!」


「アイツらって蜜蜂のつもりだったりして……。」


「そ、その前に木霊(ドリアード)って、アイツらのことですぁー?」


 むう、舞い降りてきたのは、黄色と黒の縞模様の全身タイツという格好をしたたくましい筋肉隆々のふたりの大男――ボディービルダーだ。


 まさか、コイツらが……木霊⁉


「解せぬッ!」


「う、うぷっ……拳から蜂蜜が!」


 わあ、先制攻撃ってヤツ!?


 ボディービルダーのひとりが、俺の顔面目掛けてドロドロした蜂蜜の塊を――ふ、ふえええ、また眼に入った! 痛い、マジで痛い!


「貴様ら……貴様らもわしらに危害を加えにやって来たモノだな!」


「許さん……絶対に許さないぞ! お前達も蜂蜜の像に変えてやる!」


「お、おい、いきなり、そんな言いがかりを……。」


「てか、お姉様、言いがかりも何も、私達は蜂蜜の木の枝を……う、うぷ!」


「馬鹿、アイツらを刺激するようなことを言うなよぉ!」


「「き、貴様らァァァ~~~!」」


 わああ、フィンネアの奴、余計なことを言うなー!


 ほら見ろ、ふたりのボディービルダー――いや、木霊が、俺達を殺気満々って感じの殺気立った視線を向けてきたじゃないか!


 い、一触即発の状況に陥ったぞ、こりゃあ!

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