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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その54

「フジュルルルゥゥ~~! 眼の中に蜂蜜が入って痛い、痛い! オマケに全身がベトベトだ、ギャワンギャワン!」


「わあああ、アレス! 蜂蜜を飛ばさないでーっ!」


 ふ、ふえええー! アレスが全身を激しくブルブル震わせるので、身体中についた蜂蜜が散弾銃の弾丸のように周囲に飛び散る。


 当然、近くにいる俺達は蜂蜜の弾丸を被害を受けて……。


「中々、良質な蜂蜜じゃない。蜂蜜の香水をつくるために、採取しておこうかしら?」


「あっちゃん、そんなこと言ってる場合かよ……う、ううう、空気は薄いし、寒いし……オマケに髪の毛に蜂蜜がべったり……あああ、風呂に入りたいよ!」


「私もです! あ、そういえば、お姉様はお風呂が大好きでしたね。ここを出たら早速~☆」


「ヒ、ヒイイーッ!」


 まったく、空気が薄くなってきているせいか息苦しいし、オマケ寒いし、アレスのせいで髪の毛まで蜂蜜だらけだし、一度に散々な目に遭いまくりだ。


 ここから出たら風呂に入りたいぜ、まったく……。


「そんなことより、このおはぎの山の頂上はどうなっているんですか、お犬さん!」


「そ、そうだな……蜂蜜の水溜まりがあっちこっちにって感じだったかな?」


「蜂蜜の水溜まりねぇ……。」


「ジュルリ……粒餡と交じり合って凄く甘そうだけど、食べてみたいなぁ。」


「ま、まあ、行ってみよう……ぐ、ぐえー! 蜂蜜の塊が飛んできた……め、眼が、眼がァァァ~~~!」


「あ、ああ、お姉様!」


 ほ、ほんげぇー! おはぎの山の頂上からズドーンと大砲の巨大な弾丸が……いや、蜂蜜の塊が飛んでくる!


 それが俺の顔面にビチャッとクリーンヒット……うう、眼が、眼が痛い!


 蜂蜜、恐るべし……く、おはぎの山の頂上に生えている蜂蜜の木――木霊の仕業だな! ぐぬぬぬっ!


「あ、そういえば、頂上には蜂蜜の像がいくつもあったぞ!」


「は、蜂蜜の像⁉」


「ああ、それは木霊(ドリアード)に危害を加えようとした人間や獣人さ。」


「な、なんだと⁉」


「ここには、お前達のようなキルケーに閉じ込められた人間や獣人がたくさんいるんだ。ソイツらが木霊の枝をもぎ取りにやって来ては、あの様ってワケだ!」


「う、まさか俺達と同じくスキュラに、この固有結界の外へ出る方法を教えてもらった〝同じ穴のムジナ〟かも……。」


 ふーん、俺達と同じく、あのキルケーって奴に、この固有結界の中の閉じ込められたモノがいるようだ。


 さて、おはぎの山の頂上には、蜂蜜の像があるってアレスが言う。


 乾燥してカチカチの固体と化した蜂蜜の塊を削ったり、研磨したり、オマケの細工を施してつくった美術品……ンなワケがない!


 俺達と同様、キルケーのメルヘンチックなお菓子の世界という心象風景が具現化した世界でもある固有結界の外に出る方法をスキュラに教えてもらいここまでたどり着いたのはいいけど、木霊の蜂蜜攻撃を食らってしまったモノ達の躯と言っても過言じゃないかもしれない代物だ!


「あ、もしかしてだけど、私達と一緒にいない仲間の誰かが、このおはぎの山の頂上にいたりして……蜂蜜の像と化してそうですけど。」


「あ、ありえる話だよなぁ……。」


「お兄様と叔父様が絶対にいそうな気がします!」


「え、そうかぁ? うーん……。」


 あり得ない話ではないな。


 オリン山に一緒に入山したり、途中で出逢ったモノもいたワケだし……ま、まあ、行ってみればわかることだな。

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