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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その53

木霊(ドリアード)って、ひょっとして動き回る木?」


「うん、主に龍脈がある周辺に住んでいる樹木の精霊って奴ね。」


「わ、あっちゃん、いつの間に! そ、そうなんだ!」


「ちなみに、龍脈というのは、大地のエネルギーが収束するパワースポットってところかしら?」


「むう、その龍脈ってのは、この固有結界の外……ステュクスの滝だったりするのかな?」


「多分そうよ。」


「じゃあ、こんな大規模な固有結界を長時間も展開していられるのは、龍脈に集まった大地のエネルギーをあのキルケーって奴が利用しているからか――。」


 おはぎの山の頂上に生えている蜂蜜の木とやらは、アタランテの話じゃ樹木の精霊である木霊というモノだという。


 さて、気絶した状態から立ち直ったアフロディーテの話から推測すると、俺達が今いる無限に甘いお菓子が内包された固有結界をキルケーって奴が長時間、展開していられるのは、大地のエネルギーが収束するパワースポットである龍脈とやらを利用しているからっぽいな。


 ちなみに、そんな龍脈は、あのステュクスの滝のようだ。


 なるほど、ああいう場所だからこそ、如何にも大地のエネルギーが溜まりやすいんだろう。


 俺が本来いるべき世界でも有名なパワースポットである滝があるしね。


 で、この世界なら、尚更、強力無比なパワースポットになる筈だ。


 オマケに天空姫ゼウリスが住まう神聖な山ことオリン山の中にある滝だしね。


 それはともかく。


「お姉様、蜂蜜の木が本当に木霊かどうか確認しに行きましょう。」


「あ、ああ、今はそれしかないかな……。」


 ふう、枝を一本もぎ取るだけで一苦労しそうな展開になってきたぞ。


 木霊って奴が大人しく自分の身体の一部である枝の一本を折って、それを俺達に渡すとは思えないし……。


「よし、この私が偵察も兼ねて先に行ってみる! ついでだから蜂蜜の木の枝を一本を噛み千切ってくるか!」


「ちょ、アレス! むう、先走りは……あらら、行っちゃったわ。」


 偵察も兼ね先行するかたちで、おはぎの山の頂上へと疾風のごとき勢いで駆けあがるアレスは、ボンッという軽い爆発音を奏でながら、その姿を柴犬のモノへと変化させる。


 そういえば、基本形態はシベリアンハスキーだけど、どんな犬種にも変身できるんだったな。


「キャイイイインッ!」


 むう、アレスの悲鳴が響きわたる!


 ちょ、おはぎの山の頂上で何か起きたの!?


 ひょっとして、実は樹木の精霊だという蜂蜜の木に返り討ちにされたのか!?


「ブ、ブシュルルル~~~!」


「うわああああ、蜂蜜スライムだァァァ~~~!」


「お姉様、コイツでボコボコにしてやります!」


「うお、チョコレートの棒……そ、そんなモノいつの間に⁉」


「その話は後です! 今はコイツを――ッ!」


「ま、待て待て! 私はアレスだ、ア~レ~ス~……ギャイン!」


「え、アレスなの? アハハハ、思いっきりぶん殴っちゃった~☆」


 うお、ドロリと黄金色の蜂蜜を滴らせた四足獣が勢いよく降りてくる!


 は、蜂蜜スライムだなッ――と、思ったけど、その正体は大量の蜂蜜を全身に浴びたアレスのようだ。


 まったく、驚かせやがって……頂上で何をされたんだ、コイツ!

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