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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その55

「やあ、こんなところで出逢うとは奇遇だね!」


「ハハハハ、キョウじゃないか! ん、ところでリリス姫は一緒じゃないけど、彼女はどこに?」


「ビ、ビンゴですね、お姉様!」


「あ、ああ、まさかホントにいるとはなぁ、フィンソスとフィンクスが…。」


 おはぎの山の頂上には、ドロリとした粘度の高い黄金の液体――蜂蜜を幹や枝から大量に滴らせた樹齢数百年の巨木が、雄々しくそびえ立っている。


 コイツは蜂蜜の木……いや、樹木の精霊こと木霊なのか⁉


 と、そんな大量の蜂蜜を幹や枝から滴らせている巨木の周囲には、乾燥し、固形物と化した蜂蜜の塊が、自然の悪戯、それとも人為的な?


 とにかく、頭からや脇腹から触手のような物体が生えているように見えるモノ、胸、腹、股間などにムンクの叫びを連想させる不気味な顔があるモノ、そして胴体が螺旋状に捻じ曲がっていたりするモノなどなど、歪で冒涜的な像という感じの様相をつくり出しているモノが、あっちこっちに……。


 さて、ウワサをすれば影ってヤツだろうか?


 おはぎの山の頂上には、フィンソスとフィンクスの姿が見受けられる。


 件の不気味で歪で、オマケに冒涜的な蜂蜜の像のひとつとして――。


「お兄様、叔父様! 今、助けますね……アレス!」


「ん、蜂蜜の塊を食べればいいのか? よし、わかった……ガリガリッ!」


「ウ、ウギャー! ぼ、僕の足の肉までは齧るなよォォォ~~~!」


 兄であるフィンソス、それに叔父であるフィンクスを助けるんだ――と、主であるフィンネアに命じられたアレスが、ガリガリとフィンソスの身体の自由を奪い固形物と化した蜂蜜を食べ始める。


「ん、そういえば、兄貴達とは一緒じゃないようだな。」


「あの兎ちゃんやおっぱい女は一緒じゃないね。どこへ行ったのやら……。」


「お、おっぱい女って……あ、ああ、大フレイヤか?」


「そういえば、君を妻にするとか、先に目をつけた私を差し置いて言い放ったソロンって生意気な男なら一緒だぞ。そこら辺にいるかも……。」


「ちょ、アンタを俺を……ぐぬぬぬっ!」


 むう、寒気がっ……フィ、フィンクスも俺に目をつけていたのか!


 ハ、ハハハ、自分で言うのもなんだけど、美人は罪なことだぜ~☆


 だけど、冗談じゃない……だ、誰が、お前やソロンの妻になんかなるもんか!


 と、俺の妻にするとか、ふざけたことを言っている男その二であるソロンも一緒にやって来たとか……近くにいそうだな。


 蜂蜜の像とか化してそうだけど……。


「おい、ソロン! いたら返事をしろ!」


「こ、ここだ! 俺はここだーっ!」


「むう、返事は聞こえるけど、どこにいるんだよ!」


 とりあえず、ソロンが近くにいるか声をかけてみると……お、返事が返ってきたぞ!


 だけど、どこにいるのか、さっぱりだ。


 歪で冒涜的な形状をした黄金の固形物――蜂蜜の像は、俺の周囲には数多あるしねぇ……。

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